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20話 拠点攻略
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次の日、朝早く俺達は王都を出て魔物の住処へと向かっていった。王様から渡された地図には5つ印がついている。印は1つ1つに距離がそれなりに離れているため、全部回ろうとすると1か月程かかる。さらに常に魔物が常駐しているわけではないようなので長期戦は必至である。
魔物の被害が出ている以上早めに決着をつけたいところだが、俺達が魔物の住処を荒らしていけば嫌でも警戒されるだろう。いや、既に警戒されている可能性はある。魔物の住処を2か所は壊滅させているのだ。今のところ俺達って言うのはわかってはいないはずだが誰かが邪魔をしているくらいには思っているはずだ。
そうなるとジョセフ達が目を付けられるかもしれないが・・・まぁなんとかやってくれるだろう。彼らもそれなりに修羅場をくぐってきたのでほとぼりが冷めるくらいまで隠れるくらいのことはできるはずだ。
「近くの地点から回っていこう。向こうも警戒はしているはずだから逃げられない様に慎重にしないといけない。今までより少し面倒な戦いになりそうだよな」
前に倒した男の様子を見ると魔物を操っている者達は集団でいる魔物がやられるとは思っていなかったように見えた。しかし、今は魔物達が全滅する恐れがあれば撤退するように指示を出しているかもしれない。そうなってしまえばこちらの戦力や戦い方が相手側で共有されてしまう恐れがある。それは何としても避けなければならないのでこちらも手を変える必要がある。
「拠点に魔物がいることが分かれば2人で広範囲の爆撃を行えば一瞬で終わらせることもできなくはない。けれど戦力を分散されていたら使えなくなるからあくまで選択肢の1つくらいにしか使えないわね」
「なぁ、あの魔石に魔術式に極大の爆発魔法入れて俺が拠点の真ん中で使えばいけないか?それで終わればよし、反応した集団がいればそこに向かって攻撃すれば分散が3つまでなら対処できる気がするんだが」
「理論的にはいけるけど・・・それをあんたが提案するのね・・・あの魔石には確かに魔術式を入れれるけど失敗したら術を入れる私達がおしまいだから本当に手段がないときだけね」
一番近い印のついているポイントまでは二日と言ったところなのであれやこれやと策を考える。結局3人というのが足を引っ張り、中々魔物を一網打尽にする方法が思い浮かばない。どうしても裏目が出てしまうのだ。
「やっぱりクロードさんいた方が楽だったかもねぇ、今更だけど」
「それはそれでマリー様のことが面倒になるから反対です。多分大丈夫なんだろうけどやっぱりリスクは減らしておきたいからね」
少人数で動くが故の問題に悩まされる。結局のところ今の俺達では相手に応じた手段を取るしかない。そのため現地で魔物達がどのように備えているのか、この情報集めが全てになる。
そして二日後、目的の場所の近くに俺達は来ていた。魔物を狩る作戦を練るため周囲を偵察してみたがそこまで広範囲に展開されてはなさそうなことが分かり、ひとまず安堵する。
「なんだか狙ってくださいと言っているようなもんですねぇ。罠って可能性もありますけどどうします?」
「そうねぇ、今まで魔物の群れでの戦いは普通に接近してからの戦いしかしてこなかったからそれを警戒して戦力集中しているのかもねぇ」
「戦闘の跡を調査したのならそう考えてもおかしくないな。今回は2人に任せて俺は敵の気を逸らす役目と運よく逃れた魔物を狩る役に徹するよ」
この作戦で一番大事なのは魔物を操っている者を逃さないということである。それさえできればあとはどうとでもなるので最初の一撃ですべてが決まる。しかし、魔力操作に長けた2人であれば問題ないだろう。
敵が動き出すまでに攻撃を開始しなければならないため2人は別の地点からそれぞれ魔法の準備を開始する。さすがにこの規模の攻撃となると魔物達も気づいてしまう。そのため、俺が敵の注意を引き付ける。俺は魔物の住処の近くでわざとらしく大きな音を立てる。魔物達の注意が一斉に俺に向かっているのを感じる。これほどの数の魔物に一斉に睨まれた俺は寒気がした。おそらくこの数で襲われても俺は無事なんだろうがそうじゃない。世界の全てが敵になったような・・・そんな孤独感をこの一瞬で感じてしまった。
