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No.16
しおりを挟む「黙ってちゃ分からないわよ」
腕を組み、俺の目を真っ直ぐ見るパメラ様のパープルの瞳からは怒気が溢れている。
「ぼ、僕は処刑されるのでしょうか?」
震える声で問いかける。
「そうね、答えによってはそれも有り得るわ!」
答えによってはと言われても、色々あったにせよハリス様を騙す事になったのだから俺は処刑されるだろう。
何て答えようと処刑を免れる事は無い。
「パメラ様、申し訳ありません。ハリス様を騙すつもりは無かったのです」
「騙すつもりは無かった?そんな格好をして、お兄様に近付いた貴方はどの口で仰ってるのかしら?」
頭を下げる俺に怒りをぶつけてくるパメラ様に全てを諦めこれ迄の経緯を話した。
ハリス様に俺から近付いたのでは無く図書館で声を掛けられた事。
魔法を教えてくれるとハリス様にここに連れて来られた事。
貴族様と会うための服が無く、マリアお姉ちゃんのお古のワンピースを無理矢理着せられた事。
パメラ様の目を見て坦々と答えていく。
全て話し終えると、少し難しい顔をしたパメラ様はパンっと手を叩いて口を開いた。
「なるほど、経緯は分かったわ、最後に貴方はお兄様の事が、すす好きなの?」
「はっ?」
好き?パメラ様は何を言ってるんだ?俺は男でハリス様も男、男同士で恋愛感情など抱くはずも無い。
でも混乱してそれ以外言葉が出てこない。
「だ、黙っていては分からないわよ!」
怒りを露にするパメラ様を見て、この後処刑されるのだから安らかに逝かせて欲しいと思う。
でもこんなに怒っているパメラ様をムシする事は出来ない。ここは答えるしかないだろう。
「男として素晴らしい方だとは思いますが、ハリス様に恋愛感情を抱いたりはしません」
その瞬間パメラ様は満面の笑みを浮かべた。
「良かった、そうよね、男同士だものね、うんうん」
何か納得したように呟くとうろうろとし始めたパメラ様。
ブツブツして嬉しそうにしているが何をしてるのか……
「ぱ、パメラ様?」
何処かに意識が行ってしまっているパメラ様の名前を呼ぶと、ハッとした表情になり、「こほん」と咳をした。
「ラグー、貴方は助かりたいのよね?」
「えっ!?僕は助かるんですか?」
「それには条件があるわ」
パメラ様は咳を挟みとんでもない事を口にした。
「貴方、私の婚約者になりなさい!」
「はっ???」
俺はそのまま口が塞がらなくなった。
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