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17.本当の家族
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かつてセシールの家族だった者たちは王都に連行され、処刑されることとなった。
王女の身代わりという役目を果たさず逃げ出したことで、その責任を取らされたのだ。
身代わり侍女は、王族の代わりに災いや呪いを受ける役割を負っている。
慣例として、王女は嫁ぐまで身代わり侍女によって守られることになっていた。
しかし、ジャクリーンはセシールから侍女の座を奪ったにもかかわらず逃げ出したことで、災いがウージェニー王女に牙を剥いたのだ。
ただ、ウージェニー王女にも問題はあった。
暴飲暴食をし、毒となる食物も平気で口にしていた。
身代わり侍女がいるからと、自分を律する努力をせず、ただ享楽に耽っていたのだ。
その結果、ウージェニー王女も病に倒れたが、自業自得とも言えるだろう。
もはや政略結婚の駒としても使えなくなった王女の末路がどうなるか、セシールにはわからない。
王女付きの普通の侍女たちも、職務怠慢や勤務態度の悪さによって、何らかの処罰が下されたらしい。
セシールは、王女によって解雇されたため、ベルトランの口添えもあってお咎めはなかった。
「これで、ひと安心だな」
ベルトランはセシールの肩を抱く。
優しい温もりに安心しながら、セシールは小さく微笑んだ。
「はい……本当にありがとうございます」
セシールは心からの感謝を込めて言う。
ベルトランは、自分の家族を守るために力を尽くしてくれたのだ。
「いや、礼には及ばないさ」
ベルトランはそう言って微笑む。
「あの、ベルトランさま……私には聖女の素質があるのですよね。でしたら、その力を活かすにはどうすればよいのでしょうか? 私もベルトランさまのお役に立ちたいです」
セシールは、ずっと心にあった疑問を口にする。それは心からの願いだった。
「セシール……」
ベルトランは少し驚いたように目を見開く。それから、真剣な眼差しでセシールを見た。
「……俺は、きみに聖女の素質があったから好きになったわけではない。きみだから好きになったんだ。だから、きみが何かになろうとする必要はない」
そう言ってベルトランは微笑む。その目はどこまでも優しかった。
「でも、私にもできることがあるのなら、それをやりたいんです」
セシールは真っ直ぐにベルトランの目を見て懇願する。
「……そうだな、妻のやりたいことを応援するのも、夫の務めか」
ベルトランは少し考え込んだ後、納得したように頷く。
「あの、では……」
セシールは期待を胸にベルトランを見つめる。
「神殿に連絡しておこう。だが、つらかったり苦しかったりしたら、無理をせずすぐに言うんだぞ。俺はきみの笑顔が見たいんだ」
「はい!」
セシールは満面の笑みを浮かべて大きく頷く。
「セシール、愛している」
ベルトランはセシールを抱き寄せて口づけをする。
「私も愛しています」
セシールもそう言って微笑み、自分から唇を合わせる。
その唇はどこまでも甘かった。
やがてヴァンクール辺境伯を継いだ若き領主の隣には、聖女と称えられる美しい妻が寄り添っていたという。
その仲睦まじい様子は、領民たちにとっての理想であり憧れであったと、後世に語り継がれている――
王女の身代わりという役目を果たさず逃げ出したことで、その責任を取らされたのだ。
身代わり侍女は、王族の代わりに災いや呪いを受ける役割を負っている。
慣例として、王女は嫁ぐまで身代わり侍女によって守られることになっていた。
しかし、ジャクリーンはセシールから侍女の座を奪ったにもかかわらず逃げ出したことで、災いがウージェニー王女に牙を剥いたのだ。
ただ、ウージェニー王女にも問題はあった。
暴飲暴食をし、毒となる食物も平気で口にしていた。
身代わり侍女がいるからと、自分を律する努力をせず、ただ享楽に耽っていたのだ。
その結果、ウージェニー王女も病に倒れたが、自業自得とも言えるだろう。
もはや政略結婚の駒としても使えなくなった王女の末路がどうなるか、セシールにはわからない。
王女付きの普通の侍女たちも、職務怠慢や勤務態度の悪さによって、何らかの処罰が下されたらしい。
セシールは、王女によって解雇されたため、ベルトランの口添えもあってお咎めはなかった。
「これで、ひと安心だな」
ベルトランはセシールの肩を抱く。
優しい温もりに安心しながら、セシールは小さく微笑んだ。
「はい……本当にありがとうございます」
セシールは心からの感謝を込めて言う。
ベルトランは、自分の家族を守るために力を尽くしてくれたのだ。
「いや、礼には及ばないさ」
ベルトランはそう言って微笑む。
「あの、ベルトランさま……私には聖女の素質があるのですよね。でしたら、その力を活かすにはどうすればよいのでしょうか? 私もベルトランさまのお役に立ちたいです」
セシールは、ずっと心にあった疑問を口にする。それは心からの願いだった。
「セシール……」
ベルトランは少し驚いたように目を見開く。それから、真剣な眼差しでセシールを見た。
「……俺は、きみに聖女の素質があったから好きになったわけではない。きみだから好きになったんだ。だから、きみが何かになろうとする必要はない」
そう言ってベルトランは微笑む。その目はどこまでも優しかった。
「でも、私にもできることがあるのなら、それをやりたいんです」
セシールは真っ直ぐにベルトランの目を見て懇願する。
「……そうだな、妻のやりたいことを応援するのも、夫の務めか」
ベルトランは少し考え込んだ後、納得したように頷く。
「あの、では……」
セシールは期待を胸にベルトランを見つめる。
「神殿に連絡しておこう。だが、つらかったり苦しかったりしたら、無理をせずすぐに言うんだぞ。俺はきみの笑顔が見たいんだ」
「はい!」
セシールは満面の笑みを浮かべて大きく頷く。
「セシール、愛している」
ベルトランはセシールを抱き寄せて口づけをする。
「私も愛しています」
セシールもそう言って微笑み、自分から唇を合わせる。
その唇はどこまでも甘かった。
やがてヴァンクール辺境伯を継いだ若き領主の隣には、聖女と称えられる美しい妻が寄り添っていたという。
その仲睦まじい様子は、領民たちにとっての理想であり憧れであったと、後世に語り継がれている――
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