ハーフエルフと魔国動乱~敵国で諜報活動してたら、敵国将軍に気に入られてしまいました~

木々野コトネ

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第1章 アリシアの諜報活動

34 決別

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 アリシアは目を開けた。

 ハルシュタイン将軍は雰囲気が変わったアリシアに気付いたようだ。ハンカチを下げてアリシアの反応を待っている。

「ハルシュタイン将軍。私の全てをお話しする事は出来ません。家名もです。ですが、私をここに送った方の目的はお伝えできます。私もその考えに同意して、ここに来ましたから」
「・・・聞こう」

 ハルシュタイン将軍はアリシアから少し距離を取って座り直した。

 アリシアは深呼吸をする。少し落ち着かせないと声が震えてしまいそうだ。彼なら、震えに潜むアリシアの感情に気付くかもしれない。しっかりしなくては。

「ハルシュタイン将軍のように、戦場に赴かれている方には少し話し難いですが・・・この国は何故、今でも戦争をしているのでしょうか」
「・・・」
「この国は既に多くを持っています。国民は飢えることなく、土地も広い。生きていく上で、国として存続するために、足りない物はありません。この国は豊かです。ですが、侵略戦争を続けています」

 ハルシュタイン将軍は静かに、真剣な顔でアリシアの言葉に耳を傾けている。彼なら、ここまで話せばアリシアの言いたいことを察しているだろう。

「戦争が始まってとても長い年月が経ちました。憎しみで戦場に行く方もいるでしょう。皆、理由は様々だと思います。しかし、ハルシュタイン将軍は感情で動く方ではありません。あなたもこの戦争の無意味さは、ご理解なさっているでしょう」

 将軍という立場だからか、ハルシュタイン将軍は何も答えない。その様子を見て、アリシアは続けた。

「魔神エルトナ様はとても慈悲深いと聞いていますし、私もそう感じています。しかしそれなら何故、戦争を命じられるのでしょうか。魔神背信罪がある事で、誰も戦争に反対することが出来ません。そして沢山の人が死んでいく・・・今この瞬間にもです。私も戦争で父を失いました。2年経った今でも父を思い出すと悲しくなります。こんな思いをしている人が他にも沢山いる。だから私は・・・あの方も、こんな悲しみは、もうこれ以上増えなくて良い。無くなればいいと。我々はただ、平和な時代が欲しいのです」
「・・・だから君は、戦争を止める事が出来ないか、王宮に潜入していたと」

 ようやく口を開いた彼に、アリシアは視線を戻す。話している間に下を向いていた。しっかりと目を見て話さなくてはならない。コレが本心だと信じてもらえるように。

「王宮使用人になったのはたまたまです。ブルメスター様が高く評価してくださったようで、推薦のお話をいただいた時には私も驚きました。当初は軍人のお屋敷で、使用人達の話を聞くだけの予定でしたから」
「・・・なるほど」

 アリシアは次に己が発する言葉を考えて、胸がズキズキと痛んだ。しかしこれを言わなければ、ハルシュタイン将軍を縛ってしまう。
 小さく息をついて、再び口を開いた。

「ですので、任務中の私には恋愛をする余裕などありません。ハルシュタイン将軍のお気持ちは、とても嬉しいです。ですが、お応えすることは出来ません」
「・・・それは、君が戦争終了を求めて諜報をしている立場上、将軍の俺の気持ちには応えられない、ということか?」

 アリシアはハルシュタイン将軍を見つめる。何となくだが、今の問いに『そうだ』と応えても、彼は納得しないように思えた。それでは駄目だ。彼にはアリシアの事を諦めてもらわなければならない。アリシアと同じように。

 ズキズキと痛み続ける胸を無視して、アリシアは顔を横に振った。

「いえ・・・私はハルシュタイン将軍を恋愛対象として見たことはありませんし、これからもありません」

 泣きたくなる気持ちを抑えつけ、アリシアは平然と言った。
 本当は『他に好きな人がいる』『好みと違う』などと言った方が、彼は諦めやすいだろう。しかしその嘘だけは言えなかった。アリシアの感情は『あなたが好き』『私を好きでいて欲しい』『諦めたくない』と訴えている。その気持ちに反する言葉を口にしたら、耐えられずに再び泣いてしまうだろう。しかしここで泣いたら意味がなくなる。

