狂った執事は転生令嬢を溺愛し過ぎて過保護です!!～身分の差わきまえなさい！～

第二十三話【二人のはじめての日】

「本日のお嬢様は何もかもが完璧でございます。外は満月で月明りが出ており、二人きりの結婚式にはとても幻想的でロマンチックな雰囲気が漂っておりますね。」

ヤードは喜びに満ちた笑顔でペルシカに寄り添い、彼女の手を優しく握った。

会場は美しい花で飾られ、煌びやかなキャンドルの灯りが空間を満たしています。ペルシカの美しいドレスが月明りの中で輝き、彼女の笑顔は周囲に幸せと喜びをもたらしていた。

「ごめんね、だいぶと時間がかかったね…。ヤード。」
「今日という晴れやかな日に謝らないでください。お嬢様。」

ヤードは黒いスーツを身にまとい、冷静で優雅な態度でペルシカのそばに立っていた。彼の表情は穏やかで、しかし内には深い感情が秘められているようにも見える。一方のペルシカは、白のウェディングドレスを身に纏い、清らかな美しさを放っています。彼女の目には幸せと喜びが宿り、ヤードを見つめる愛情に溢れた眼差しをしていた。二人は誓いの言葉を交わし、永遠の絆を結ぶことを誓う。その場に立ち会う者は誰もおらず、ただ二人だけがこの神聖な瞬間を共有していた。

ペルシカとヤードの二人は、その特別な結婚式の後、再び一緒に過ごす初夜を迎える。

部屋は暖かなろうそくの灯りで照らされ、幻想的な雰囲気に包まれています。ペルシカは白いベッドに横たわり、ヤードは彼女のそばに寄り添います。

「あぁ…今日のお嬢様はとびきり魅力的でございます。私奴わたくしめが今からお嬢様を穢してさしてさしあげますね。」

「い、言い方！！どうにかならないの？」

「えぇ…今、お嬢様の御耳から穢しておりますので…。」

「耳って…。焦らさないでよ…。」

「愛しております。お嬢様…いえ、***」

ヤードは優しくペルシカの手を取り、彼女の顔を優しい愛情に満ちた視線で見つめます。彼の言葉はやわらかく、心に響いた。

「…っ！！どうして、私の本当の名前…。」

「ｸｽｯ。驚いておられますね。お嬢様の事でしたら、何でも知っております。初代から続く永遠とわの愛。むしろ知らない事の方が少ないでしょう。」

「ヤードだけ、ずるい。」

「私奴わたくしめは初代のお嬢様と１つ約束をしております。」

「約束？」

「その約束は私奴わたくしめとお嬢様が結ばれた時のみだけ、有効とされます。初代のペルシカ様の記憶をさし上げるという約束です。」

「何よ･･･それ。そんな約束が？今じゃダメなの？」

「はい。今は…大人しく私奴わたくしめに抱かれなさい。眠りにつく頃には差し上げましょう。私奴わたくしめと***の始まりの記憶を…。」

ヤードはペルシカの目を見つめ、彼女を優しくキスする。そのキスは愛情に満ちていて、ペルシカは安心して彼の腕に身を委ねた。
ゆっくりと、彼らは互いの身体を求め合い、愛情深いキスや抱擁を交わし、やがて彼らの心と身体が一つになる瞬間へと進んでいった。

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ペルシカは不思議な神殿の中央に立っていた。周囲には石畳が敷かれ、高い柱が天井に向かってそびえ立ち、壁面には神秘的な彫刻が施されていた。空気は神聖な霊気で満ち溢れ、ペルシカは息をのむような感覚に包まれた。

彼女の心臓は早く鼓動し、不安と興奮が入り混じった感情が彼女を支配した。ここはどこなのか、なぜここにいるのか、全てが彼女にとって謎めいたものだった。彼女は異世界に転生してしまったのかという不安が頭をよぎった。

