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new!なんでも言うことをきく券 ※
しおりを挟む甘い劇薬のようなキスだった。
一瞬でお互いの体温が上がったのを感じた。漆黒の綺麗な双眸に欲情した雄の獰猛な輝きが宿る。
背中にまわった腕に力強く抱きしめられる。私も離れたくなくて、唇を合わせながら彼の首に腕を回す。大きな舌が私の舌を絡め取りながら、『もっと』と更に深く追求する。
「んふ……っ」
情欲で濡れた瞳で見つめあいながら、くちゅくちゅ、ねろねろ、と舌を絡み合わせ、お互いの唾液を混ぜ合わせる。喉を鳴らして嚥下する――熱いものがお腹の底に流れ落ち、身体の奥にかっと火が点いたような火照りを帯びる。
「真白……」
余裕のない彼の声に胸がキュンと高鳴る。
数歩先にベッドがあるのに、そこまでも持たないぐらい、お互いを欲していた。
大きな手が、スカートからシャツを引っ張り出して、裾から潜り込んでくる。
腰をなでられて、びくんと身体が反る。離れた唇が私の首筋にキスを落とし、ねっとりと舌が這う。
「ああっ」
秀ちゃんは、首筋、鎖骨、と口づけを落としながら、私のシャツのボタンを外し、荒々しく下着をずらすと、既に勃ち上がっていた胸の突起を口に含んだ。
「はんっ、はっ、あ……っ」
乳首を強く吸われ、舌でちろちろと転がされ、もう片方の乳房はふにふにと揉みしだかれる。堪らない刺激に秀ちゃんの頭を掻き抱くと、胸に吸い付いていた彼が獰猛に目を細めた。
膝立ち状態の私の太ももを撫であげるように、スカートをたくし上げストッキングごとショーツをずり下ろす。既に恥ずかしいほど濡れてしまっているソコを揃えた指でクチュクチュと刺激され、腰を揺らしながら快感を享受する。
「あっ、あっ、しゅ、ちゃ……あっ……もうっ」
「ああ、俺も」
掠れた声。熱に浮かされたような顔。
理性をかなぐり捨てて、私だけを見つめる彼が、ガチガチに勃っている極大な雄を取り出す。自分の指についた蜜と既に溢れていた欲望の先走りを熱く滾った自身に塗りつけて、ピタリと入口に添える。ぞくぞくぞくっと腰が震えあがる。
「しゅうちゃ……っ、んああ……ッ!?」
ずぷん、と最奥まで一気に叩き込まれた圧倒的質量に喉をそらして震える。
「……ッ、真白……」
余裕のない声で名前を呼ばれてキュウッとお腹の奥が反応する。刹那、力強い腕に掻き抱かれ、激しい腰使いで下から猛然と突き上げられ始めた。
「ひ、あぁぁっ」
禍々しいほど膨れ上がった欲望で、蕩けきったナカをぐちゃぐちゃに掻き回される。自重と下からの逞しい肉槍の力強い突き上げが一体となった責め――その強すぎる快感に瞳を見開いてハクハクと酸素を求め、縋りつきながらビクビクと身体を痙攣させる。
「あっ、あぁっ、あっだめ、これ、深……っ、深い、潰れちゃ……んむッ……んっ、んうぅぅ……ッ」
「ま、しろ……っ」
暴力的なまでの快楽の津波の中で、強引に唇を奪われ、じゅるじゅると淫猥な音を立てて激しく舌が吸われる。
唇をふさがれ、大切なところをずっぽりと串刺しにされ、身体をまるごと押さえ込まれて、激情を湛えた彼の瞳とじっと見つめあう――あの秀ちゃんが、口をきく余裕もなくして、ただひたすら私を求めている。その事実に頭の芯と身体がじんじんと甘く痺れて、結合部が熱く蕩けていく。
お互いに求めるままに舌を絡ませ合って、結合部からぱちゅ、ぱちゅ、ぱちゅと粘着質な密な音を絶え間なく響かせながら、獣のようにぐちゃぐちゃに求め合う。
私はもうとっくにイっていた。お腹がきゅんきゅんと法悦に痙攣し、蜜壺が逞しい肉竿に一生懸命に吸い付く。
秀ちゃんもハァハァと熱っぽい息を漏らしている。雄のフェロモン全開で息を荒げる彼は、性的魅力で溢れていて、堪らずにきゅううっと締め付けて、絶頂から下りることもできないまま、また大きな絶頂に上りつめされられてしまう。