じりじりと俺に近づいてくる魔物達。ここで何匹かの魔物達が大きな魔力に気付く。釣られて全員が空高くを見上げる。魔物達は啞然としていた。そんな表情、人間じゃなくてもできるんだな。
身の危険を感じたのかすぐさま逃げ出そうとする魔物達。しかし、時すでに遅く極大の炎魔法が住処めがけて2発発射される。轟音と共に周囲が一瞬にして灼熱の世界へと変わる。俺には直撃しないように調整はしてくれたがとにかく熱い。さっさとこの場を離れなければ。
なんとか魔法の攻撃を逃れた魔物はいるが突然の出来事に混乱しているようで統率のとの字もない状況だ。もちろん俺に対して向かってくる魔物もいるが連携の取れていない状況での攻撃など何でもない。俺は魔物の住処から少し距離を取り、逃げようとするひたすら魔物を狩っていった。
ここで新しく買った剣の感触を試すことにした。魔物達には悪いが俺が強くなるための糧となってくれ。今使っている剣とは違う柔らかさとしなやかさのある剣を振りまわし、次々と魔物を倒していく。今までの硬い剣と違い癖はあるが慣れれば気になるほどではなく、これはこれで戦いやすい。この戦闘で俺は今の剣に万が一のことがあった時、この剣を使うことに決めた。
途中から魔法による援護もあったのであっさりと魔物を殲滅する。あんな魔法撃った後だってのに2人とも元気だな。魔物の住処のあった場所に黒焦げになった人のようなものがいた。まだ息はあるようだが呆然としている。
「お前がここの魔物を操ってたんだな?俺達はこれからお前を連れて行かなきゃいけねぇ」
「畜生、この間といい、なんで俺の指揮している魔物がやられるんだよぉ。そのせいで上の連中に怒られるし俺が何したって言うんだよぉ」
「この間?あぁあの時の魔物の裏に居たのはあんただったのね。でも相変わらず魔物の使い方がお下手なんですね」
「なんだとおおおおお・・・いや、この状況とこの間の結果で何も言い返せない。俺の負けだ。じゃあ俺はこの辺で」
「いや、帰さないよ?少なくとも君達が何をしようとしているか教えてくれるまではね」
「いやだあああああ」
泣きわめく男を引きずりながら近くの街へと向かう。
「この男・・・人間じゃない?もしかして魔族?」
「やっぱりそう思います?私もなんか変だなーと思っていたんですよ」
魔族と人を見分け方は背中に翼があるかどうかと頭に角があるかどうかで判断する。だが先程の炎攻撃で翼は完全に燃え尽きてしまい顔も煤だらけなのでパッと見普通の人間に見えてしまったのだ。それでも生きているのはさすが魔族と言うべきか。
「そ、そうだ俺は魔族だぞ。もっと驚け。そして跪け」
(いやいや、お前俺達に手も足も出なかっただろ)
「黙りなさい。今のあなたに何かを主張できる権利があると思いで?もっと手荒に扱ってもいいんだからね」
それっきり魔族の男は死んだような顔をして何も話さなくなってしまった。下手に暴れられると面倒だからこの方が楽なので助かる。
街に着いた俺達は衛兵に王から貰った手形のようなものを見せて魔族の男を押し付けた。衛兵の男は最初は疑っていたが上司と思われる人が真っ青な顔をしながらすごい勢いで謝ってきた。・・・これすごい効き目だな。
「この男は魔物の群れを率いてた者の一人である疑いがあります。逃がさないように監視と調査をお願いしたく思います」
「王様の代理人ともいえる貴方様方のお願いとあれば喜んで命を承ります。魔物の被害は我々としても重大な危機と認識していますので全力を挙げて調査いたします」
「ありがとう。逃げださないように厳重に監視をお願いするよ。その魔族の男が貴重な足がかりなんだ」
「ま、魔族?本当かね?それはいっそう注意しなければ・・・ところで、先程大きな衝撃があったのですが何かご存じですか?」
2人の魔法の衝撃はすさまじく、衝撃波が近くの街にまで到達してしまったようだ。
「いえ、私達もこの衝撃には驚かされました。そのおかげで魔物達の統率が乱れたので魔族の男をとらえることに成功したのです」
ペラペラとよくそんな嘘がつけるもんだとサラに感心してしまう。魔族の男が尋問で言うことと食い違いそうだけどまぁそのころには俺達はもうこの街に居ないから真偽を確かめる方法はないのだ。それに私がやりましたと言ってもそれはそれで信じてもらえるかわからないし変に化け物扱いされても困る。
「では、私達は向かう場所があるのであとはよろしくお願いします」
