上 下
71 / 92

71p【無限狩り】

しおりを挟む
朝6時に目が覚めて装備を整える。
コンコンと部屋をノックされて、シンさんだろうと思いドアを開けると、立っていたのはシンカさんだった。
今日はシンカさんが朝食を持ってきてくれたようだ。
「おはようございます。」
「おはようございます。朝食テーブルにおきますね。」
シンカさんは部屋に入って、テーブルの上に朝食を並べてくれた。
「いつもありがとうございます。」
「そろそろギルドハウス内に食堂を建設する予定なんでお楽しみに。」
「そうなんですね。楽しみにしてます。」
「ん、おはよー。」
咲が目をこすりながら部屋から出てきて、それと同時に片手で装備を変えていて、プロだ!と思った。

席について朝食を食べ始めるとシンカさんも椅子に座った。
「今日は狩りに行きましょう。」とシンカさん。
「狩りですか?」
「はい。ルナも一緒ですけど。」
「狩りってモンスター退治ですよね?」
「イメージとしては黄金洞窟みたいな感じなんですけど、そこのクエストは達成とか無くて、1体倒すと経験値になります。」
「経験値って?レベルか何か実装されてたんですか?」
「いえいえ、AIの経験値ですよ。AIのタマゴを持ってる人専用クエストです。リキさんの2体目のAIって、未だにタマゴのままですよね?退屈ですよ?アレの中。」
「マジですか?」
「マジです。AIのタマゴは経験値を集めきると1段階に進化します。必要経験値はわかりません。色々調べてはみたんですが、みんなバラバラでした。スマホの中に、AIってアイコンあります?」
スマホを取り出して画面をみると、前からちょっと気になってたけど触る暇がなくて放置してたやつだ。
「あります。」
「押してみてください。画面をホログラム画面表示にして公開にして見せてください。」
言われた通りにして画面をうつした。
「うわ。これ絶対見せちゃダメですよ?全オートとかありえないんで。」
シンカさんが少し青ざめた顔をする。
AIのアイコンを押すとさらに咲とまもるのアイコンが表示された。咲のアイコンの下には全オートと書かれていて、護のアイコンの下には詳細設定と書かれていた。
「わかりました。見せたのがシンカさんで良かったです。」
「じゃあ、護さんの詳細設定を開いてみてください。」
言われた通り護の詳細設定を開くと、ずらーっと文字が並んでいて、性格のところが黒くなっていて操作できない状態で、主人との関係とかは操作できるようで黒くはなっていなかった。
「やっぱり、性格は操作できないんですね。自分もそうですけど。セーレがAIに入った場合は性格決まっちゃってるんで操作不可っぽいですね。シンは操作できるってルナが言ってましたけど。
「あ、その詳細設定1つ埋める事で経験値が少し入ります。」
「なるほど、じゃあ詳細設定を埋めるか、クエストをするかなんですね。」
「はい。千翠さんが狩りだけでAIを育ててみた事があるんですけど、勝手に詳細設定が埋まっていくそうですよ。」
「つまり詳細設定の項目がある程度埋まらないと生まれない感じですか?」
「さぁ?まぁ、そうですね。そんな感じです。はい、じゃあという事で狩りに行きましょう。」

朝食が終わった後、さっそく狩りをするクエスト場へシンカさんに連れていってもらった。
緑が生い茂った公園の広場に黒い怪し気なゲートが開かれている場所についた。
「やっと来たわね。」
ルナさんがいつもとは違う服装で立っていた。黒いズボンに白いカッターシャツ姿で、髪は後ろに束ねられていて、黒い大きな帽子を被っていた。
「どうしたんですか?いつもと服装が違いますね。」
「ドルガバ対策。このクエストは誰でも入場可能だし。いつものだと私だってバレるでしょ?いちいち名前表示してるユーザーはかなり少ないからバレないでしょ。」
(あのしつこさだと、名前表示しててもおかしくない気がするけど。)
「シンさんはいないんですね。」
「シンはギルドの管理に回ってもらってるわ。さぁて!行くわよ!」
パーティーは別々なのかな?
黒い怪し気なゲートにルナさんとシンカさんが入っていき、僕と咲も怪しげなゲートに入っていく。
ゲートをくぐると、壁は黒く薄いガラスのようなもので、床は砂場。学校の体育館くらいの広さの砂漠空間に変なタマゴっぽいモンスターがわんさかいて色んな人がそこで狩りをしていた。
「人が多いわね。別空間に移動するわよ。こっちきて。」
ルナさんが近くの大きな魔法陣の上にたった。僕もその上にたつ。ルナさんが何かのボタンを押すと、同じ景色だけど、誰も人がいない空間に変わった。
「え?どうなってるんですか?」
「これがいわゆるチャンネル制ってやつよ。」
さっぱりわからないんですけど!?でも、チャンネル制って聞いた事がある。練習場1番とかみたいにクエスト1番会場のようなものだったかな。
「魔法陣で人のいない部屋を指定して移動しただけですよ。中身は全く一緒ですけど。」
「そうなんですね。」
「さぁて!狩るわよー!りき、部屋の半分狩ってね。」
「は、はい。」
タマゴはじっとしていて、ルナさんはシンカさんを斧に変えて装備してタマゴを殴ると中から茶色の足の無いかなり太ったトカゲがでてきてそれを斧を振り回して倒していく。
「ほら、リキ、いくよ!」咲がステッキを解放する。
「陽子!温存!休憩してた方がいいわ!」
「え?わかった。」
「主人の休憩時間に狩りなさい。」
「うん。じゃ、リキ。頑張ってね。」
「あ、うん。」僕は小人達をだして目を瞑って、魔力を温存しつつ戦う指示をだした。
ほんとだ。なんか黄金洞窟のクエストっぽい。永遠と小さなモンスターを倒す感じ。まぁ、僕目を瞑ってて何が起きてるか全くわかんないんだけど。
しばらくして疲労バフが重なってきて、辛くなってきたけど、これよりもっと酷いクエストあった。まぁ、耐えれない事はないかな。