もう、何も考えられなくて。頭の中は秀ちゃんへの「好き」だけでいっぱいで、たまらなく幸せで。
ただただ、汗ばんだ彼の広い背中にしがみついて。
最奥で熱い飛沫を感じて。ドクドクと脈打ちながら、断続的に濃厚な子種が吐き出されるのを、敏感な部位で感じながら、全身を脱力させて、多幸感でいっぱいになっていた。
とろんと見つめ合い、お互いに荒い息を吐きながら、むちゅむちゅと口づけあう。
吐精がおわってもしばらくそうして過ごして。やがて名残惜しむようにつぅっと銀色の橋が二人の唇の間を渡り、重力で落ちた。
「やばい……死ぬほど、興奮した」
未だに絶頂の波に揺蕩っている体は、彼を切なげに締め付けているせいで、ハァハァと蕩けた息が収まらない。
「ど……して?」
「そりゃ、好きな女からあんな可愛いこと言われたらな」
吐息にすら色気がある今の彼にそんなことを言われたら、埋まったままの野太い男根をきゅうぅっと締め付けてしまう。
「んっ、はぁ、んっ……あんな、不遜な返事だったのに?」
「あれは、照れ隠しっていうか」
少し恥ずかしそうに言う彼に小さく笑ってしまう。腹筋が動くとガチガチのままの彼を感じて、身体が疼いてしまう。
「……っもう黙れよ、真白だって、さっきから俺のを食いちぎる勢いで締め付けまくってるくせに」
かぁ、と顔が熱くなる。
さっきからずっと、ふたりとも、はあ、はあ、とこらえきれずに悩まし気に息を上げている。濡れた瞳で見つめ合って、唇がくっつきそうな距離で話し合って。熱い身体を持て余して。だから、素直になれる。
「だって、ずっとずっと大好きで片想いしていた人から、あんな嬉しいこと言われたんだもん」
照れたように一瞬だけ視線を外して、もう一度こちらを見た時の彼の瞳は愛欲で塗りつぶされていた。
あ、と思った瞬間、ギュッと抱き竦められて唇を奪われる。瞬間、ゴチュッと強かに子宮口に亀頭を押し付けられた。
「――ッっ……!」
見開いている筈なのに目の前がチカチカと白む。何がなんだかわからない間に私の身体を掴む手にぐっと力がこもり、激しく上下に揺さぶられた。
「ん、んっ、ぷぁっ……あぁぁッ!」
「は……ッすげ、締め付け……っ」
ごろんと、床に押し倒される。私の膝を肩に担いだ秀ちゃんが串刺しにするみたいにどちゅどちゅと腰を振り始めた。
「ぁ、ひっ……ああぁッ!」
またしてもやってきた過ぎる快感に、ボロボロと涙を零しながら、彼の大きな身体に必死で縋り付く。嬌声の合間に「とまって」「だめ」「おかしくなる」「おかしくなっちゃうから」とうわごとのように繰りかえすと、興奮から頬を上気させた美形が、熱っぽい吐息のような笑いを零すと、私の唇の上で囁いた。
「おかしくなれよ」
吐息まじりのその声にナカがきゅうっと反応して剛直を締め付けてしまう。
「ほら、真白のココは、もっとエッチしたいってせがんできてるしな」
秀ちゃんは、熱く火照り、汗で滲んだ私の身体を抱き竦め、首筋にちゅっと口付けると、奥までぬっぽりと巨根を埋めて円を描くような腰使いで最奥を嬲り始めた。
「ヒッ、あ!?」
「ちなみに、俺の身体も頭も、もっと愛し合いたいって真白を求めてる」
熱っぽい目で私を見つめてくる彼の表情も、彼の恥ずかしい言葉すらも、淫らな欲求を激しく燃え上がらせる興奮材料になって、燃え盛っていく。
薄く笑った彼が、ちゅっと唇を奪った。それが、合図だった。
ぐんっと腰を強く突きだされる。
ぐっしょりと濡れた膣天井の弱い所をぞりぞりと擦り上げながらねちっこく引かれ、また突き入れては、ぐにぐにと子宮口をこね回す。
その間に施される頭の中をふわふわと幸せな気持で蕩け崩してしまうような、濃厚で甘くて意地悪な口づけ。濃密な口付けに甘くうずくお腹の奥を、長大な彼のモノが激しく突く。
ぶちゅっと鈴口が子宮口を押し上げる。下腹部が電流を浴びたようにきゅんきゅんっと跳ね回って、蜜壷が必死にぶっとい楔を食い締める。
「ん、ぅッ、ふッ、んぅぅッ、ふ……っ、ん、くぅぅぅ……ッ!」