 ぐっと堪えてハルシュタイン将軍の反応を待つ。しかし彼はアリシアを見つめたまま動かない。
 早く何か言って欲しい。アリシアの忍耐が切れてしまう。もう一押しした方がいいだろうか。しかしこれ以上耐えられないかもしれない。そう葛藤を始めたところで、ハルシュタイン将軍は大きくため息をついた。

「・・・分かった」

 その一言でつい泣きそうになってしまう。自分から断っておいてそれはないだろう、と己を必死に戒めた。

「それでは・・・今日はこれで失礼します。帰りの馬車は要りません」

 ソファから立ち上がって礼をする。紅茶もお菓子も手付かずで失礼をしてしまったが、こればっかりは仕方ない。今更いただく流れでもないし、何よりも早くこの屋敷を出ないと、再び涙が溢れてしまう。

「送ろうか?」
「・・・いえ。一人で帰りたいんです」

 気を使ってくれるハルシュタイン将軍に断りをいれると、「今日はありがとうございました」と言って部屋を出た。
 玄関で従僕から声を掛けられたが、彼にも同じ事を伝えて屋敷を出る。

 門を出て、王宮の方角へ向かう。ハルシュタイン将軍の屋敷が見えなくなったところで、人目を避けて路地に入った。

「うっ・・・・・・」

 もう我慢しなくていい。アリシアは小さく声を上げて、ひどく痛む胸のあたりの服を握り締め、ボロボロと涙を流した。



* * *



 アリシアは王宮に続く道をトボトボと歩く。歩くペースが遅いので、通常よりも時間がかかってしまうが、どうやっても早く歩く気力がわかない。まだお昼にもなっていないのだから、今日くらいゆっくり帰ってもいいだろう。

 気が済むまで泣いたので、少し楽になった。目が腫れないように気も使ったので、それほど見苦しくはないはずだ。しかし胸の痛みは変わらず存在している。

(帰らないと・・・エルフの里へ)

 これ以上魔国ティナドランには居られない。ハルシュタイン将軍は黙ってくれると言ってくれたが、アリシアの心が耐えられない。苦しい思いをして、頑張って拒絶してきた。しかし再び彼に会ってしまえば、平静を保てる自信がない。そんなアリシアを見たら、彼はすぐに気付くだろう。

(急に姿を消したら騒ぎになるかもしれないから・・・どう言って辞めよう)

 今日突然王宮を辞める事になっても、誰も怪しまない理由。妙案はないだろうかと、ああでもない、こうでもないと考えながら歩く。

(あ・・・そうだ。リズ・・・)

 アリシアは顔を上げた。彼女には絶対に挨拶しなければ。

(あそこに寄って行かないと)

 アリシアは王宮に続く道を逸れ、寄り道をすることにした。



* * *



 王宮使用人の服装に着替えたアリシアは、目の前の扉をノックする。コンコンと軽い音を立てると、中から「どうぞ」と声が聞こえた。

「アメリア=レッツェルです。失礼します」

 声を上げて室内に入ると、執務机でロットナーが書類仕事をしていた。

「どうしました?」

 以前嫌がらせを受けた時、また何かあれば必ず相談するように、とロットナーから言われていた。もしや何かあったのだろうか、と心配そうにアリシアを見るロットナーに、申し訳ない気持ちが湧き上がる。しかし言わなければならない。

「突然のことで、大変申し上げにくいのですが・・・。先程実家のご近所さんから手紙が届きまして。母が病気になってしまい、もう長くないかもしれないと。父を戦争で失って、唯一の家族である母を一人で逝かせる事はしたくないのです。私事で大変恐縮なのですが・・・今すぐ実家に戻りたいと思いまして・・・」
「まあ・・・なんてこと・・・」

 ロットナーは驚いた顔で椅子を立つと、アリシアの近くで立ち止まった。

「・・・泣いたのね。可哀そうに」

 普段は敬語で話すロットナーが、砕けた口調で、悲しそうにアリシアを見つめる。そしておもむろにアリシアを抱きしめた。

「私も若い頃に母を失ったから、辛さは良く分かるわ。母親というのは、何者にも代えがたい、恋しいものよね。そして私も親になって思う事があるの。最期は子供に囲まれて、笑顔で逝きたいと。・・・行っておあげなさい。きっとあなたを待ってるわ」
「ロットナーさん・・・!」

