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83p【帰還】
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ヒルコさんの最後の苦しそうな微笑み、心に深く、深く、刻まれたような気がした。
咲は泣き崩れていた。俺はそっと後ろから抱きしめた。
「私がっ…私っ…私のせいなのにっ…最後できなかったっ。ごめん、ごめん リキ。」
咲の頭を撫でて「大丈夫。」と言った。
「コホンッ。本物のソル様、今後のご予定を伺ってもよろしいですか?」とユダさんが声をかけてきた。
咲は立ちあがろうとしていて抱きしめてたのをといて立つ補助をしてあげた。よろよろと立ち上がった咲はユダさんの方を向く。
「ヒルコが戻るまでお願い。ヒルコが戻り次第ヒルコへ。」
「かしこまりました。」とユダさんは全くの無表情で返事した。
色々聞きたい事があったけどれど、それをグッとこらえて「大丈夫?」とできるだけ優しく聞いてみた。
「大丈夫。私はヒルコを信じる。それよりも一番警戒しないといけないのはミシェルなの。ユダは私たちの味方。ミスティック連合に色々と悪さしてるのはヒルコの奥さんのミシェル。私の魅惑のせいで、心を歪ませてしまってるから。」
「その通りです。反省してください。」とユダさんが言った。
「えっと、ユダさんは。」
「あっ、失礼しました。初めまして。神崎陽子の部下、その2のユダです。」
「そ、その2?」
「その1は現実世界でのみの仕事をなさっていますから。私は此方の世界の部下です。」
「そうなんですね。」
「リキ、色々聞かないのですか?」と護が聞いてきた。
護はにこやかな表情をしていたけど、何故か俺は怒りを感じた。静かに怒っているような…。
「うん、さっきも言っただろ?今は大丈夫だって。」
「う、んん。」と女性の声がした。
起き上がってよろよろとこっちに向かってきたのはソルと呼ばれたAIだった。
「貴女何者なの?」と咲はソルに問う。
「私は、ただのAI。」
「そうです。ヒルコさんの鎮静剤になるように、僭越ながら私が育てさせて頂きました。」とユダさん。。
「なるほど!」
「ヒルコはペナルティを望んでた。ヒルコをあんなふうにしたお前を許さない!!」と咲を睨むAIソル。
「そう、だよね。ごめん。前の私は何でもできたから傲慢だった。」
「ごめんで許されると思わないで!」
「うん、わかってる。」
「咲、色々話とかあるだろうから俺と護は先に帰っててもいいかな?」
「うん。ごめんね。」
「謝るの禁止。」と咲の頭をポンっと叩いてからゲートを開いた。
「ありがとう!リキ!」と咲に言われてニコリと笑った。
「うん、行くよ。護。」と言えば、護は黙って俺についてきてくれた。
護と俺は自室に戻った。
「護、ごめん。」
「何のことですか?」
「これからも色々歯痒い事とかあると思うけど今は見守っててほしいんだ。」
「……。」
「どうしてもやらなきゃいけない事があって、俺が色々知った状態じゃダメみたいなんだ。咲は見ての通り色々ボロが出やすいんだけど、今は見て見ぬふりをしたいっていうか。そうしなきゃいけないって何故か思うんだ。」
「神崎の呪いってやつですか。」
「ん?なに?」
「いえ、何でも。リキ、ちゃんと幸せになってくださいね。僕に自由をくれた恩人が幸せじゃないなんて、後味が悪すぎます。」
「うん。努力する。って、タメ口だった!!」と俺は咄嗟に口を抑える。
「マスターはリキですから構いません。それに、そうでないと他人から怪しまれます。」
「そうだな。」
コンコンと自室をノックする音が聞こえて、ドアを開けるや否やシンが俺に抱き着いてきた。
「もうしばらく会えないかと思った…。」
「ただいま。シン。ちゃんと倒してきたから。」
「おかえり。……良かった。」
とりあえず部屋に通して椅子に座ってもらった。
「りき、この人は?」
「俺のAIだよ。やっとタマゴから帰ったんだ。」
「じゃあこれが…。」
「初めまして、護です。」
「なんか、笑顔といい、敬語といい…シンカに似てる気が…。」と少し怪訝そうな顔をするシン。
「あぁ、僕の経験値集めの時いた人ですかね?まぁ、初期設定は一緒でしょうからね。どこか似てても不思議ではないですよ。」
「ふーん。」
「あ、そうだ。アビリティポイントって勝手に振ってもいいですか?」
「ああ。うん。護のしたいようにしていいよ。」
「ありがとうございます。」
「で、ヒルコはどうなったの?」
「うーん、どこから話せばいいかわからないけど。とりあえず、ヒルコさんは何かに操られてて、その何かっていうのはソルがまいた種だったんだけど、ヒルコさんをペナルティにすることでそれは解けたんだ。」
「ちょっと何言ってるかサッパリわからないや。」
「だよな。俺もわからない。」
「つまり、咲さんが巻いた種の尻拭いをしに行ったんですよ。」と言いながらもニコリと笑顔を絶やさない護。
「うーん、まぁそんな感じなのかな。」
それから俺はシンにヒルコとの色々を全て話した。
バンッとシンがテーブルをグーで叩いて「リキ、あんな女やめときなよ!」と怒りを露わにした。
(あんな女って…、まるで俺が変な女に引っかかってるみたいな言い方だなぁ。)
「ですよね。僕もそう言いたいですよ。」と護まで加勢してきた。
「でもなぁ、咲の体を乗っ取られてるようなもんだからなぁ。」
「そうなの!?」とシン。
