非力だった少年はチートで生まれ変わる。

無月公主

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72p【二回目の終業式】

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【リアル】の世界では半年たった。

僕とルナさんは毎日毎日タマゴオオトカゲを倒し続けた。だけど、AIのタマゴが1段階に成長することはなかった。それはルナさんも同じだった。
ルナさんのタマゴは、僕よりも前に手に入れてて、流石にこの狩りで1段階になるだろうと思ってたらしいけど結局ならなくてルナさんは狩りをあきらめた。
半年間、狩りだけじゃなくて練習試合も毎日欠かさずやって戦いの経験的なものが積まれた気がした。
今までは目を瞑らないと勝てなかったけど、目をあけてても集中して魔力補給することができるようになった。これで敵の攻撃をかわしながらでもできるからウォールへの負担が減って魔力消費もちょっと減る。咲みたいに、補給しながら連携攻撃みたいなことはまだできないけど、女性に負けてるのは男としてちょっと癪に障るというか、情けないから、もっと練習しないといけないと思った。
そして僕にとっては二回目の終業式がやってきた。

前回は予期せぬ時間変更で短い式だったみたいだけど、今回はまるまる1日かけて今後の方針だとか色んな報告をしあっていた。
今回、ドルガバからの被害が少なかったけど、連合のギルドが被害を受けている事、それから僕を探しまわっている事。
このゲーム、見た目を自由に変えられるから、ちゃんと名前を表示して名前表示の下に表示されるIDまで確認しないと誰か判別できない。つまり変装して町を歩けば最後までバレない時がある。
IDが丁度相手の顔のとこに被るからみんな非表示や、数秒間表示にしてあるらしくて、僕も5秒間表示にしてるし、5秒でID見れない事もないけど、結構あっという間すぎて名前を見てたら消えてる事が多い。
イメチェンは正解だった気がする。それに、りきって名前結構いるっぽい。
「長かったぁ。」と咲が大広間の机に突っ伏していた。
「そうだね。でも色々聞けて楽しかった。」
「思ったんだけどさぁ。」
「ん?」
「りきって友達少ないよね。」
「なっ!?」
「だって、一番仲良さそうな人AIだし。」
シンさんの事かな。そういえば、シンさんとは暇があれば持ってきたリアルの写真についてあれこれ喋ってたっけ。
「あ、シュガーさんとかとも仲良いと思うけど。」
「それは同じ班だからでしょう?友達ーって感じしないし。」
「AIって心は人間と同じわけだし、例えプログラムで作られたものだったとしても僕はそれでも友達と呼ぶし、それに、AIを友達としてみない人に僕はなりたくない。そう考えると今の僕でいい気がする。」
「そっか。」と言って微笑む咲。
「さて、僕らもそろそろ落ちようか。寝ないと。明日学校あるし。」
「うん。」
僕らのところへジャンさんが「あー…陽…いや、咲さん少し時間いいですか?」と尋ねてきた。
さらにそこへ「リキ、時間ある?」とシンさんから声がかかった。
「じゃあ、リキ、話が終わったら部屋で合流してから落ちよう?」と咲。
「うん、わかった。」と返事をすれば、咲はジャンさんとどこかへ行ってしまった。
「シンさん、どうしたんですか?」
「その、さっきの話ちょっと聞こえてて…さ//」
シンさんの顔面が赤くなった。こういう照れたりしたときって簡単に隠せないのがこのゲームの辛いとこというか。感情に嘘がつけない。あ、でも千翠さんはコントロールできるんだっけ。どのくらいできるかは把握してないけど。
さっきの話というのは、多分AIについて語ったやつだろうな。
「うん?」
「僕に対して、もう敬語とか使わないでほしい。」
「えぇ!?むっ無理ですよ!そんなの!ギル長のAIにそんな。」
「確かにルナのAIだけど、僕はリキの友達でいたいから。」
シンさんの気持ちを大事にしたいけど、ルナさんのAIに馴れ馴れしくするのもなぁ。
でも、やっぱり僕はシンさんの気持ちを大事にしたくて。
「わかった。じゃあ、そうする。」
「うん、ありがとう。」
「また数年たっちゃうけどね。」
「そうだね。待ってるよ。」
「お前らは恋人か。」とシンカさんが僕とシンさんの間にわって入った。
「うわぁっ!!ちょっと、いきなり入ってこないでよ。びっくりするじゃん。」とシンさん。
「シン、ルナが今からダンジョン攻略するそうなんで、回復職でついて行ってください。自分は残って後片付けとかギルド管理するんで。」
「あ、うん。わかった。じゃあね。リキ。」と少し切なそうな顔をするシン。
「うん。また。」と言って、シンさんに微笑みかける。
シンさんは小走りでルナさんの元へ行った。
「リキさん。ヒルコには気を付けてください。現実世界の姿が何故か特定されているっぽいんで。」
「あ!!そうでした。すっかり忘れてました。」
「現実世界は【リアル】と違って難しいでしょうけど、変装するなりなんなり工夫して下さいね。」
「はい。」
「では、お元気で。」
「ありがとうございます。」
シンカさんは終業式の後片付けに向かった。

どうしてシンカさん、現実世界は【リアル】より変装しにくいってわかったんだろう?本でも読んだのかな?

部屋に戻ると既に咲がいた。
「あれ?早かったんだ。」
「うん。このあと現実世界で伯父様に電話しないとだけどね。」
「そっか。じゃあ、落ちるよ。」
「うん。」

ログアウトして目を覚ました。
「やっぱり、戻った後って違和感しかないな。」
「そうだね。じゃあ、部屋戻るね。」
ベッドで横になっていた陽子さんは起き上がった。
「うん。おやすみ。」
「おやすみ。」
陽子さんは自分の部屋へ戻って行き、僕はベッドに入り、そのまま眠った。
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