 心が弱っているアリシアはロットナーの優しさに触れ、涙ぐんでしまう。

「・・・ありがとうございます。いつ戻れるか全く目途がたちませんので、辞職という扱いにしていただけませんか」

 アリシアがお願いすると、ロットナーが体を離した。

「そうね・・・あなたが気兼ねしないように、そうしましょう。でもまた王宮で働きたくなったら、いつでも私を訪ねてきなさい。あなたは真面目で機転もきくし、ハルシュタイン将軍とリーネルト将軍からも信頼を得ていた。私も期待していたのよ?だから、落ち着いたらきっと、戻ってきなさいね」

 ロットナーの気持ちが嬉しくて、アリシアは笑みを浮かべた。

「ありがとうございます」
「・・・じゃあ、今日までのお給料と、少しだけだけど退職金を渡すわ。計算して用意するから、少しそこで待っていてもらえる?」
「はい・・・あ、ロットナーさん」

 アリシアの声に、執務机に向かっていたロットナーが振り返った。

「エルゼさんにはまだお話ししてないんです。ご挨拶したいのですが、今行くと他のパーラーもいるので、仕事の邪魔になっても申し訳ないですし、大事おおごとにしたくなくて。お手数ばかりかけてしまいますが、エルゼさんに伝えていただけませんでしょうか」
「・・・そうね。今の状態のあなたには説明するのもつらいでしょうし、騒いでいる時にお客様が来てもいけないわね。私から伝えておくわ」
「ありがとうございます。エルゼさんと・・・パーラーの皆と一緒に仕事が出来て、とても楽しかったとお伝えください」

 ロットナーは頷くと、執務机に座って計算を始めた。



* * *



 アリシアは部屋に戻ると、私服に着替えて荷造りを始めた。大して物はないのですぐに終わりそうだ。
 旅行鞄を取り出すと、クローゼットから服を取り出し、日用品も集めていく。机の中を取り出そうとして、卓上に目が留まった。

「・・・・・・」

 そこには先程ハルシュタイン将軍から貰ったネックレスを置いていた。アリシアは少しの間だけネックレスを見つめると、引き出しから荷物を取り出し、ハルシュタイン将軍から貰った手紙やシーリングワックスセット、未使用の便箋等を机の上に並べていく。
 一つ一つ眺めて、その時のハルシュタイン将軍との出来事を思い出す。再び、ポロリと涙が零れた。

「・・・持って行っても、良いよね」

 今となっては、アリシアの宝物だ。未練がましいかもしれないが、まだ好きな気持ちのままでいたい。思い出として持って行きたい。それくらいは許されるだろう。

 涙を拭いながら、手紙類も旅行鞄に入れていく。最後にネックレスを手に取って、どう鞄に入れようか悩んだ。

(ケースもいただいてくるんだったな・・・)

 とても高価なものだし、好きな人から貰った物だ。傷をつけたくない。
 アリシアは鞄にしまうのをやめて、首にかけて宝石を手で撫でる。

(いつかこの気持ちを忘れられる時まで、ここに居てね)

 そう気持ちを込めると、アリシアは涙を拭いて、荷造りを続けた。



* * *



 荷造りが終わると、アリシアはぼんやりと窓の外を眺めた。色んな事が頭を過っては消えていく。時々泣きながら、リーゼが仕事から帰ってくるのを待っていた。
 そして隣室から音が聞こえてすぐに、リーゼを訪ねた。

「はーい・・・あ、ミリィ・・・ってどうしたの?」

 リーゼはアリシアの顔を見て眉を寄せ、心配そうに声を掛けてきた。この様子だと、まだ一般パーラーにまで話は伝わっていないようだ。

「あ・・・ごめん。顔酷かったりする?」
「元々可愛いからそんな酷いってことはないけど・・・泣いたの?何かあった?」
「またそんなこと言って・・・ちょっとお話していい?私の部屋で」
「うん」

