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第3章 ハルシュタイン将軍とサリヴァンの娘

65 推理

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 王宮の自室に戻ったアリシアは、机に着いて紙とペンを手に取ると、忘れないうちに先程ダーマットが教えてくれたヒントを書き留める。

(これが、クラウスがあんな態度を取ったヒント)

 ダーマットが『姉さんなら絶対に気付ける』と言ったのだ。これは気付いてみせなければ、姉としての沽券にも関わる。

(でも・・・ダメだわ。まだ頭がボンヤリしてるみたい)

 書き出したヒントを眺めても、頭にすんなりと入ってこない。アリシアは息をつくと、部屋を出てダーマットの部屋のドアをノックした。

「ん?どうしたの?」

 すぐにダーマットが出てきて、アリシアの様子を窺う。

「少し休みたいの。ダーマットの言う通り考えてみたんだけど、全然頭が回らなくて。夕飯の時間になってもまだ寝てたら起こしてくれない?」
「あ、そうだね。ごめん気付かなくて。考えるのは急がなくて大丈夫。間違えないように、姉さんが落ち着いてからでいいよ。きっと、ハルシュタイン将軍もそっちの方が良いだろうから」
「うん。ありがとう」

 アリシアは頷くと、自室に戻ってベッドに横になった。
 目を閉じると、頭と心、体も疲弊している事に気付いた。これならすぐに眠れそうだと、安堵して体から力を抜く。案の定、すぐにウトウトし始めた。
 寝入るまでの間アリシアの脳裏には、クラウスの泣きそうな顔が浮かんでいた。



* * *



「さて、じゃあ改めて考えてみましょうか」

 ダーマットに起こされる前に、アリシアは目が覚めた。時計を確認するとそれほど長く寝なかったようだ。まだ夕食までには時間がある。居間の簡易キッチンで紅茶を淹れ、部屋に戻ると机に着いた。スッキリした頭でアリシアは考える。

(おかしくなったのは、クラウスが神聖ルアンキリに来てからよね)

 具体的にいつから違和感を感じていたのだろうと、アリシアは遡って思い出していく。

(・・・神聖ルアンキリに到着して、挨拶した時に感じた)

 そうだ、とアリシアは頭を上げて思い出す。

(私がクラウスに『お元気でしたか?』と聞いたら、何か考えるような間があった)

 しかしその後のクラウスの受け答えには不自然な点が無かった。だから気のせいだと思っていたのだ。

(あの時既に、何かがクラウスに起こってた・・・?)

 アリシア自身には何の変化もない。先程のダーマットの話を聞いていても、何かがあるのはクラウスの方だと感じる。
 アリシアはそう仮定して、その後を思い出す。

(その後ユウヤ様が来て、ダーマットを連れて行った。行き先は教会。そしてそこにはクラウスも居合わせていた)

 そう思い出して、もう一つ、あの日の違和感に気付いた。

(そうだ・・・あの日、ユウヤ様の口数が異様に少なかった・・・)

 普段のユウヤならクラウスの肩を叩いて『よう!久しぶり!話は聞いたぜーへっへっへ』とでも言いそうなものだ。ユウヤは王族の前だとしても態度を変えない。なのに、あの時はただ黙って眺めていた。

(・・・すぐにダーマットを連れて行ったことを考えると、ユウヤ様は既にあの時、何か知っていた)

 ユウヤは魔国ティナドランとの連絡手段として、ブリフィタと音声通話の二つを持っている。魔王ギルベルトとの関係も良好。クラウスにも興味を持っている。それならばあの時点で事情を知っていてもおかしくはない。だからユウヤはあの場でほとんど言葉を発さず、すぐに教会へと向かったのだ。

(教会は、恐らく総本山のルアンキリ教会。あそこは神域。そんな場所で試したいことがあって、ダーマットを連れて行ったのよね。そしてクラウスが居合わせた。そしてダーマットは気を失った)

 という事は、クラウスに何かが起こり、神域でダーマットで何かを試した。何故ダーマットで試したのか。

(・・・私の弟だから?)

