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No.46
しおりを挟むパメラside
入学式が終わり、Sクラスの教室に行くとすぐに気が滅入った。
クラスメイトに囲まれるバーゲン様が目に入ったからだ。
私はタメ息を吐き、自分の名前札が付いている席に座った。
ラグーもいないのにバーゲン様まで見てしまうと本当にやる気が失せてしまう。
私はバーゲン様に見つからないように明後日の方向を見つめ静かにしていた。
すると私の机の上に男子が座った。
「バーゲン様、お行儀が悪くありませんか?」
「パメラ、連れない事言うなよ。俺とパメラの仲だろ?」
ニタニタとするバーゲン様は本当に気持ち悪い。
「何を言ってるんですか?仲も何もありませんよ。だから早く取り巻き達の元へ行ってくれませんか?」
「まぁそう言うなパメラ、同じクラスになったのだから一緒に楽しもうではないか」
本当にこの男は疲れる。
私の事はほっておいてほしい。
只でさえラグーもいなくてやる気が無いのだから……。
「バーゲン様、私の事はほっておいて下さい。むしろ無視して頂いた方が嬉しいです」
私はキッパリと言い切った。
「パメラは本当に最高だ!早くヒィヒィ言わせたいぞ!」
本当に下品で気持ち悪るすぎるバーゲン様はどうやったら諦めてくれるのか分からない。後でラグーに相談しようと思う。
「バーゲン様、そんな事は一生訪れないので早く何処かへ行ってくれませんか?」
私はそう言ってバーゲン様を睨み付けた。
「お~怖いでもなパメラ、お前は俺の女だ!それだけは覚えておけ!ハッハッハ」
!笑いながら席に戻って行くバーゲン様とは二度と話したくないと思った。
バーゲン様が席に戻ってすぐに先生がやってきた。
「はい皆さん初めまして、ワシはサード・ナイナだ。有力貴族ばかりのSクラスの担任になれて光栄だ。何処かのクラスには平民もいるみたいだかね。クックッ」
笑いを堪えるナイナ先生の態度は本当に気分が悪い。平民は一人しかいないラグーだ。
大好きなラグーの事を言われて私が黙っている筈も無く、ナイナ先生に噛み付いた。
「ナイナ先生、ミラベル学園は身分の違いを認めてはおりません。平民だろうとミラベル学園の試験を通ったのですよ?バカにするのは間違ってます」
私の言葉に明らかに嫌な表情を見せるナイナ先生
「それはすまなかった。たしか平民はパメラさんの婚約者でしたな。バカにするつもりはなかったのだよ。クックッ」
本当に嫌な人だと思った。
こんな人が担任なんて最悪である。
「ほほぅ、あの平民はパメラの婚約者だったのか?」
そしてバーゲン様が話に入ってくる。
「そうよバーゲン様、だから私に近づかないで下さい」
「なるほど……」
少し考える素振りをしたバーゲンは口を開いた。
「おもしろい!今夜は入学祝いを兼ねたパーティーを俺の部屋で開く。お前ら全員参加だぞ!」
バーゲンの言葉にクラスメイト達は沸き上がる。
「うぉー!バーゲン様最高です!」
「バーゲン様にお近づきになれるかしら」
私以外は盛り上がるクラスメイト達を見てタメ息が出てしまう。
「バーゲン様の部屋でクラスの親睦を深めるのはいい考えです。それでは自己紹介を予定していましたが、取り止めにしましょう。さぁ皆さん今日は解散です。はしゃぎすぎて明日は遅刻しないように!」
ナイナ先生はそう言って教室から出て行った。
「パメラ、お前も参加だぞ!」
「私は結構です。皆さんで楽しんで下さい」
私がそう言うとクラスメイト達の声があがった。
「パメラ様、クラスメイトじゃないですか。行きましょうよ」
「そうよパメラ様。ここはクラスメイトの親睦を深めましょうよ」
「だそうだパメラ、行くぞ!」
クラスメイトの声に混じり、イヤらしい表情を見せるバーゲン様
「仕方ありませんね……」
タメ息を吐きクラスメイトに押しきられた形でクラスメイト達と共にバーゲン様の部屋へ向かった。
バーゲン様の部屋へ向かう途中、メイと会って入学パーティーでバーゲン様の部屋へ行く事を伝えた。
メイは心配そうな顔で「大丈夫ですか?」と言ってたけどクラスメイトもいるから大丈夫と答えた。
メイは心配性だ。二人っきりじゃないから何も問題はない。
危なくなったらバーゲン様に魔法をぶっぱなしてでも逃げるつもりである。
それに私にはラグーも付いてるしラグーと繋がっている救援玉も持っている。
救援玉に魔力を流せばすぐにラグーに繋がり助けに来てくれる。
ラグーが私の為に作ってくれた特別な魔道具だ。
ラグーに渡された時、ラグーの愛を感じてとても嬉しかった。
私はメイと別れ、クラスメイト達とバーゲン様の部屋に向かったのだった。
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