「まぁ、うん。それに、咲がいなかったら俺はこのゲームをしてなかったし。まぁ、仕方ないよな。」
咲は泣き崩れていた。俺はそっと後ろから抱きしめた。
「私がっ…私っ…私のせいなのにっ…最後できなかったっ。ごめん、ごめん リキ。」
咲の頭を撫でて「大丈夫。」と言った。
「コホンッ。本物のソル様、今後のご予定を伺ってもよろしいですか?」とユダさんが声をかけてきた。
咲は立ちあがろうとしていて抱きしめてたのをといて立つ補助をしてあげた。よろよろと立ち上がった咲はユダさんの方を向く。
「ヒルコが戻るまでお願い。ヒルコが戻り次第ヒルコへ。」
「かしこまりました。」とユダさんは全くの無表情で返事した。
色々聞きたい事があったけどれど、それをグッとこらえて「大丈夫?」とできるだけ優しく聞いてみた。
「大丈夫。私はヒルコを信じる。それよりも一番警戒しないといけないのはミシェルなの。ユダは私たちの味方。ミスティック連合に色々と悪さしてるのはヒルコの奥さんのミシェル。私の魅惑のせいで、心を歪ませてしまってるから。」
「その通りです。反省してください。」とユダさんが言った。
「えっと、ユダさんは。」
「あっ、失礼しました。初めまして。神崎陽子の部下、その2のユダです。」
「そ、その2?」
「その1は現実世界でのみの仕事をなさっていますから。私は此方の世界の部下です。」
「そうなんですね。」
「リキ、色々聞かないのですか?」と護が聞いてきた。
護はにこやかな表情をしていたけど、何故か俺は怒りを感じた。静かに怒っているような…。
「うん、さっきも言っただろ?今は大丈夫だって。」
「う、んん。」と女性の声がした。
起き上がってよろよろとこっちに向かってきたのはソルと呼ばれたAIだった。
「貴女何者なの?」と咲はソルに問う。
「私は、ただのAI。」
「そうです。ヒルコさんの鎮静剤になるように、僭越ながら私が育てさせて頂きました。」とユダさん。。
「なるほど!」
「ヒルコはペナルティを望んでた。ヒルコをあんなふうにしたお前を許さない!!」と咲を睨むAIソル。
「そう、だよね。ごめん。前の私は何でもできたから傲慢だった。」
「ごめんで許されると思わないで!」
「うん、わかってる。」
「咲、色々話とかあるだろうから俺と護は先に帰っててもいいかな?」
「うん。ごめんね。」
「謝るの禁止。」と咲の頭をポンっと叩いてからゲートを開いた。
「ありがとう!リキ!」と咲に言われてニコリと笑った。
「うん、行くよ。護。」と言えば、護は黙って俺についてきてくれた。
護と俺は自室に戻った。
「護、ごめん。」
「何のことですか?」
「これからも色々歯痒い事とかあると思うけど今は見守っててほしいんだ。」
「……。」
「どうしてもやらなきゃいけない事があって、俺が色々知った状態じゃダメみたいなんだ。咲は見ての通り色々ボロが出やすいんだけど、今は見て見ぬふりをしたいっていうか。そうしなきゃいけないって何故か思うんだ。」
「神崎の呪いってやつですか。」
「ん?なに?」
「いえ、何でも。リキ、ちゃんと幸せになってくださいね。僕に自由をくれた恩人が幸せじゃないなんて、後味が悪すぎます。」
「うん。努力する。って、タメ口だった!!」と俺は咄嗟に口を抑える。
「マスターはリキですから構いません。それに、そうでないと他人から怪しまれます。」
「そうだな。」
コンコンと自室をノックする音が聞こえて、ドアを開けるや否やシンが俺に抱き着いてきた。
「もうしばらく会えないかと思った…。」
「ただいま。シン。ちゃんと倒してきたから。」
「おかえり。……良かった。」
とりあえず部屋に通して椅子に座ってもらった。
「りき、この人は?」
「俺のAIだよ。やっとタマゴから帰ったんだ。」
「じゃあこれが…。」
「初めまして、護です。」
「なんか、笑顔といい、敬語といい…シンカに似てる気が…。」と少し怪訝そうな顔をするシン。
「あぁ、僕の経験値集めの時いた人ですかね?まぁ、初期設定は一緒でしょうからね。どこか似てても不思議ではないですよ。」
「ふーん。」
「あ、そうだ。アビリティポイントって勝手に振ってもいいですか?」
「ああ。うん。護のしたいようにしていいよ。」
「ありがとうございます。」
「で、ヒルコはどうなったの?」
「うーん、どこから話せばいいかわからないけど。とりあえず、ヒルコさんは何かに操られてて、その何かっていうのはソルがまいた種だったんだけど、ヒルコさんをペナルティにすることでそれは解けたんだ。」
「ちょっと何言ってるかサッパリわからないや。」
「だよな。俺もわからない。」
「つまり、咲さんが巻いた種の尻拭いをしに行ったんですよ。」と言いながらもニコリと笑顔を絶やさない護。
「うーん、まぁそんな感じなのかな。」
それから俺はシンにヒルコとの色々を全て話した。
バンッとシンがテーブルをグーで叩いて「リキ、あんな女やめときなよ!」と怒りを露わにした。
(あんな女って…、まるで俺が変な女に引っかかってるみたいな言い方だなぁ。)
「ですよね。僕もそう言いたいですよ。」と護まで加勢してきた。
「でもなぁ、咲の体を乗っ取られてるようなもんだからなぁ。」
「そうなの!?」とシン。
「まぁ、うん。それに、咲がいなかったら俺はこのゲームをしてなかったし。まぁ、仕方ないよな。」
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