 そこは推測でしかないが、なんとなくそんな気がする。アリシアに近しい、かつ同じくエルフの血が濃い弟。

(・・・エルフがもしかして関係してるのかしら)

 そこまで考えてハッとした。初日の挨拶の時、ユウヤもクラウスに触れていない。気に入った相手の肩を叩くクセを持つ、あのユウヤが、だ。

(そうだ・・・さっきクラウスは私に『触れるな』『俺に近寄るな』と言って・・・)

 思い出して再び胸が痛む。しかし今は感傷に浸る時ではない。アリシアは胸元に手を置いて、痛みをなだめるように左右にさすり、再び思考に没頭する。

 触る、という事がもしかしてダメなのだろうか。アリシアは休む前に書き留めた、ダーマットからのヒントを読み返す。そして『姉さんに会って伝えたら、どうしても触りたくなるから言えなかった』という部分で目が留まった。

(ここでも『触る』・・・。触ると、何かが起こる?)

 クラウスは同じ魔人であるエディンガーやフレンツェンには触れていた。そして人間にも。初日にルアンキリ王との挨拶で、ガッシリと両手で握手されていた。しかしエルフに触れているところを全く見ていない。

(・・・・・・エルフ限定で、触るとダーマットのように気が失われる)

 アリシアは血の気が引いた。気が失われ過ぎると、この世で生を受けている存在は全て死に至る。

(え?嘘でしょ・・・?クラウスが触ると、エルフの気が失われる・・・どこまで?)

 再びアリシアはハッとする。だから神域に行って試したのだと。
 あそこは創造神ルアン、人類神アラナンと接することが出来る場所だ。神は基本的に人類を見守る存在だが、神域では神が力を発することも出来る。

(・・・・・・ダーマットが気絶程度で済んだのは、神域で二柱が・・・いえ、人類神アラナンがダーマットを守ったから)

 そう考えると全て辻褄が合う。ダーマットにも人間である父オーウィンの血が流れている。その血を利用して人類神アラナンが助けたのかもしれない。
 そもそもクラウスが神聖ルアンキリに着いてすぐ、こちらの神域に行くのも妙な話だ。

(神域・・・もしかして何か、神に関係することが起こっているとか?)

 思い出すのは、精霊神と魔神が邪神に襲われた2カ月ほど前の事件だ。

(・・・魔国ティナドランの王都・・・今はもう旧都って呼ばれてるんだっけ。あそこの神域には邪神がいる)

 アリシアは引き出しを開けて、クラウスから貰った手紙を取り出した。

(どれだっけ。確かこっちに来る直前だったような・・・)

 期間を絞って、封筒から手紙を取り出して読んでいく。そして。

(あった。これだわ)

 その手紙には『邪神に魅了された魔人達の現状調査で旧都に向かう』と書かれている。

(これだ・・・間違いない)

 精霊神が襲われた直後の、エルフの長コウキと魔王ギルベルトとのやり取りを思い出す。初めのうちはギルベルトからの手紙をアリシアも見せてもらった。そして『邪神は人に力を与え、そこから混乱が生まれるのを好む』と書かれていた。

(つまり、クラウスは調査で旧都に行った時に邪神に特殊能力を付与された。それはエルフに触ると気を奪う能力。だから私には触れなかった)

 アリシアは机に突っ伏した。組んだ腕の上に額を乗せ、涙を机の上に零していく。 

(だから、クラウスは触れたくても私に触れられなかった。私を守るために本気で拒絶した。本当に、嫌われてなかった)

 安堵の涙が次々と溢れていく。

(クラウス・・・好き。大好き)

 バティストの言う通り、この気持ちを忘れるべきなのだろうかと、少しだけ考えてしまった。クラウスに嫌われるくらいならそうした方が良いのかもしれないとも思った。しかし、それは必要なかったのだ。

 アリシアは涙が落ち着くと、体を起こして机の上を見る。自分に少し呆れながら濡れてしまった卓上を布巾で拭いた。

(まだ、考えるべき事がある)

 ふう、と大きくため息をついて気分を入れ替える。

(何故私に誰も伝えられないのか)

 これも簡単だ。相手は邪神。きっとアリシアに伝えるとクラウスに仕掛けた能力が遠隔で発動するようになっているのだろう。しかしユウヤもダーマットも事情を知っていた。何故アリシア限定なのか。
 それはクラウスと愛し合っているから。

(随分と、嫌らしい事をする神ね)

