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79p【大聖堂クエスト】

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「なんか、久しぶりに外にでた気分だ。」
「ねぇ、シンはああ言ってたけど、ガモス大聖堂にしない?」
「うん?いいけど。どうしてだ?」
「最終的な事を考えたらオールステータス10って結構貴重だなぁって思って。」
「なるほど、わかった。」
ガモス大聖堂へのゲートを開いて移動した。

大聖堂は運営の作ったMAPでその中でもガモス大聖堂は唯一海に囲まれていて透明感のある大聖堂が立っている島には美しい花がたくさん咲いていた。
口コミ写真で見た他の大聖堂はよく見るお城っぽい見た目で内装が凝りまくりだったり、白いハトがいたり、薔薇がたくさん咲いてたりしていた。だけど、ここは本当に色んな花が咲いていて蝶々が飛んでいる。
ガモス大聖堂は基本的に壁がガラスで海が見える。
大聖堂の扉に触れるとクエストを開始しますかという画面が表示された。
クエスト開始を押すと更に[服装を借りますか?YES NO]と表示されてYESを押すと大聖堂の扉が開いた。
それと同時にいつの間にか俺は白いタキシードを纏っていて、咲はウェディングドレスにヴェールを被っていた。
大聖堂内は壁のほとんどがガラス張りで海が見えて、解放感のある空間で、それが美しすぎて目を見開いてしまった。
「うわー。ほんとに綺麗だ。俺、未成年なのにこんなとこに来て良いのかな?」
「ゲームなんだから、楽しもうよー!」と咲。
咲のウェディングドレス姿に心臓を矢で射抜かれたような気持になった。だけど中身は陽子さんだ。そこが残念すぎる。
海がキラキラしていて、そして隣を歩く咲もどこかキラキラしていて、愛おしさが増すというか。本当に中身が陽子さんなのが残念だ。
このクエストは疑似結婚式なのかな。でもこの中で本気で恋愛してる人にとっては本物の結婚式なんだろうな。

クエストが終わって、しばらくガモス大聖堂の外にあるベンチに座って海を眺めていた。
クエスト内容は本物の結婚式みたいに互いに誓いの言葉を交換して、指輪を交換する。神父のNPCに誓いのキスをと言われた瞬間に小さなホログラムが発生して、どこでも好きなところにキスをしてみましょう。と表示され、俺は手の甲にキスをした。それでクエストはクリアだ。凄く簡単なクエストだけど、相手が見つからないとできないクエストだから難しい人にとってはかなり難しいクエストだなと思った。
それこそ咲のいない状態の俺だったら絶対に受けに来ようとは思わなかった。どんな形であれ、咲がいてくれてよかったと安心する。
俺たちの指には互いの名前が刻まれたガモスの指輪がはめられていた。
「海がいつもより綺麗に見える。」
「私も。」
「そうえいばクエスト中に撮った写真ってどこに保存されてるんだろう?」
「あぁ、それなら。」
咲は指輪にキスをした。するとホログラム画面が現れて式中に撮った写真が映し出された。
「へぇ、こういうギミックがあるんだ。」
「これが結婚した証明にもなるの。」
写真は全部で15枚、それが10秒ごとにパラパラとうつり変わる。
それをしばらく眺めたあとでギルドハウスに戻った。

晩餐の後、シンが寄ってきた。
「リキ、どうだった?」
「良かったのかな?中身がアレだからサッパリ。」と言って咲の方を見ると、食べ物をむしゃむしゃと無邪気に頬張っていた。
「そっか。」と少し汗をかくシン。
「そうだ。シンの大聖堂クエの写真見てみたいんだけど。」
「え?まぁいいけど。リキの部屋でいい?画面が全体公開だから見られると気まずいんだけど。」
「あ、うん。」
咲を置いて、シンと先に自室へ戻った。
自室に入ってからシンはガモスの指輪をとりだしてそれを指にはめて指輪にキスをした。すると、ホログラム画面にルナさんとの結婚式写真がパラパラと映し出された。どの写真のシンも幸せそうに微笑んでいた。シンにとって、本物の結婚式だったんだろうな。
「ルナさんもシンも幸せそうだね。」
「そう見えるなら嬉しいよ。リキのも見せて。」
俺も指輪にキスをして写真を出す。
「良い顔してんじゃん。」
「シン、さっき気まずいって言ってたけど何が気まずいんだ?」
「あぁ。ルナは他とも大聖堂クエストしてるから、それぞれが色んな思いでそのクエストをしただろうからね。気分を害する人がいると困るし。」
「た、大変だなぁ。」
「まぁ、僕も他の人のを見るのが恐いし。」
「てことはルナさんって7つ制覇してるのか?」
「あぁ、うん。」
「そうか。こんなの自分だけが良いよな。」
「そうだね。本当に辛いよ。まさか、こんな事喋れる日がくるなんて。話すと少し楽になった気がする。」
丁度咲が部屋に戻ってきた。また二人でいるから怒られてしまうと思いきや、「シン、なんか辛い事があったらリキに相談していいよ。シンだけは許す!」と咲が言いだして俺もシンも大きく目を見開いた。
「咲、ありがとう。ごめん、咲のマスターなのに。」とシンは少し申し訳なさそうな顔を浮かべる。
「いいのよ。シンは特別。マスターの親友は大事にしなくっちゃ。」
ふと成長したなと感じた俺は咲の頭を撫でた。
「あー!また子供扱いして!おねーさんなんだからね?」
「はいはい。」
「というか、リキ。晩餐後の練習試合忘れてない?」と咲にいわれて時計を確認すれば約束の時間まで三分ほどしかなかった。
「うわぁ!!!後三分しかない!!!」
俺と咲は急いで練習場へ走るのだった。
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