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追放された補助魔術師はざまぁする気もないのに、元パーティーは勝手に全滅した件
01.追放
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「アシス、お前をパーティーから追放する! 前々から実力もないくせに口うるさい奴だと思っていたが、もう限界だ! さっさと失せろ!」
パーティーのリーダーにして戦士であるノーキンが、大声で言い放った。
雑用係にして補助魔術師であるアシスは、目を見開いた後、落胆に肩を落とす。
事の発端は、依頼を受けてワイバーン討伐に向かう最中、森の中でオークの群れを見つけたことだった。
アシスは後顧の憂いを断つために、まずはオークを倒しておくべきだと主張した。
しかし、オークを倒したところで報酬は出ない。
報酬が出ない上に、必要のない雑魚を狩る労力なんてかけていられないと、他のパーティーメンバー全員から反対された。
アシスは普段からこういった細かいことを指摘していたため、それが積もり積もって、ノーキンがとうとう爆発してしまったのだ。
「残念だけど、仕方ないねっ! だってアシスくん、ウザいんだもん! オークなんて雑魚、もしかかってきたところで余裕って感じだしぃ? 時間のムダムダ! さっさと先に行こうよ!」
盗賊であるシリィが、小柄な体に見合わぬ豊満な胸を突き出しながら、嘲りを浮かべる。
「慎重が過ぎると思います。我々には、素早い討伐も求められているのです。オークを相手にするのは、時間の無駄でしかありません。残念ですが、アシスさんは我々のパーティーにふさわしくないと、私も思います」
治癒術師であるガールが穏やかな口調ながらも、きっぱりとアシスを拒絶する。
「……わかった。でも、この討伐が終わってからにしてほしい。それからなら、何も言わずにパーティーを抜けるから」
「あ? 討伐報酬は譲らないってことか? 浅ましい奴だな! もうお前のような役立たずに分け前なんて渡したくねえんだよ! さっさと消えろよ!」
「だが、お前たちだけでは……」
さっさと追い払いたがるノーキンに食い下がろうとするアシスだが、シリィとガールの二人も苛立ちを露わにしてくる。
「ちょっとちょっと、何言っちゃってんの? ショボい補助魔法しか使えない、お荷物のくせしてさぁ。アンタなんていなくても、ううん、いないほうが動きやすいの! 戦ってもいないくせに邪魔! 自惚れないでよね!」
「あなたなど不要だということがわかりませんか? 裏方なら裏方らしく謙虚な態度でへりくだっていればまだしも、あれこれとケチをつけるだけの傲慢なお荷物など、害悪でしかありません。我々には二度と関わらないでください」
女性陣二人にも責められ、アシスは大きくため息を漏らして口をつぐんだ。
「……わかった。元気でな」
それだけを言い残し、アシスは彼らの元を立ち去った。
パーティーのリーダーにして戦士であるノーキンが、大声で言い放った。
雑用係にして補助魔術師であるアシスは、目を見開いた後、落胆に肩を落とす。
事の発端は、依頼を受けてワイバーン討伐に向かう最中、森の中でオークの群れを見つけたことだった。
アシスは後顧の憂いを断つために、まずはオークを倒しておくべきだと主張した。
しかし、オークを倒したところで報酬は出ない。
報酬が出ない上に、必要のない雑魚を狩る労力なんてかけていられないと、他のパーティーメンバー全員から反対された。
アシスは普段からこういった細かいことを指摘していたため、それが積もり積もって、ノーキンがとうとう爆発してしまったのだ。
「残念だけど、仕方ないねっ! だってアシスくん、ウザいんだもん! オークなんて雑魚、もしかかってきたところで余裕って感じだしぃ? 時間のムダムダ! さっさと先に行こうよ!」
盗賊であるシリィが、小柄な体に見合わぬ豊満な胸を突き出しながら、嘲りを浮かべる。
「慎重が過ぎると思います。我々には、素早い討伐も求められているのです。オークを相手にするのは、時間の無駄でしかありません。残念ですが、アシスさんは我々のパーティーにふさわしくないと、私も思います」
治癒術師であるガールが穏やかな口調ながらも、きっぱりとアシスを拒絶する。
「……わかった。でも、この討伐が終わってからにしてほしい。それからなら、何も言わずにパーティーを抜けるから」
「あ? 討伐報酬は譲らないってことか? 浅ましい奴だな! もうお前のような役立たずに分け前なんて渡したくねえんだよ! さっさと消えろよ!」
「だが、お前たちだけでは……」
さっさと追い払いたがるノーキンに食い下がろうとするアシスだが、シリィとガールの二人も苛立ちを露わにしてくる。
「ちょっとちょっと、何言っちゃってんの? ショボい補助魔法しか使えない、お荷物のくせしてさぁ。アンタなんていなくても、ううん、いないほうが動きやすいの! 戦ってもいないくせに邪魔! 自惚れないでよね!」
「あなたなど不要だということがわかりませんか? 裏方なら裏方らしく謙虚な態度でへりくだっていればまだしも、あれこれとケチをつけるだけの傲慢なお荷物など、害悪でしかありません。我々には二度と関わらないでください」
女性陣二人にも責められ、アシスは大きくため息を漏らして口をつぐんだ。
「……わかった。元気でな」
それだけを言い残し、アシスは彼らの元を立ち去った。
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