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第二十九話【愛が深いですわぁ~~~~~~~~~~~~!!!】

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「世界で一番・・・アナタを愛してます。」
そう言ってヒスイはエルメラルダを見つめたまま・・・落ちていった。
「ヒスイーーーーーー!!!!」と叫ぶエルメラルダ。
影が必死に鎖のような魔法を使い、それをエルメラルダの体に巻き付けて動きを止める。

「ヒスイっ!!ヒスイっ!!私の魔法なら!!私の魔法なら助けられる!!離してっ!!」と涙を沢山流しながら下へ落ちたヒスイに手を伸ばす。

ドサッ・・・グベチャッ・・・

血だまりを見て、ストンッと崩れてしまうエルメラルダ。
ネックレスからもヒスイの鼓動が止まってしまった。
「ヒスイ、ヒスイ、ヒスイ…あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
エルメラルダは泣き崩れる。

「ヒスイ・・・私・・・私まだ・・・ヒスイに一言も・・・好きって言えてないよぉ・・・どうして・・・幸せにしてくれるんじゃなかったの?」
涙が溢れて止まらないエルメラルダ。そんなエルメラルダを慰めるかのように光の粒子がエルメラルダを囲い空へ上がっていく。
「…うぐっ・・・ひくっ・・・待って、私を置いて行かないで・・・ヒスイ・・・置いてかないでぇぇぇぇ!!!」と光の粒子をおって天を仰ぐエルメラルダ。そして、叫んだ瞬間一瞬眩い白い光がカチッと光った。

「あっ・・・。」
エルメラルダの頭の中で変化が起こった。
膨大な何かが頭の中に入っていくような感覚に襲われるエルメラルダ。

・・・・・・・・・・

時刻は0時30、女性は残業で終電を逃し、会社に泊まるつもりで乙女ゲームをしていた。
「あちゃー・・・またバッドエンド・・・あれ?」
女性の目から何故か涙が出て止まらないのだ。すると、後ろから誰かに抱きしめられて「うぎゃあああ!!!」ととんでもない声を出してしまった。
「やっと見つけました。」
とても聞き覚えのある声だった。今さっきまで聞いていたかのような声だ。そして不思議と名前を言ってしまった。
それから膨大な記憶が流れ込んできて、固まってしまう女性。
やっと口を開いたかと思えば第一声に「ヒスイ・・・?」と呟いた。
「はい。」
「本当にヒスイなの?」
「はい。本物です。」
「うそ・・・だってゲームの中の人じゃん。」
「自分、天才ですから。」
「魔法?」
「はい、ですが普通に転生しました。エルと同じように。」
「どうやって見つけたの?」
「ウルコクを製作している会社に入社して買っていった人を片っ端から探しました。なるべく近い見た目にしようと思ったんですが、良い体がなくってですね。…海外から日本へ渡る羽目になりました。なので、できれば婿にとってもらえませんか。貯金も沢山あります。」
「貯金なんて無くても・・・ヒスイが良い!!」
ヒスイはエルを離した。
するとエルの視界には金髪碧眼の美形男子の姿がうつり思わず笑ってしまう。
「あっはは。ビックリした。んー・・・ハルク王子に似てるね。」
と言えばエルは両頬を掴まれた。
「他の男の名前を出さないで下さい。」
と言って唇にとても長いキスをした。
「んっ・・・・・・ぷはっ。」とエルは酸素を求める。
「もう何も心配いりません。これからは自分が面倒見ますから。婿養子ですけど。」
「あっはは。ヒスイ・・・愛してる。」と目を細めて微笑むエル。
「愛してます。エル。」
再びキスをする二人。