そんな快楽の連鎖に翻弄され、私はまた深い絶頂の悦びにどっぷりと溺れてしまう。
火照った熱い身体をぶるぶる震わせながら、絶頂のたびに透明な潮をぴゅっ、ぴゅっ、と噴き上げる。硬い腰が片時も突き上げを止めず、イキ締まる蜜壺で彼の肉槍をしごき続ける。
過ぎる快楽に腰が引けるけれど、しっかりと脚を開かされたまま背中を抱きしめられ、その頑丈な腕の中から逃れるどころか身じろぎもできずに快楽を享受させられる。
泣きながら必死に、彼に抱きついて。
息を切らして、唇を合わせて、汗だくになりながら、お互いを貪りあって。
「起きた?」
片手で自分の頭を支えていた秀ちゃんが、もう片方の手で私の頭を撫でる。
「ん……、今、何時?」
「6時前。身体、大丈夫?」
「……大丈夫じゃないかも……今日、引っ越しなのに」
よしよしと頭を撫でた美形が、甘ったるい笑みを浮かべる。
「今日は真白はずっと休んでればいいからな」
「腰が痛い」
「可愛い婚約者から『奥、もっと』とか『もっと秀ちゃんでいっぱいにして』なんておねだりされたら、応えないと、だろ?」
「……っ」
胸板を殴ろうとしたら、容易く受け止められてしまった。
「すげぇ可愛かったよ」
おまけに、殴ろうとした手に口づけながら、可愛いなんて言われて、もう完全に降伏だ。
――ところでさっきから自分の掌の中にカサカサした何かがある。
「やっと気づいた?」と口角を上げた美形が私の手を解放する。なんだろうと掌を開くと、中から四つ折りの紙が出てきた。家にあったメモ用紙に書かれた秀ちゃんの字を目で追う。
『なんでも真白の言うことを聞く券』
「ちなみに、それ、使用回数・期間ともに制限なしだから、いつでも、なんでもどうぞ」
ころん、と仰向けに転がされる。悪戯気な笑みを浮かべた美形が私を組み敷いて見下ろす。
「なんでも?」
「ああ」
「なんでもって……ハワイに別荘買ってとか、すごくワガママなお願いしたらどうするの?」
「真白がそれを心から望むなら叶えてやるよ」
一切の迷いも、躊躇いもなく、はっきりと言い切られて、目を見開いて固まった。
てっきり、常識的な限度を考えろって言われると思ってたのに。
「お前がもしそれを本気で望むなら……俺がなんとしても叶えてやる」
その眼差しの強さと心からの言葉に胸が震えた。
熱い呼吸が口から漏れる。唇が震えて、きゅっと噛み締めた。
「秀ちゃんって、実は私のことめちゃくちゃ大好きでしょ?」
胸がいっぱいで、吐き出した自分の声は震えていた。ハッと秀ちゃんが笑う。
「なんだよ、今気づいたのか?」
「うん。ずっと夢みたいでふわふわしてたけど、なんだかすごく実感しちゃった」
ちゅっとおでこに口づけが落とされる。近くにある漆黒の瞳が甘やかな色に染まる。
「紙なんかなくたって、真白の願いならなんだって叶えてやるつもりだったけど」
温かい手が私の頬を優しく撫でる。鼻先に柔らかな口づけが落とされる。
「でも、こうやってお互い持ってるのも、面白いだろ?」
腕の中で愛し気に見つめられて、何度も何度も啄むような柔らかい親愛のキスを施されて。グズグズに溶けてしまいそうな空気の中、途方も無い幸せを感じて、小さな紙を胸に抱いて「うん」と笑った。
無くさないように大切に折り畳んでから、秀ちゃんの広い背中に手を回す。
「ねえ、秀ちゃん、キスして」
「もう使うのかよ?」
「だって、何回でもずっと使えるんでしょ?」
優しく甘やかに微笑んだ秀ちゃんが唇にキスを落としてくれる。
「毎日してね」
「出張とか」
「もうっ、特段の事情のある場合は例外です」
むう、と唇を突きだすと、そこにチュッとキスされた。それだけで自分は笑ってしまう。
「いいよ、毎日な」
ねぇ、秀ちゃん。秀ちゃんとなら私はこの先繰り返されるどんな約束でも命令でも、楽しいし、幸せだって確信してるよ。
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