そんな中、彼女の前に異国の服を身にまとった黒い長い髪に赤い瞳を持つ男性が姿を現した。その男性は彼女をじっと見つめ、優しい笑みを浮かべていた。

ペルシカは戸惑いながらも、その男性に近づいた。

「迷い込んでしまったか？」

「えっと、ここは…日本ですか？」

「やはり日本からの来た者か。残念だがここは、地球とは異なる。模造品の星だ。」

「模造品？」

「あぁ、いつの時代から来たかによるが、多くの物が”異世界転生”と言っている。」

「異世界…転生。私、どうすれば良いですか？」

「どうしたい？冒険したいか？この星には魔法がある。この星に流れ着いた多くの者が冒険や男漁りの旅に出る。」

「お、男・・・あさ・・・りって。」

（乙女ゲームの世界を体験したいって事？）

「ここに着地したのはソナタで二人目だがな。」

「最初に着地した人は？」

「俺の母上だな。ここに着地し、この星の創造主である父上と添い遂げられた。」

「えっと、じゃあ…私も貴方と出会う為にここにきたって事？」

「それを決めるのはソナタ次第だ。俺はソナタを下界に送り届ける事も、何か特殊な能力をプレゼントする事も可能だ。好きにするといい。」

「えぇ！？そんなに自由なんですか？貴方にとって何のメリットもないじゃない。」

「めりっと？すまない。異世界の言葉や意味を全て理解できるわけではないんだ。一応基本的な用語は頭に入っているが。」

「えーっと、私にプレゼントをしても、貴方に得がないって言ってるんです！」

「得か…。ヒトの行動を全て文字や映像としてこの神殿に納められている。俺のような不老不死の存在にとって、それは時間を潰すのに丁度良いアイテムだ。何かを与えれば話が面白くなるだろ？」

「なるほど、理解できました。つまり神様の暇つぶしって事ですね？」

「そういう事だな。俺は神ではないがな。神の息子…と名乗るべきか？」

「ぷはっ！！神の息子だって名乗る人初めてみた。そんな人いないよ。」

「俺しかいないからな。兄弟はいない。」

「そういう意味じゃないんですけど。まぁ、いいや。お兄さん、名前は？」

「***。」

「へー。星みたいな名前だね。私は***です。よろしく。」

神聖な神殿での出会いから数週間が過ぎ、ペルシカとヤードは既にお互いのことをよく知るようになっていた。彼らの日々は、冒険や戦いの日々ではなく、むしろくつろいだ時間と笑いにあふれていた。

ある日、二人は神殿の中庭で座り、周囲の美しい景色を眺めながらくだらない話をしていた。ペルシカは地球の日本での風習や、転生系の物語についてヤードに語り、ヤードは自分の出身や過去について話し、彼の世界の奇妙な風習や生活の様子をペルシカに話した。

時間が経つにつれて、二人の間には新しい感情が芽生えていくのがわかった。ヤードはペルシカの話に耳を傾けるうちに、彼女の魅力に惹かれていくのを感じた。彼女の熱意や好奇心に触れるうちに、ヤードの心の奥底に何かが動き始めたのだ。

神聖な場所での穏やかな時間が、彼らの間に特別な絆を育むきっかけとなっていった。


ある日、ヤードはやさしく微笑みながら、ペルシカに番いになろうと提案した。彼の声は優しく、しかし真剣さが滲んでいた。ペルシカは驚きと同時に感謝の気持ちが心に芽生えたが、彼女の目から涙があふれ出した。

「どうした？」

「私の寿命は……きっとあっという間に終わってしまうと思う。***と一緒になって、あなたを置いていってしまうことが怖い。」

彼女の声は震え、言葉が切なく胸を打ちました。彼女の心情がヤードの心に届き、彼もまた彼女との別れの不安を感じました。

ヤードはペルシカの手を取り、優しく包み込みました。

「二人だけの世界を作ろう。***が先に死んでも、その世界にとどまり続けて、また俺と出会う。そんな世界に行かないか？」

「そんな事ができるの？」

「俺は神の息子だから、基本的に創造するだけで、何でもできるよ。」

ヤードはペルシカの涙を指で救い、優しく抱きしめて話を続ける。

「それで、***が、人生の2週目を送る時、俺と出会う乙女ゲームの世界に転生する設定にしよう。そのうち俺も人生の２週目を送ることになる。そうなったら、何度でも、新しい運命を***と二人で新鮮な気持ちで過ごそう。」

「やだ。」

「それもダメか？」

「ううん。***の記憶がなくなるのはやだ。私って、ただの人間で何の魅力もないもん。好きになってもらえない。」

「そうか。なら、記憶は継承するように設定しよう。他には？」

「私は記憶を無くす。」

「それは不公平じゃないか？」

「毎回私に苦労してほしいの。だって***は何でもできちゃうから。」

「困ったお姫様だな。」

「うん。でも見た目はこのままがいい。***が私を見つけやすいように。ね？」

「わかった。必ず君を見つけて、振り向かせる。」

「嬉しい。***、好き。」

「俺も好きだ。もう離さない。永遠に…俺の鳥籠の中だ。」

こうしてメリアライト帝国が誕生した。