「リキ!昼休憩とるわよ!」とルナさんに言われて目をあけるとモンスターの死骸が結構あって驚いた。
「あ、はい。」
シンカさんが元の姿に戻ってテーブルとイスを二つ、それから昼食のパンをだしてくれていた。
「じゃあ、休憩中はお願いね。二人とも。」ルナさんの言う二人とは、シンカさんと咲のことだ。
シンカさんは狩場にいって、格闘技でモンスターを倒す。
咲はステッキでモンスターを倒していた。僕は椅子に座ってルナさんとパンを食べる。
どうしよう。何喋っていいかわからない。
「ごめんなさいね。」
「え?何がですか?」
「陽子と一緒にいるって事は、もう大変な事に巻き込まれちゃってるんでしょ?」
「そうですね。」
「実はね。最初から、あの花びらを見た瞬間から、リキがどうなっていくのか分かってたの。黙っててごめんなさい。あと、これだけは知っておいて本当のミルフィオレの姿。今は4000人弱だけど、本当はドルガバと同等の人数が在籍してるわ。ジャンのようによそでスパイ活動中って感じなんだけど。」
僕は唖然とした。ドルガバと同等の人数だって?
「え。話が大きすぎて、どうなってるのやら。」
「混乱するわよね。色々歴史があるのよ。千翠に一度裏切られて、1から別のギルドを作り直した時に新しいコネができたり、ミルフィオレの前のギルドの人達とのつながりとか。あーもう!話すと長いのよ。」
「え?千翠さんが裏切り…ですか?」
「私を裏切ったわけじゃないの。私以外を裏切った…っていうべきかな。もう随分と前の話だけどね。」
「千翠さん、どこか黒い感じしてましたけど、もうやらかした後だったんですね。」
「あっははは!やらかした後って!そうね。やらかした後ね。だからこそ今は信頼できるし。一番頼りにしてるのよね。」
「リキ。ゲームの世界は現実世界と違って本当に色んな人がいると思う。心の解放世界だから、好き勝手言う人もいるし。」
「はい。」
既にルナさんで相当ヤバイとは思ってるけど。
「そういえば、どうして休憩中AIに狩らせないといけないんですか?」
「たまに、部屋が空いてなくて狩ってないと容赦なく横入りしてくる奴がいるのよ。通称、よこ よ。ちなみに横の横をしたらたてって言うの。」
「そうなんですね。」
「いつまで休憩してるんですか?そろそろ狩ってくださいよー。」とシンカさんが気だるげに声をかけてきた。
「はいはい。」とルナさんは動きだす、次はシンカさんを武器にせず、真っ黒な斧を装備してモンスターを狩りだした。
「え、あれ?ルナさんって、いつもの傘で戦わないんですね。」と僕は隣にいたシンカさんに言った。
「ん?あぁ。斧スキルにMAX振ってるんで本当は斧使いですよ。あの傘と同等の強さの斧もたくさん持ってますし。」
「へぇ…意外ですね。」
「ほら!りき、交代!」
「あ、うん。」

夜まで狩りをして晩餐の1時間前にギルドハウスに戻った。ちなみにシンカさんはもっと早くに戻っていった。
1時間後普通に晩餐をして、ジョンナム班の人と練習試合をして勝って、部屋に戻った。
明日もまた狩りらしい、ルナさん良く長時間狩り続けられるなぁ。

布団の中で今日の話を色々考えてるうちに眠ってしまった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

異世界複利! 【1000万PV突破感謝致します】 ~日利1%で始める追放生活~

蒼き流星ボトムズ
ファンタジー
クラス転移で異世界に飛ばされた遠市厘(といち りん)が入手したスキルは【複利(日利1%)】だった。 中世レベルの文明度しかない異世界ナーロッパ人からはこのスキルの価値が理解されず、また県内屈指の低偏差値校からの転移であることも幸いして級友にもスキルの正体がバレずに済んでしまう。 役立たずとして追放された厘は、この最強スキルを駆使して異世界無双を開始する。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません

青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。 だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。 女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。 途方に暮れる主人公たち。 だが、たった一つの救いがあった。 三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。 右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。 圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。 双方の利害が一致した。 ※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

処理中です...