犯行の礼状【快盗広尾シリーズ】

筑紫榛名

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(三)‐2

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 四人は中に入った。同時に鉢山と上原はポケットから白い手袋を取り出して手にはめた。
 一番奥には縦に積まれた三つの段ボールの脇に、新聞紙にくるまれた細長い板状の何かが置かれていた。
「ああ、それが恐らく例の物だろう」
 鉢山がそう言うと、上原はすぐにその新聞紙の包みを開けた。包みはテープなどで封をされているわけではなく、単に新聞紙を巻かれただけであった。そのため、何枚かをはがしたところで、中身が見えた。
「中身は絵か」
 鉢山が言った。
 同時に神が、包み紙代わりの新聞紙の間から少し見ることができる絵に向かって懐中電灯の光を当てた。色彩鮮やかな油絵が見えた。
「そうみたいです」
 上原が答えた。

(続く)
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