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32.このままでは
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「母上は父上が新しい側妃を迎えることに抵抗はないんだろう。二人の関係は冷え切っているからね。それに、セレサだって側妃となれば出世できる。きっとそのほうが嬉しいはずだ」
諭すようなアイザックの言葉に、ロゼッタはぎゅっと拳を握り締めた。
「そんなの……おかしいです……だって、おとうさまと母さまは……」
俯きがちになりながら、ロゼッタは消え入りそうな声で呟く。
コーネリアスとブリジットが不仲だとは、散々聞いていた。
だが、彼らが互いのことを話すときは、静かな尊敬を込めたものだったように思う。少なくとも、二人は互いを嫌っているわけではないはずだった。
それなのになぜ、こんな事態に陥ってしまったのだろう。
かつてニーナが処刑を言い渡された際、婚約者を冷たく見下ろして去っていったコーネリアスの姿が脳裏をよぎる。
あのとき、何か声をかけてくれるのを期待するだけではなく、ニーナから何かを言っていればどうだったのだろうか。
処刑は免れないにしても、あんな形で別れることはなかったのかもしれない。
ロゼッタが母に殺されそうになった際、初めて助けを求めて声を上げた。
そうしたら、本当に助けが来たのだ。
もちろん、いつもそう簡単に上手くいくなんてことはないだろう。
だが、何も行動しなければ、何も変わることはない。
今のコーネリアスとブリジットが、そのときのニーナたちと同じように思えた。
そう考えると、居ても立ってもいられない気持ちになる。なんとかしなければならないと使命感のような感情が芽生えた。
「……やっぱり、このままじゃだめです」
しばらく考えてから決意を込めてはっきりとそう言えば、アイザックは不思議そうに目を丸くする。
彼の瞳をしっかりと見据えたまま、ロゼッタは力強く言葉を紡ぐ。
「わたしは……いえ、わたしたちはみんなで幸せになりたいんです。おとうさまも母さまも、おにいさまも、そしてわたしも……傷つくことのないようにしたいんです」
そう語ってからロゼッタは表情を引き締めると、凛とした面持ちのままアイザックに詰め寄る。
「おとうさまと母さまが仲良くなれば、貴族派の付け入る隙がなくなるっていうことですよね?」
真剣な態度で質問をするロゼッタに対し、アイザックは戸惑いの色を見せつつも頷く。
「え……うん、まあ……そうだね……そうかもしれないけど……」
引き気味のアイザックを見ても、ロゼッタが引くことはなかった。さらに顔を近づけると、強気な態度で続ける。
「だったら、お二人を仲直りさせましょう!」
諭すようなアイザックの言葉に、ロゼッタはぎゅっと拳を握り締めた。
「そんなの……おかしいです……だって、おとうさまと母さまは……」
俯きがちになりながら、ロゼッタは消え入りそうな声で呟く。
コーネリアスとブリジットが不仲だとは、散々聞いていた。
だが、彼らが互いのことを話すときは、静かな尊敬を込めたものだったように思う。少なくとも、二人は互いを嫌っているわけではないはずだった。
それなのになぜ、こんな事態に陥ってしまったのだろう。
かつてニーナが処刑を言い渡された際、婚約者を冷たく見下ろして去っていったコーネリアスの姿が脳裏をよぎる。
あのとき、何か声をかけてくれるのを期待するだけではなく、ニーナから何かを言っていればどうだったのだろうか。
処刑は免れないにしても、あんな形で別れることはなかったのかもしれない。
ロゼッタが母に殺されそうになった際、初めて助けを求めて声を上げた。
そうしたら、本当に助けが来たのだ。
もちろん、いつもそう簡単に上手くいくなんてことはないだろう。
だが、何も行動しなければ、何も変わることはない。
今のコーネリアスとブリジットが、そのときのニーナたちと同じように思えた。
そう考えると、居ても立ってもいられない気持ちになる。なんとかしなければならないと使命感のような感情が芽生えた。
「……やっぱり、このままじゃだめです」
しばらく考えてから決意を込めてはっきりとそう言えば、アイザックは不思議そうに目を丸くする。
彼の瞳をしっかりと見据えたまま、ロゼッタは力強く言葉を紡ぐ。
「わたしは……いえ、わたしたちはみんなで幸せになりたいんです。おとうさまも母さまも、おにいさまも、そしてわたしも……傷つくことのないようにしたいんです」
そう語ってからロゼッタは表情を引き締めると、凛とした面持ちのままアイザックに詰め寄る。
「おとうさまと母さまが仲良くなれば、貴族派の付け入る隙がなくなるっていうことですよね?」
真剣な態度で質問をするロゼッタに対し、アイザックは戸惑いの色を見せつつも頷く。
「え……うん、まあ……そうだね……そうかもしれないけど……」
引き気味のアイザックを見ても、ロゼッタが引くことはなかった。さらに顔を近づけると、強気な態度で続ける。
「だったら、お二人を仲直りさせましょう!」
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