非力だった少年はチートで生まれ変わる。

無月公主

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43p【血色とミズホ】

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「で、俺の班にスパイが入ってたって?」
「はい。見事に、ルナの部屋まで辿り着かれてしまいました。熱狂的なルナ信者の方々に散々嫌味を言われてしまいました。」
「すまん。千翠、ちょっと練習試合付き合って。ちいろの性能を試したい。」
「……今の話聞いてましたか?」と眉間に皺をよせ、片手で頭を抱える千翠さん。
「聞いてた。練習試合がしたい。」
千翠さんは「はぁ~~~。」っと深い溜息をついてから、「では、練習場げ行きましょう。」と言って丁寧にゲートまで開いた。
ギルドハウスの練習場へ移動した。

ゲートをくぐって見えたのはシンさんだった。
「早かったですね。数日はかかるかと思ってました。」
「リキさんのおかげですよ。」と千翠さん。
「さすが期待の新人。やるじゃん。」とシンさんに褒められた。
「いえ。僕は何も、ほんとに運が良かっただけで。」
本当に花びらを出しただけで、何もしていない。運が良かったの一言に尽きる。
「まだか。千翠。」とダリアさんは千翠さんをせかす。
「待ってください。シン、すみませんが、リキさんをよろしくお願いします。」
「はい。」
パーティーが解散され、シンさんが僕にパーティー招待をくれて入ってみると、パーティーにはシンさんとshiftさんとでパーティーが組まれた。Shiftさんの体力と魔力を表示するバーが灰色になっていたので、離れた場所にいるという事だけは分かった。

「もういいな?」とダリアさんは戦いたくてうずうずしてるようだった。
「危ないから離れるよ。」とシンさんに言われて練習場の端へ移動する。

「ちいろ、武器になって。」とダリアさんが言えば、ちいろさんは「やだ。」と言ってプイッと顔を逸らしてしまう。
「………。」
ダリアさんはホログラム画面を表示する動作をして出し、ポチポチと操作し、お菓子を取り出してちいろさんに与えた。
「にゃっ!お菓子~!!しかも高いやつ!!」と、ちいろさんは目を輝かす。
「……戦ってくれたらご褒美にこれを渡す。」と、ダリアさんが言うとちいろさんが赤く光って、真っ赤な血が滴る刀になった。
コツコツと誰かの靴の音が聞こえて、青色の髪を七三分けにした、いかにもエリートっぽい男性AIがダリアさんの方へ歩いていく。
「ダリアのAI、ミズホ。僕らと同じシリーズのAIの矛型の刀だね。」とシンさんが聞く前に教えてくれた。
ミズホさんはダリアさんの近くまでいくと青い刀の姿に変わった。ダリアさんは刀の二刀流らしい。
「切れ味を試すだけですね?」
「あぁ。それは千翠にしか試せん。」
「でしょうね。」
千翠さんはいつもの回復扇子しか装備せず、公開型のホログラム画面を出した。どうやら、戦闘行動履歴を表示しているようだ。
練習試合のカウントダウンが始まり、ゼロになった瞬間ダリアさんは千翠さんを凄いスピードで斬りつけにいった。
「1903ダメージ。ミズホ、本気をだしなさい。ちいろ5250ダメージ。上々。」と受けたダメージを回復しながら、しっかりとダリアさんの攻撃力分析、及びAIへの指摘をする千翠さん。
次にダリアさんは千翠さんの背後にまわって千翠さんを斬りつけた。
「ミズホ3600ダメージ。ちいろ5500ダメージ。」
「ミズホとちいろに何の差がある。」とダリアさんに言われて、ミズホさんは武器化を解いた。
「何がいけない。」
「コホンッ。ミズホ、私への情を捨てなさい。長くい過ぎたようですね。」と千翠さん。
「千翠…様。」と少し困ったような顔をするミズホさん。
「千翠、俺の武器に何してくれたんだ。」
「ダリアがいつまでたっても帰ってこないからミズホがこうなったんです。私のせいにするはおかしいですよ。」
「ミズホいいか?俺以外はみんな敵だ。心に刻め。」
「ぷはっ。ダリアさん相変わらず無茶苦茶すぎ。」とシンさんが笑う。
「…はい。」とミズホさんがまた武器化した。
それからダリアさんはもう一度千翠さんを斬りつけた。
「ミズホ7000ダメージ!ちいろ5100ダメージ!」
「よしっ!!!ちいろ、もっとだ。もっと俺の為に力を出せ。」
「ミズホ6997!ちいろ5700!」
それから暫らくしてようやくミズホさんとちいろさんの威力が増しきったようだ。
「ミズホ8100。ちいろ8000!」
「よしっ!!よしっ!!!俺が最強だ!!」とダリアさんが喜ぶ。

「最強なんですか?」
「回復ポーション無しなら最強じゃない?ダリアさんはプレイヤースキル最強って言われてて、反射神経が凄いんだ。タイマンのイベントでも1位とってたし。」
そんな凄い人が…。

「そろそろ晩餐ですね。シン、ルナの様子はどうですか?」と千翠さん。
「え?あぁ、迎えいるんじゃない?」
「はぁ…。すみませんがダリア、ここまでで良いですか?」
「あぁ。十分だ。」
千翠さんとダリアさんは練習試合を閉じた。

すると目の前にホログラム画面が突然現れて[不具合が検出された為、時間圧縮を停止します。]と書かれていて、アナウンスも流れた。
ちいろさんとミズホさんが元の姿に戻った。
「ダリア様、お時間が…。」とミズホさんが焦ったような顔をしてダリアさんに言う。
「え!?ダリア落ちちゃうの?」とちいろさんが悲しそうな顔をする。
「ん…23時には落ちないと、仕事が間に合わない。」
「残念ですね。せっかく戻ってこられたというのに。」と千翠さん。
「ミズホ、ちいろを頼む。色々ここの事教えてやってくれ。後、お菓子を沢山買ってやってくれ。」とダリアさんはお菓子袋を取り出してちいろさんに与えた。
「お菓子~!!!」と ちいろさんはお菓子袋を抱きしめた。

「少し早いですが今回の晩餐は終業式になりますね。りきさん、ログアウト後の事はわかってますね?」と千翠さん。
「はい。」

それから千翠さんとシンさんと拗ねているルナさんの部屋へと向かった。
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