俺達は次の印がある地点へと向かう。残りは4か所だ。毎回魔物を率いている者がまぬけな者ならいいんだけどそんな奴らだけで構成されている組織がここまで計画的な行動を行えないことはわかっている。
「次の地点が片付いたら1日ぐらいゆっくりしたいなぁ・・・」
ため息とともに思わず愚痴がこぼれる。サラは聞こえていたのか聞こえていないのか反応なく歩き続けていた。
魔物の被害が出ている以上早めに決着をつけたいところだが、俺達が魔物の住処を荒らしていけば嫌でも警戒されるだろう。いや、既に警戒されている可能性はある。魔物の住処を2か所は壊滅させているのだ。今のところ俺達って言うのはわかってはいないはずだが誰かが邪魔をしているくらいには思っているはずだ。
そうなるとジョセフ達が目を付けられるかもしれないが・・・まぁなんとかやってくれるだろう。彼らもそれなりに修羅場をくぐってきたのでほとぼりが冷めるくらいまで隠れるくらいのことはできるはずだ。
「近くの地点から回っていこう。向こうも警戒はしているはずだから逃げられない様に慎重にしないといけない。今までより少し面倒な戦いになりそうだよな」
前に倒した男の様子を見ると魔物を操っている者達は集団でいる魔物がやられるとは思っていなかったように見えた。しかし、今は魔物達が全滅する恐れがあれば撤退するように指示を出しているかもしれない。そうなってしまえばこちらの戦力や戦い方が相手側で共有されてしまう恐れがある。それは何としても避けなければならないのでこちらも手を変える必要がある。
「拠点に魔物がいることが分かれば2人で広範囲の爆撃を行えば一瞬で終わらせることもできなくはない。けれど戦力を分散されていたら使えなくなるからあくまで選択肢の1つくらいにしか使えないわね」
「なぁ、あの魔石に魔術式に極大の爆発魔法入れて俺が拠点の真ん中で使えばいけないか?それで終わればよし、反応した集団がいればそこに向かって攻撃すれば分散が3つまでなら対処できる気がするんだが」
「理論的にはいけるけど・・・それをあんたが提案するのね・・・あの魔石には確かに魔術式を入れれるけど失敗したら術を入れる私達がおしまいだから本当に手段がないときだけね」
一番近い印のついているポイントまでは二日と言ったところなのであれやこれやと策を考える。結局3人というのが足を引っ張り、中々魔物を一網打尽にする方法が思い浮かばない。どうしても裏目が出てしまうのだ。
「やっぱりクロードさんいた方が楽だったかもねぇ、今更だけど」
「それはそれでマリー様のことが面倒になるから反対です。多分大丈夫なんだろうけどやっぱりリスクは減らしておきたいからね」
少人数で動くが故の問題に悩まされる。結局のところ今の俺達では相手に応じた手段を取るしかない。そのため現地で魔物達がどのように備えているのか、この情報集めが全てになる。
そして二日後、目的の場所の近くに俺達は来ていた。魔物を狩る作戦を練るため周囲を偵察してみたがそこまで広範囲に展開されてはなさそうなことが分かり、ひとまず安堵する。
「なんだか狙ってくださいと言っているようなもんですねぇ。罠って可能性もありますけどどうします?」
「そうねぇ、今まで魔物の群れでの戦いは普通に接近してからの戦いしかしてこなかったからそれを警戒して戦力集中しているのかもねぇ」
「戦闘の跡を調査したのならそう考えてもおかしくないな。今回は2人に任せて俺は敵の気を逸らす役目と運よく逃れた魔物を狩る役に徹するよ」
この作戦で一番大事なのは魔物を操っている者を逃さないということである。それさえできればあとはどうとでもなるので最初の一撃ですべてが決まる。しかし、魔力操作に長けた2人であれば問題ないだろう。
敵が動き出すまでに攻撃を開始しなければならないため2人は別の地点からそれぞれ魔法の準備を開始する。さすがにこの規模の攻撃となると魔物達も気づいてしまう。そのため、俺が敵の注意を引き付ける。俺は魔物の住処の近くでわざとらしく大きな音を立てる。魔物達の注意が一斉に俺に向かっているのを感じる。これほどの数の魔物に一斉に睨まれた俺は寒気がした。おそらくこの数で襲われても俺は無事なんだろうがそうじゃない。世界の全てが敵になったような・・・そんな孤独感をこの一瞬で感じてしまった。
じりじりと俺に近づいてくる魔物達。ここで何匹かの魔物達が大きな魔力に気付く。釣られて全員が空高くを見上げる。魔物達は啞然としていた。そんな表情、人間じゃなくてもできるんだな。
