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◇エイベルとシーグリッド 2◆

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 ……。
 街へやってくると、シーグリッドはエイベルと距離をとった。
「それでは、自由行動ということで」
「いけませんよ。一緒に、というご命令ですので」
 にやにやと笑うエイベルに、シーグリッドの眉がぴくりと動く。
 しかし、本当にそういう命令だとしたら、彼に迷惑をかけてしまう。

「そういえばシーグリッド、あなたは制服以外にまともな服を持っているのですか?」
「必要ありませんでしょう、私たちには」
「いえいえ、あなたも年頃なんですから、すこしくらいおしゃれをしたらどうなんです。もとの容姿はわるくないのですから」

「そ、そんなのあなたに言われるようなことでは――」
 言い終える前に、エイベルがシーグリッドの手をひいて歩きだす。
「では今日はあなたの服を見繕いに行きましょうかねェ」

「なんでそうなるんですっ⁉」
 なんとか止まろうとするが、エイベルのほうがよほど力がある。

「どっちみち、このままの恰好ではそうとう目立ちますよ?」
「――」
 それもそうだ、とシーグリッドはようやく思いあたった。
 この制服を着ているのは王城で働く者なのだから。

「そうと決まればさぁ行きましょう」
 彼に手をひかれたまま、シーグリッドはしぶしぶあとに続いた。
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