 アリシアが部屋へ戻ると、後ろからリーゼが付いてくる。そして室内を見て「え!?」と驚いた声を上げた。

「なになに!?なんで荷物片付けてるの?」

 部屋の真ん中に旅行鞄があり、いつもの場所に物が無くなっているのを見て、リーゼはアリシアへ詰め寄った。

「あのね・・・実家のご近所さんから手紙がきて・・・」

 ロットナーと話した内容を伝えると、リーゼは「そんな・・・」と声を上げた。

「折角こんなに気の合う友達が出来たのに・・・あ!でも私もお母さんにはついてあげた方がいいと思うわ」
「私も、リズと仲良くなれてとても嬉しかったけど・・・ごめんね」
「謝らないで。ミリィが悪いわけじゃないじゃない。こんなに泣いちゃって・・・」

 慰めるようにアリシアの頭を撫でるリーゼに、アリシアは微笑んだ。

「うん・・・でね。リズにお願いがあって」
「お願い?」

 きょとんとするリーゼに、アリシアは帰り道に寄って買ってきたものを渡した。

「リズに挨拶したら、すぐに行こうと思ってたの。急な出立だから、皆に挨拶できなくて。あまり騒ぎにもしたくないから、このまま行こうかなと。でもそれじゃさすがに皆に悪いから、選別として私の代わりに、皆にコーヒーを淹れて欲しいの」
「・・・え?」

 リーゼはアリシアの言葉に驚いた後、ハッとして渡した紙袋を開けた。中身は1キロ分のコーヒー豆が入っている。

「沢山買ってきたから、パーラー全員分はあると思う。足りそうだったらスティルルームメイドにも淹れて欲しい。お世話になったしね。残ったらリズの好きにして。あ、皆にはリズがコーヒー習ってるのを知って、私が頼んだって事にしてね。あと、あそこ。キッチン台に置いてる、あのコーヒー一式もリズにもらって欲しい」

 アリシアが指さすと、リーゼはバッと音を立てて後ろのキッチンへ顔を向けた。そこにはコーヒー豆が入っている缶にコーヒーサーバー、コーヒーミル、ドリップに使うネルを置いている。

「・・・ミリィ・・・」

 アリシアの方へ顔を戻したリーゼは目が潤んでいた。

「もー・・・最後の最後に・・・。分かった。ミリィの為にも皆にコーヒー淹れて、上級パーラになれるように頑張る」

 アリシアの考えを察したリーゼは、力強く頷いた。これはアリシアなりの、リーゼへの置き土産だ。リーゼはコーヒーを問題なく淹れられるようになっている。知識もかなり詰め込んだ。そろそろお披露目しても良い頃だろう。
 そんなリーゼに、アリシアは笑みを向けた。

「頑張らなくて大丈夫。リズは上手だから。絶対に上級になれる」
「うん・・・ありがとう。ミリィ、元気でね。時間出来たら手紙書いてね」
「うん。リズも元気でね。あなたが居てくれて、仲良くなれて本当に良かった」
「・・・それは私の方よー」

 とうとう耐え切れず、リーゼは涙を零した。



* * *



 リーゼと別れた後、アリシアはすぐに使用人宿舎を出た。王宮の城門で使用人通行証を渡すと、城下町を適当に歩く。

(何処か丁度いい場所なかったっけ)

 小さく呪文を呟きながら、辺りを見渡す。秋のつるべ落としとはよく言ったもので、あっという間に日が落ちて、辺りはすでに暗い。
 アリシアは人気が無い方へ進みながら、辺りを見渡す。少し歩くと、左手に公園が見えた。日が落ちているので子供たちはもういない。がらんとした空間に樹木が植えてある。目隠しに丁度良さそうだ。

 アリシアは公園へと足を踏み入れ、植栽の方へ向かう。辺りを見渡して人目がない事を確認すると、木の影に入って術を放った。アリシアの目の前の空間が歪み、人一人が通れるサイズの円の内側だけ、スッと景色が変わる。向こう側には森の中の小道が見えた。アリシアには見慣れた、エルフの里の森。時差のため、あちら側は完全に夜の景色だ。

 アリシアは後ろを振り返った。少し離れた場所に小高い丘があり、白く美しい城が灯りに照らされている。

「さようなら・・・」

 アリシアは小さく呟くと、エルフの里へと足を進めた。

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