身の危険を感じたのかすぐさま逃げ出そうとする魔物達。しかし、時すでに遅く極大の炎魔法が住処めがけて2発発射される。轟音と共に周囲が一瞬にして灼熱の世界へと変わる。俺には直撃しないように調整はしてくれたがとにかく熱い。さっさとこの場を離れなければ。
なんとか魔法の攻撃を逃れた魔物はいるが突然の出来事に混乱しているようで統率のとの字もない状況だ。もちろん俺に対して向かってくる魔物もいるが連携の取れていない状況での攻撃など何でもない。俺は魔物の住処から少し距離を取り、逃げようとするひたすら魔物を狩っていった。
ここで新しく買った剣の感触を試すことにした。魔物達には悪いが俺が強くなるための糧となってくれ。今使っている剣とは違う柔らかさとしなやかさのある剣を振りまわし、次々と魔物を倒していく。今までの硬い剣と違い癖はあるが慣れれば気になるほどではなく、これはこれで戦いやすい。この戦闘で俺は今の剣に万が一のことがあった時、この剣を使うことに決めた。
途中から魔法による援護もあったのであっさりと魔物を殲滅する。あんな魔法撃った後だってのに2人とも元気だな。魔物の住処のあった場所に黒焦げになった人のようなものがいた。まだ息はあるようだが呆然としている。
「お前がここの魔物を操ってたんだな?俺達はこれからお前を連れて行かなきゃいけねぇ」
「畜生、この間といい、なんで俺の指揮している魔物がやられるんだよぉ。そのせいで上の連中に怒られるし俺が何したって言うんだよぉ」
「この間?あぁあの時の魔物の裏に居たのはあんただったのね。でも相変わらず魔物の使い方がお下手なんですね」
「なんだとおおおおお・・・いや、この状況とこの間の結果で何も言い返せない。俺の負けだ。じゃあ俺はこの辺で」
「いや、帰さないよ?少なくとも君達が何をしようとしているか教えてくれるまではね」
「いやだあああああ」
泣きわめく男を引きずりながら近くの街へと向かう。
「この男・・・人間じゃない?もしかして魔族?」
「やっぱりそう思います?私もなんか変だなーと思っていたんですよ」
魔族と人を見分け方は背中に翼があるかどうかと頭に角があるかどうかで判断する。だが先程の炎攻撃で翼は完全に燃え尽きてしまい顔も煤だらけなのでパッと見普通の人間に見えてしまったのだ。それでも生きているのはさすが魔族と言うべきか。
「そ、そうだ俺は魔族だぞ。もっと驚け。そして跪け」
(いやいや、お前俺達に手も足も出なかっただろ)
「黙りなさい。今のあなたに何かを主張できる権利があると思いで?もっと手荒に扱ってもいいんだからね」
それっきり魔族の男は死んだような顔をして何も話さなくなってしまった。下手に暴れられると面倒だからこの方が楽なので助かる。
街に着いた俺達は衛兵に王から貰った手形のようなものを見せて魔族の男を押し付けた。衛兵の男は最初は疑っていたが上司と思われる人が真っ青な顔をしながらすごい勢いで謝ってきた。・・・これすごい効き目だな。
「この男は魔物の群れを率いてた者の一人である疑いがあります。逃がさないように監視と調査をお願いしたく思います」
「王様の代理人ともいえる貴方様方のお願いとあれば喜んで命を承ります。魔物の被害は我々としても重大な危機と認識していますので全力を挙げて調査いたします」
「ありがとう。逃げださないように厳重に監視をお願いするよ。その魔族の男が貴重な足がかりなんだ」
「ま、魔族?本当かね?それはいっそう注意しなければ・・・ところで、先程大きな衝撃があったのですが何かご存じですか?」
2人の魔法の衝撃はすさまじく、衝撃波が近くの街にまで到達してしまったようだ。
「いえ、私達もこの衝撃には驚かされました。そのおかげで魔物達の統率が乱れたので魔族の男をとらえることに成功したのです」
ペラペラとよくそんな嘘がつけるもんだとサラに感心してしまう。魔族の男が尋問で言うことと食い違いそうだけどまぁそのころには俺達はもうこの街に居ないから真偽を確かめる方法はないのだ。それに私がやりましたと言ってもそれはそれで信じてもらえるかわからないし変に化け物扱いされても困る。
「では、私達は向かう場所があるのであとはよろしくお願いします」
俺達は次の印がある地点へと向かう。残りは4か所だ。毎回魔物を率いている者がまぬけな者ならいいんだけどそんな奴らだけで構成されている組織がここまで計画的な行動を行えないことはわかっている。
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