上 下
55 / 92

55p【ヒルデ】

しおりを挟む
ゴゴゴゴゴと重厚な音を鳴らしながら扉が開いて、入ってみると、中心には城のようなものが立っていて、色んな色淡い光を放つ外灯がズラッと並んでいて、パっと見た感じ、色味のある現代のローマ帝国みたいな印象を受けた。
古代都市やローマ、イギリス、フランスをモチーフにした外装の国は沢山ありそうだ。

少し進めば目の前にゲートがでてきた。

ゲートの中から、長い髪、肌、まつげも何もかも真っ白で、目だけが赤い見た目は16歳くらいの少女がでてきた。服装はワンピース水着っぽいカタチはしているけどプレート系の防具なんだろうなという事だけわかった。
「ヒッヒルデ、ひ、さしぶりだなぁ!!」とにー湯kenさんが赤面しながら挨拶をする。
「お久しぶりです。こんなにたくさん来客がきてくれるなんて。ミーナからメールがきてて、もうくる頃だと思って、お迎えに上がりました。」とニコリと優しい笑みを浮かべるヒルデさん。その顔を見れば心が少しほっこりしてしまう。それから声を聴いて驚いた、恐いくらい姉さんの声に似ていたから。でも姉さんは【リアル】をやってないから違う。姉さん、大人しくなったらこんな感じなんだろうな。
「お久しぶりです。何かお変わりありませんか?」とシンさんが聞く。
「ええ、大丈夫です。毎日平和です。そちらの方はギルドの新人さんですか?」
「あ、はじめまして。リキです。隣は僕のAI咲です。」
「どうも、はじめまして、ヒルデです。あなた、もしかして噂の春風のタクトを使いこなす期待の新人さんかしら?」
「えぇ!?えっと、多分僕です。春風のタクト使ってます。」
「クスクス、そですか。このゲームは復帰者には厳しいですから、頑張ってね。」と頭を撫で撫でされて、にー湯kenさんが少し羨ましそうに此方をみていて気まずかった。
「あはは…。」
「立ち話もなんですし、お部屋へ案内しますね。どうぞ。」とヒルデさんはゲートを開いてくれた。
ゲートの先は凄くゴシックな部屋だった。
「ねぇ、リキ。ヒルデさんの声、すっごくお姉さんに似てない?」
「うん。びっくりしたけど、姉さんは【リアル】をやってないよ。」
「そうよね。」
ヒルデさんはソファへどうぞといってくれて、座ってみると凄くフカフカだった。
「あ。ミーナさんから預かった服だ。」とにー湯kenさんは少し顔を赤らめながらプレゼントを渡す。
「ありがとうございます。早速着てみますね。」ニコリと微笑むヒルデさん。
防具がパッと入れ替わって、白いワンピースドレスになった。そのドレスにはところどころ可愛い白い花がポンポンついていて、またそれが真っ白なヒルデさんを可愛く見せた。
「あ。kenさん石化しちゃった。」とシンさんが言う。
「えぇ!?武器装備してないのに!?」
「ほっときましょう。」とシンさんは何か変なものを見るような目でにー湯kenさんを見つめていた。
「わー…!プレートのドレス凄い!それに可愛い!」と咲は目をキラキラさせてみつめていた。
「ミーナとジャン君のコラボ防具のようですね。」
ホログラム画面が表示されて[ジャンヌダルクフラワードレス:プレート《性能略》デザイン:ミーナ 製作者:ジャン]
「ジャンさんってドルガバの?」
「そうです。あら、リキさんもお知り合いで?」
「あ、はい。僕も一度防具を作ってもらった事があって。」
「いいなぁ~私も作ってもらいたいなぁ。」と咲は羨ましそうにドレスを見る。
「咲なら作ってもらえそうだけど、だって、ウォールの盾はジャンさんに作ってもらったんだよね?」
「そうだけどさぁ。」
「咲さんのお召し物も十分素敵ですよ?りきさんはずいぶんAIに課金なさってるんですね。」とヒルデさん。
「え。」
(まずい。何か勘づかれそうだぞ。)
「コホンッ。そうなんですよ。僕はやめとけって言ってるのに、りきはAIに溺愛してて自分の装備よりAIの装備優先で。」とシンさんがフォローしてくれた。
色々危なかった気がする。「もう喋らないで。」と顔で語られてしまった。
「まぁ!素敵。そういえば、最近平和は平和なんですが。ドルガバの人がしつこくギルド員に勝負をしかけてくるみたいで、我々一同はすっかり引きこもりになってしまっております。」
「え!!全然平和じゃねーじゃん!」とにー湯kenさんが復活して喋りだした。
「今はまだ負けなし、ですけれどバトル回数が多いので気になってしまって。」
「そうですか。これは連合ギルドの様子を見て回る必要があるかもしれませんね。」
「いつも私とパーティーを組んでくれてる副官二人もログインがまだで、少し心細いのですが、特にペナルティになったギルド員はいませんし。平和は平和なんですけどね。」と頬に手をあてて悩むヒルデさん。
「あ。にー湯kenさんお貸ししますよ。副官さんがログインするまでお使い下さい。」
「おっおい!シンっ!勝手に決めるな!」と嬉しそうな顔で否定するにー湯kenさん。
「まぁ!よろしいですか?kenさん。」と嬉しそうににー湯kenさんに詰め寄るヒルデさん。
「まっ、まぁ俺はルナ班の中で比較的予定がないからな。いいけどな。」と頬を赤らめて鼻をこする。
「ふふふ♪ありがとうございます。」
「さて、戻ろっか。晩餐近いし。」とシンさん。
「もうお戻りに?」
「はい、夜には絶対戻るようにルナに言われてるんで。」
「そうですか。また遊びにきてくださいね。」
「はい。」
「リキさんも咲さんも是非遊びにいらしてくださいね。」
「はい。」

シンさんのゲートでギルドの大広間へ帰った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです

ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。 転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。 前世の記憶を頼りに善悪等を判断。 貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。 2人の兄と、私と、弟と母。 母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。 ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。 前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。

婚約破棄に向けて悪役令嬢始めました

樹里
ファンタジー
王太子殿下との婚約破棄を切っ掛けに、何度も人生を戻され、その度に絶望に落とされる公爵家の娘、ヴィヴィアンナ・ローレンス。 嘆いても、泣いても、この呪われた運命から逃れられないのであれば、せめて自分の意志で、自分の手で人生を華麗に散らしてみせましょう。 私は――立派な悪役令嬢になります!

俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉

まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。 貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。

婚約破棄? ではここで本領発揮させていただきます!

昼から山猫
ファンタジー
王子との婚約を当然のように受け入れ、幼い頃から厳格な礼法や淑女教育を叩き込まれてきた公爵令嬢セリーナ。しかし、王子が他の令嬢に心を移し、「君とは合わない」と言い放ったその瞬間、すべてが崩れ去った。嘆き悲しむ間もなく、セリーナの周りでは「大人しすぎ」「派手さがない」と陰口が飛び交い、一夜にして王都での居場所を失ってしまう。 ところが、塞ぎ込んだセリーナはふと思い出す。長年の教育で身につけた「管理能力」や「記録魔法」が、周りには地味に見えても、実はとてつもない汎用性を秘めているのでは――。落胆している場合じゃない。彼女は深呼吸をして、こっそりと王宮の図書館にこもり始める。学問の記録や政治資料を整理し、さらに独自に新たな魔法式を編み出す作業をスタートしたのだ。 この行動はやがて、とんでもない成果を生む。王宮の混乱した政治体制や不正を資料から暴き、魔物対策や食糧不足対策までも「地味スキル」で立て直せると証明する。誰もが見向きもしなかった“婚約破棄令嬢”が、実は国の根幹を救う可能性を持つ人材だと知られたとき、王子は愕然として「戻ってきてほしい」と懇願するが、セリーナは果たして……。 ------------------------------------

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

種から始める生産チート~なんでも実る世界樹を手に入れたけど、ホントに何でも実ったんですが!?(旧題:世界樹の王)

十一屋 翠
ファンタジー
とある冒険で大怪我を負った冒険者セイルは、パーティ引退を強制されてしまう。 そんな彼に残されたのは、ダンジョンで見つけたたった一つの木の実だけ。 だがこれこそが、ありとあらゆるものを生み出す世界樹の種だったのだ。 世界樹から現れた幼き聖霊はセイルを自らの主と認めると、この世のあらゆるものを実らせ、彼に様々な恩恵を与えるのだった。 お腹が空けばお肉を実らせ、生活の為にと家具を生み、更に敵が襲ってきたら大量の仲間まで!? これは世界樹に愛された男が、文字通り全てを手に入れる幸せな物語。 この作品は小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。

チュートリアル場所でLv9999になっちゃいました。

ss
ファンタジー
これは、ひょんなことから異世界へと飛ばされた青年の物語である。 高校三年生の竹林 健(たけばやし たける)を含めた地球人100名がなんらかの力により異世界で過ごすことを要求される。 そんな中、安全地帯と呼ばれている最初のリスポーン地点の「チュートリアル場所」で主人公 健はあるスキルによりレベルがMAXまで到達した。 そして、チュートリアル場所で出会った一人の青年 相斗と一緒に異世界へと身を乗り出す。 弱体した異世界を救うために二人は立ち上がる。 ※基本的には毎日7時投稿です。作者は気まぐれなのであくまで目安くらいに思ってください。設定はかなりガバガバしようですので、暖かい目で見てくれたら嬉しいです。 ※コメントはあんまり見れないかもしれません。ランキングが上がっていたら、報告していただいたら嬉しいです。 Hotランキング 1位 ファンタジーランキング 1位 人気ランキング 2位 100000Pt達成!!

義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。

克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位 11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位 11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位 11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位

処理中です...