王宮で虐げられた令嬢は追放され、真実の愛を知る~あなた方はもう家族ではありません~

葵 すみれ

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11.告白

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「向こうが勝手に言っていることだ。あんな醜い女と結婚するわけがないだろう」

 ベルトランは眉間に皺を寄せて言う。
 嫌悪感丸出しの口調だ。

「え……?」

 セシールは驚いて目を見開く。
 王女は誰が見ても美しい女性だ。その彼女に対して「醜い」とはどういうことだろうか。

「見た目の問題ではない。中身の問題だ」

 ベルトランは淡々と答える。

「あの王女はきみを虐げてきた。そんな相手と結婚などするはずがないだろう」

 ベルトランは吐き捨てるように言う。その目には強い怒りが宿っていた。

「……とはいえ、俺もきみを救い出すのが遅くなった。父に認めさせるのに時間がかかってしまった。遅くなってすまない」

「いえ……あの……私なんかのために……」

 セシールは慌てて首を横に振る。
 彼は何も悪くないのだ。
 むしろ、一度会っただけのセシールのことを気にかけてくれている。それだけで十分すぎるほどだ。

「俺としては、きみに求婚したいのだが……良いだろうか?」

 ベルトランは真剣な眼差しで言う。
 その視線に耐えきれず、セシールは思わず目を逸らした。

「……私は……醜い豚です……」

 セシールは小さく頭を振りながら呟く。
 その答えを聞いた瞬間、ベルトランの雰囲気が変わったような気がした。
 しかし顔を上げることができない。

「きみは醜くない」

 ベルトランはきっぱりと言い切った。

「そ、そんなはずはありません……! だって……!」

 セシールは思わず顔を上げる。
 ベルトランは真っ直ぐにセシールを見つめていた。その眼差しには強い意志が込められているように感じられた。

「きみは美しい女性だ」

 ベルトランはそう言って微笑む。
 その表情はとても優しくて、セシールの胸は大きく高鳴った。

「……あ……あの……」

 セシールは顔を真っ赤にして俯く。
 心臓が激しく脈打ち、今にも破裂してしまいそうだ。

「俺の目は魔眼だ。人の本性を見ることができる。きみはとても優しくて温かい心の持ち主だ。それに、努力家で誠実な人だということもわかっている。だから俺は、きみに惹かれたんだ」

「あ……わ、私は……」

 セシールはどう答えていいのかわからなかった。
 頭の中が真っ白になり、何も考えられなくなっていた。ただ心臓だけが激しく鼓動を打ち続けているだけだ。

「……すまない。いきなり言われても困るだろう」

 ベルトランはそう言って苦笑する。

「い、いえ……! そんなことは……!」

 セシールは慌てて首を横に振る。
 彼の気持ちはとても嬉しい。
 だが、それに応えられる自信がなかった。
 自分は醜い豚だ。彼に釣り合うような女性ではない。

「俺はきみが好きだ」

「……っ……!」

 セシールは思わず息をのんだ。
 顔が熱い。きっと真っ赤になっているだろうと思うほど熱いのだ。
 心臓の音がうるさいくらいに聞こえてくる。

「俺のことを好きになってもらえるよう、努力する。どうか機会をくれないか?」

 ベルトランはそう言って、セシールの手を握りしめる。

「……わ、私は……」

 セシールは小さく頭を振る。
 しかし言葉が出てこない。何と答えれば良いのかわからなかった。
 ただ、胸の奥が熱くなる感覚だけがあった。

「今すぐ答えを出さなくてもいい」

 ベルトランは優しい声で言う。その表情はとても穏やかだった。

「俺はきみを必ず幸せにする」

 彼の声は力強く、確固たる決意がにじんでいた。
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