非力だった少年はチートで生まれ変わる。

無月公主

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58p【ピンチ】

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みんなが「え。」ってなった。
ホログラム画面に報酬が表示されていた。
「うわぁ!!今みんな一斉に攻撃あたって一気に削れたなぁ!!あっケガしてる人いますね!回復します!」と急いでスゥで全員を全回復してログを流した。
ついでにデバフも1段階解除をつけて咲のログが残らないようにした。
「えぇ!まじかぁ!全員のログとっとけばよかったぁ。」
どうやら誰にも見つかっていないようだ。
トントンと肩を叩かれて、振り返るとヒルデさんだった。
「お、お疲れ様です。ヒルデさん。」
「お疲れでしょう?丁度今は朝で、そちらの晩餐とやらまで、まだまだ時間がありますし、うちへ寄っていってくださいな。」と笑顔なヒルデさん。
あ、コレ、バレてるやつだ。

という訳で、僕と咲とにー湯kenさんはヒルデさんの部屋へ招かれた。
フカフカソファーに座ると目の前のローテーブルに豪華な料理が並んだ。

咲が遠慮せずに料理に手をつける。
「はむっ、もぐもぐ。ギルドの料理のほうが…むぐっ!!」
急いで咲の口に食べ物を突っ込んだ。
「そちらのAIは何シリーズですか?」とヒルデさん。
「えっと近所の花屋さんのAIを譲っていただいて、シリーズガチャでしたっけ?そういう類のAIじゃないんですよ。」
「へぇ。では完成品を頂いたのですね。一瞬でしたが、見た事もないダメージが見えたのですが。」とヒルデさんは笑顔を崩さず、目を細めた。赤い瞳が真っ直ぐ此方を見る。

「えっとそれは!!春風のタクトとの合わせ技で!!」
もう言い訳の限界だ!誰か助けくれ!そう心の中で祈っていると、ピピピっと部屋のどこかから音が鳴って、ヒルデさんがスマホを見る。
「残念です。もう少し詳しくお話をお聞きしたかったのですが、シンさんがお迎えにきたようです。」

シンさん!!!神様だ!!

僕と咲はエターナルフォートレスの門の前までゲートを開いてシンさんの元へ行った。
「さ、帰るよ。」とシンさんはギルドハウスの大広間ゲートを開いてくれた。
「た、助かりました。」
「お帰りなさい。」とシンカさんも大広間にいて、料理を出してくれていた。
「kenさんからヘルプのメールきてたから。」
「根掘り葉掘り聞かれそうになってたそうじゃないですか。」とシンカさんはニヤニヤする。
この成長したシンカさん、慣れないな…。

「やっぱり!!シンカ君のご飯が一番ね!」と咲は美味しそうにご飯を食べる。
「咲、もうちょっと、なんていうか、なんでもない…。」
もう少し品が欲しいだったり、もうちょっとバレないように気を付けて欲しいだとか思ったが、言えば傷つくだろうと思い、ぐっと飲み込んだ。
「何よぉ。」
「もうちょっとバレないように気を使ってほしそうだよ?君のご主人様。」とシンさんが言った。
(流石シンさんだ。僕の表情を読み取るのが上手い!!けど、言わない事にしたのに。)
「ごめん!ステッキの効果解除してから使うの忘れちゃって!巨人の体力ゴリっと削れちゃったね。」
あははと笑いながら頭を掻く咲。
シンカさんがボソッと「化け物娘。」と言った。
「また化け物娘って!!ひどい!!でもご飯美味しいから許す!」
「食べ終わったら少し休むといいよ。パジャマも無事手に入ったみたいだし。」
「はい、そうします。」

