5 / 39
四 悪夢
しおりを挟む
嫌な感じだ。
片腕がいやに重い。右目は髪に塞がれたままで、視界が悪かった。
仰向けで眠ると夢見が悪い。だから懸命に身体を右に向けて寝るのだが、朝起きると仰向けに寝ているのは何故なのだろうか。
自分を取り巻く全てが、思い込みの様な気さえしてくる。
髪をかきあげようと、右手を持ち上げた。
無かった。
手首から先が消えていた。
『君の手が欲しいな』
そんな声を聞いた気がした。
おかしいな。僕の利き手は左手なのに。
左手で髪をよける。
何かがおかしい。
『君の、目も欲しい』
そんな声も聞こえた気がする。
ああ、右目も無くなっているのか。
何故か、とてもおかしかった。
おかしくておかしくて笑っているうちに、僕は残った左目から涙を流していた。
おかしくて泣いているのか、悲しくて泣いているのかわからないのが悲しくて、おかしくて。
誰かの代わりに泣いているような気がした。
そんな夢を見た。
片腕がいやに重い。右目は髪に塞がれたままで、視界が悪かった。
仰向けで眠ると夢見が悪い。だから懸命に身体を右に向けて寝るのだが、朝起きると仰向けに寝ているのは何故なのだろうか。
自分を取り巻く全てが、思い込みの様な気さえしてくる。
髪をかきあげようと、右手を持ち上げた。
無かった。
手首から先が消えていた。
『君の手が欲しいな』
そんな声を聞いた気がした。
おかしいな。僕の利き手は左手なのに。
左手で髪をよける。
何かがおかしい。
『君の、目も欲しい』
そんな声も聞こえた気がする。
ああ、右目も無くなっているのか。
何故か、とてもおかしかった。
おかしくておかしくて笑っているうちに、僕は残った左目から涙を流していた。
おかしくて泣いているのか、悲しくて泣いているのかわからないのが悲しくて、おかしくて。
誰かの代わりに泣いているような気がした。
そんな夢を見た。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる