迷想画廊 肖像画編

 『迷想画廊』第二弾

 肖像画の謎と、絵画モデルから始まるロマンス

 美術学校に通う飯田和美は、運命的な恋に憧れつつも、親友、坂上啓よりも好きになれる相手が見つからずにいた。
 啓が恋しているのを見て、自分も出会いを探そうと思った矢先、啓から近江錦弥という上級生を紹介される。
 近江は大会社の長男で、才色兼備の目立つ学生で、啓と和美も彼の日本画のファンだった。
 近江に頼まれ人物画のモデルをするうち、近江が以前より和美に一目惚れしていたと知り、戸惑いながらも惹かれ合っていく。
 ふとしたことから婚約者がいると判明し、近江と距離を置こうとしたが――

 和美の兄で刑事の飯田無流は、恋人の北原諭介に呼び出され、画廊を訪れる。「掛け軸に描かれている人物を探して欲しい」と依頼されたと言う。
 かすれた箱書きには「龍泉寺」と「流」という字が書かれており、和美たちの住む寺と同名だった。描かれた人物は現在の住職である、和美の父・清流にそっくりだが、年代はもっと古いと推測される。
 清流に会いに、北原は無流と龍泉寺を訪ねる。
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