食事が終わって部屋へ戻った。
パジャマに着替えてベッドに入ると咲もパジャマに着替えてベッドに入ってきた。
「え…。」
「ん?何?」
「…なんでもない。」顔がカァっと熱くなる。
「このベッド懐かしい。ずっと使ってたベッドなの。」
「あ、そっか。この部屋自体、咲のデザインなんだっけ。」
「うん。お花が好きで、春風のタクトもね。ハルで温度調整して可愛いお花いっぱい咲かせてたの。」
「へぇ…。って、なるほど。そうか。ハルの能力ってその為のものだったのか。」
「うん!それでね!」
咲の楽しそうに喋る声が心地よくて、いつの間にか眠りに落ちていた。

目が覚めると、1日過ぎていた。
二日連続で晩餐に出席できなかったのはちょっと心苦しい気がした。
朝の6時、隣に咲の姿はなかった。スマホでAIページを開けば咲の居場所が表示される。ジャンさんの部屋にいた。とりあえず起き上がって装備を整えた。
すると、バンッと扉が開いて、咲が部屋に入ってきた。
「やっと起きたー!」
「おはよう。」
「おはよー!色々思い出した事があるの。現実世界に戻ったら話すね。」
「あ、うん。」
「だから、そんなとこで扉も閉めずにそういう話やめなよ。」とシンさんが朝食を運んできてくれた。
「すんごい寝てたね。」とシンさん。
「あー、色々疲れてたのかもしれません。」
「だろうね。ジャンさんがこっちに来てくれてなかったらと思うとゾっとするよ。リキが寝てる間も、咲は色々酷かったからね。暴れたい放題。」
シンさんは喋りながらもキッチリ配膳してくれる。
「あぁ!また酷い事いうー!」
「…咲、何したの?」
とりあえず椅子に座れば、咲もシンさんも椅子に座った。
「何もしてないよ。」
「うそ、片っ端から練習試合挑んでコテンパンにして、僕と千翠さんとジャンさんがどれだけフォローしたか…。」
「うわぁ!!すみません!」と少し青ざめながらシンさんに謝る。
「あ!ご飯だ!いっただっきまーす!」
そんな僕にお構いなしで咲はさっそくご飯を食べる。

「で?今日の予定は?」
「あー、どうしましょう。」
「ん?ソロモンやったの?」と咲が問う。
「あ。やってないや…。」
「じゃあ、それ一緒に行こうよ。」
「うん。」
「ソロモン…か。うん、いいんじゃない?頑張って。」とシンさんは少し微笑んだように見えた。

というわけで朝食を食べ終えたあと、初心者村のソロモンの宴の塔へ来ていた。
「うんうん!久しぶりだなぁ。この塔。」
「咲、来た事あるのか?」
「うん、あるよ。結構最強な武器と防具で挑んだけど、昔の装備じゃ歯がたたなくって。今はいける気がする。必要なものは伯父様が用意してくれたし。」
このクエストはAIと一緒に入る事ができない。ソロ専用クエスト。
「よし!じゃあいっきまーす!」と咲が先に入っていく。
次に僕が扉に手を触れてクエストを開始した。
真っ暗な空間からボボボボボッとロウソクの明かりがついて、部屋の中央にカエルと人間と猫の顔をもつ蜘蛛が現れた。
タクトを構えるとハルがでてきた。
「残念。みんな主のとこへ行っちゃったよ。」
「なっ!?」
「伝言終わり!じゃあね!」
ハルまでも咲の方へ行ってしまった。
(誰も…いない…。どうしよう…出る?…出ようかな…。先に使うなら使うって言っといて欲しかったなぁ。)
蜘蛛が襲い掛かってきて、ギュッと目を瞑ってしまった。すると痛みが来ずに「うっ。」と、ウォールの声が聞こえた。
「ウォール!!!」
「すまない。一時だけだが、側を離れてしまった。」
「まさか僕のところに来てくれるなんて。でも、どうする事もできないな。んー…。」
そうだ。ダメもとで、サモンゲートを使ってみよう。

「サモンゲート!!」

ダンジョン中は無理かと思いきやゲートが開いて人が出てきた。
「なっ!?はぁ。大事な仕事の途中だというのに。どこですか?ここは。」
なんとゲートから千翠さんがでてきてしまった。
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