 さすがにこればかりはアリシアもイラついた。クラウスとアリシアが悲しむさまを見て、きっと邪神は楽しんでいたのだろう。

(でも残念だったわね。私は気付いた)

 気付いてしまえば、触れ合えない寂しさはあるが、すれ違いが生まれる事はない。クラウスとアリシアの性格と関係を考えれば、それは起こりえない事だろう。

(でもいまだに解決策が無いから、クラウスは私を避けている)

 という事は、魔術の天才と言われるギルベルトでも解決策が無かったのだろう。ユウヤは事前に知っていた。つまり相談されていたのだ。もしかしたら邪神は吸収した精霊神の力を使ったのかもしれない。

(でも、ユウヤ様にもどうにもできなかった。だからルアンキリの神域に行った)

 しかしそれでもダメだったのだ。

(これはこれで、別の問題が出てくるわね・・・)

 好きなのに触れ合えない。これはかなり苦しい。

(だから、クラウスはあんなに苦しそうにしてた・・・)

 思い出して、アリシアの胸は切なさを訴える。今改めて先程のクラウスの様子を思い出す。彼の苦悩はアリシアの想像以上だろう。なんせ魔国ティナドランではあれだけアリシアに触れていたのだから。

(私も苦しい・・・。耐え切れるかな)

 しかし解決策が見つかるまでは、耐えなければならない。アリシアだってもう、クラウスを諦める事は出来ないのだから。

(今私が解決策を探しに走らなくても、既にユウヤ様が動いている。私よりももっと深く調べてくれているはず)

 きっと解決策があると信じて、今は待つしかないだろう。そうであれば。

(私に会って伝えたら、触ってしまうから言えなかったって言ってた。会わないで伝えるなら、きっと大丈夫よね)

 アリシアが訪れたことで、クラウスにもつらい思いをさせてしまった。でももう大丈夫だと伝えなければ。クラウスの事だ。先程の事を気に病んでいるかもしれない。

(後でダーマットに確認して、その後送ろう)

 何が特殊能力に引っ掛かるのかも分からない。アリシアから起こす行動にも制限があるかもしれない。
 先に確認した方が良いのは分かっているが、泣いて目が赤い今行くのは恥ずかしい。ダーマットにも余計な心配を掛けたくない。

 そう決めたアリシアは、未使用の便箋を取り出した。




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小話 ニブチン
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 ダーマットがアリシアを迎賓館の談話室から王宮の部屋まで連れ戻した後。アリシアが休むと言うので、ダーマットはクラウスの部屋まで報告に来ていた。

 アリシアにヒントを与えて考えるように伝えた、とダーマットに聞いて、クラウスは少しだけ安堵した。アリシアならダーマットの言う通り気付けるだろう。

「それで、俺が談話室に行ったら二人共ソファに隣り合って座ってたんですけど、姉さん、バティスト殿下に抱きしめられてて」
「・・・そうか」

 クラウスは眉を寄せて手を握りしめる。それを見たダーマットは慌てて付け加えた。

「あ、でも大丈夫ですよ。姉さんは意識してない相手には何の反応もしませんから。バティスト殿下が離された後も、いつも通りでした。姉さんが分かりやすく反応するのはハルシュタイン将軍だけです」
「・・・・・・」

 クラウスはダーマットを見つめる。その頭の中には魔国王宮使用人のリーゼ=ヒュフナーが浮かんだ。

『レッツェルは何とも思ってない相手なら、抱きしめられたとしても、何の反応もしないと思います。それで、後で“今の何?”って言うんです。あの超絶おニブさんは絶対にケロッとしてます』

「クッ・・・」

 クラウスは笑いが沸き起こる。

 ダーマットから話を聞くまではとてもそんな気分にはなれなかった。アリシアの泣き顔が頭から離れず、そんな風に泣かせた自分を殴りたい衝動に駆られていた。心の中で何度もアリシアに詫びながら、ただ時間が過ぎていた。

 しかしアリシアなら間違いなく気付ける。その確信がクラウスの心を少しだけ軽くした。

(さすが、アリシアと仲良かっただけあるな。良く見てる)

 クックックッと笑うクラウスに、ダーマットは怪訝な顔をした。


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アリシアのニブチン伝説 完
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