・・・・・・
「え…あ…私・・・。」と前世の記憶が追加されて動揺するエルメラルダ。
「…・・・エル。」とヒスイの声がして、声がした方へ振り向けば影がいて、影は被っていた仮面を脱ぎ捨てた。すると・・・ヒスイだった。
「ヒ・・・スイ・・・なの?」と困惑するエルメラルダ。
「はい。自分はここにいたんです。ずっと。」と切なげに微笑むヒスイ。
「影は・・・ヒスイだったの?」
「その名の通り影だったんです。最初から。前世から追いかけてきました。今さっき消えた自分は前世へ前世からの自分は今ここに・・・。」
ヒスイはエルメラルダに近づいた。
「じゃあ、ヒスイが・・・今まで私に何もしてくれなかったのは・・・アナタがヒスイだから?」
「そうです。自分なりの自分への配慮です。ほら・・・鼓動が聞こえませんか?」
ヒスイは自分がしている紫色の宝石がついたネックレスを指した。
エルメラルダも自分がしているヒスイ色の宝石がついたネックレスを触って確認すればトクントクンと再び脈打ちはじめた。
「聞こえる…生きてる…ヒスイ。どうしてこんな事…。」
「聖女の攻略対象から外れる為です。」
「本当にヒスイなの?本当の本当に?」
「なら・・・王家の血の呪い。…まだ紋章は残っていますね。」
ヒスイはしゃがんでエルメラルダの唇にキスをした。血の呪いを受けたエルメラルダはヒスイ以外の者とはキスをする事ができない。だが、今、何の障害もなく唇と唇が触れ合っていた。
「ヒスイ・・・本当にヒスイだ。」
「この時がくるまでじっと耐えないといけませんでした。それが神との約束でしたから。」
「神様に会ったの?」
「はい。でも今はそんな事よりも・・・早く帰ってエルを思う存分抱きたいです。」
ヒスイは真顔でそんな事をいってエルメラルダをお姫様抱っこする。
「えっちょっ!!///」
「行きますよ。」
二人は閃光となってサルバトーレ邸にある自室へワープした。

一方その頃聖女は…
「何よ・・・どうなってんのよ・・・攻略キャラいないじゃない。」と言って小刻みに体を震わせる聖女。
「可哀想になぁ。」とわざわざ聖女の耳元で囁くティファニール。
「ひっ・・・。」
「兄上達は行ったか。」と言って空を見上げてワープの閃光を確認するティファニール。
そして腰が抜けて立てそうにない聖女をお姫様抱っこする。
「よしよし、可哀想な聖女様。俺がたっぷり・・・可愛がってやるからな。明日には兄上が聖女の力を封じてしまうアイテムを作ってしまいそうだからな。今日のうちにたっぷり可愛がってやるよ。今日は沢山散歩もしたし…泣いても叫んでも逃がさない。」
「ひっ・・・許してっ。」と震える聖女。
「心配するな、すぐに良くなる。俺以外愛せなくなる。・・・って、もう魔力を籠めた俺の血を飲んでるから無理か。ハッハッハッハ。」
廊下にはコツコツといった足音と高笑いが響いた。

ヒスイとエルメラルダは生まれた姿のままベッドに入っていた。
「本当に死んじゃったかと思ってビックリしたんだから。」と少し涙ぐみながら拗ねたように話すエルメラルダ。
「本当に死んではいますよ。でないと攻略対象というグループから抜ける事ができませんでしたし。自分は今悪魔で影という存在なんでしょうね。」
ヒスイはエルメラルダと手を絡める。
「でも、ありがとう・・・社畜で過労死寸前の私を救ってくれて・・・。」とエルメラルダはヒスイの手の甲にキスをした。
「いえ、救われたのは自分の方です。今自分が生きているのは全て、エルのおかげです。」と言って今度はヒスイがエルメラルダの手の甲にキスをする。
「ふふっ・・・///」と心から幸せそうに笑うエルメラルダ。
「あっ。そういえば。地球に転生したおかげでカメラだとか、紙だとか全部作り方がわかりました。」と言ってガバっと起き上がって、実際に魔法で作って見せる。
「おー!!凄い!!」と体が見えないように布団を掴むエルメラルダ。
「欲しい物は何でも作れますよ。何かリクエストはありますか?」と自慢げに笑うヒスイ。
「んー……じゃあ子供が欲しいかなぁ。」と顔を半分布団で隠しながらリクエストするエルメラルダ。
「なっ……あーもぅ…今夜眠れなくても知りませんよー?」と言ってエルメラルダに覆いかぶさるヒスイ。
「ヒスイ、大好き…愛してる…。」
「エル、愛してます。」
二人は何度も何度も…唇を重ねた。
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