非力だった少年はチートで生まれ変わる。

無月公主

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40p【魔王シンカ】

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朝5時過ぎにサイレンのような音が鳴って目が覚めた。
「リキさん、良く聞いてください。自分は間もなくルナに召喚されて、PTから抜けます。ここにタクミさんが来るまで絶対に部屋からでな…」とシンカさんが喋ってる途中でスッと姿が消えてしまった。
消え方が一瞬すぎて唖然とする。
[シンカ様がパーティーを脱退しました。]と小さなホログラム画面が表示された。
一体何が起こっているんだろう?それにこのサイレンはいつ消えるんだ?
とにかく、装備を変えないといけないと思って、いつもの装備に切り替える。
装備を変えている途中でサイレンは鳴りやんだ。
朝食は簡易パン。うっすらと塩の味がする硬いパン。それを食べ終えた時に[ユナ様がパーティーに加わりました。]とホログラム画面が表示された。
ユナさんって確か幹部の大きなリボンをつけた人か。
しばらくしてコンコンと部屋をノックされて、でてみるとShiftさんとユナさんだった。
「ついてこい。」とShiftさんに言われて、部屋を出てついていく。
「あの、何かあったんですか?」
「ふふんっ♪バトル王に挑戦者が現れただけの事よ。」
「え?それって、ルナさんにバトルを挑んだ人がいるって事ですか?」
「そうだ。ほんっとに何も知らないねぇ、君は。脳みそ筋肉かよ。」と僕に悪態をつくShiftさん。
「ふふんっ♪タクミにーさん?言い過ぎですよ。さて、どこの誰がどうやってルナ姉様に…」とユナさんが何かを言いかけると、それを阻害するかのようにShiftさんが「はぁ~…かなりキモいんでやめてもらえます?」と言い返した。
「ふふんっ♪失礼な人。リキさん、気にしないでくださいね。タクミにーさんはルナ姉様が危険にさらされてて気がたってるんですのよ。」と扇子で口元を隠しながら笑うユナさん。
確かに、今日のshiftさん、いつもよりかなり苛立ってるように見える。ルナさんの事が心配なのか。
「え、ルナさん危険なんですか?」
「ふふんっ♪ルナ姉様というより、この国が危ないですわね。姉様が負けるような事があれば、この国は崩壊しますわ。」
「静かにしろ。ついた。」

そこは大きな大きな広間で【王宮の広間】という名前の部屋らしい。
ギャラリーが凄かった。いつもの晩餐のメンバーが勢ぞろいしていた。中央にはルナさんがいて両隣にはシンさんとシンカさんがいた。ルナさんと距離をおいて金色の美しいドレスを着た、金髪の女性プレイヤーがたっていた。そのプレイヤーの両隣には九尾の尻尾と狐っぽい耳が生えた巫女服をきているAIと、ところどころ鱗のある青い肌色をした龍が無理やり人になったみたいなAIがいた。
「…は?ドルガバの副官ミシェルだと?どうやってここに入った。」
「ふふんっ♪謎ですわね。」

「きたか。」とスノーポークさんが近寄ってきた。
「ふふんっ♪あら、ユウキ様。」
「どうやら、昨日のリキのサモンゲートを見て、召喚者をフレンドにしてミシェルを召喚したようだな。」
「は?ミルフィオレに裏切り者がいるって事か?」
「そういう事だ。裏切り者を見たであろう人物を東屋あずまやに今割り出してもらってる。」
僕のゲートを見てって事は、あの晩餐にいた誰かが?
試合待機中と会場の上空に大きく表示されていた。
「すぐにカウントが始まったりしないんですか?」
「防衛戦を見るのは初めてか。通常のバトルとは違う。国にかかわる試合は待機時間がゲーム内時間で1時間設けられる。」とスノーポークさんが説明してくれた。
「えっと、もしかしてサイレンが鳴ってから1時間ですか?」
「そうだ。」
しばらくして大きなホログラム画面がルナさんとミシェルさんの間に現れてカウントダウンがはじまった。
歓声が凄い…。
しばらくするとカウントダウンが始まった。
カウントダウンが0になってすぐに、シンカさんはカタチを変えて大きな斧になった。それからシンさんもカタチを変えて大きな盾になった。その盾は持たずともルナさんを守るように浮いている。
「あらあら斧?ふふふっ。槍を引けなかったようね?ルナ。」
「引けなかったんじゃないわ。引かなかったのよ。当たりを引いてしまったから!!!」とルナさんは大きな斧を軽々と振り回し、ミシェルさんを攻撃しようとするが九尾のAIがそれをバリアで阻止する。
「AIを武器にしちゃって大丈夫かしら?まるでエサにようだわ。」と挑発的な余裕のある笑みを浮かべるミシェルさん。
龍神のAIがルナさんを引っ搔こうとすれば、盾が勝手に動いてそれを防いだ。
次にミシェルさんが攻撃をしかけてきて、それも盾が素早く移動して防いだ。
「くっ。」と少し苛立ち、眉間に皺をよせるミシェルさん。
「あらあら?エサなんじゃなかったのぉ?」と、ルナさんも負けずと挑発をする。

二人とも凄い動きが素早くて、ルナさんの盾は自動防御するし、武器は一撃当たると体力を半分近くもっていかれる凄まじい威力だし、これが矛盾シリーズのAI。
「あら?盾と斧が私の武器だとでも思ってるの?」
ルナさんは斧を手離した。すると、盾と斧は、手に持たず手の近くで浮いてる。カタチは武器と盾でもあれはちゃんとシンカさんとシンさんなんだ。
ルナさんの手には魔導書があった。もしかして、詠唱すれば強制勝利になるせこい本じゃないのか?

「あれは…【アポロンの残した日記】か?」とshiftさんがスノーポークさんに問う。
「いや、あれは…【賢者の書】だ。」
「は?マジで言ってるのか?頭おかしーんじゃねーの?運ゲーかよ。」
「どういう事ですか?」
「ふふんっ♪【賢者の書】は書の中に封じ込められた7人の賢者に向かって、使う用途を言って、承認されないと威力がでない、つまり運ですわ。賢者達の気分次第で全てが決まりますの。」
シンカさんが前にそんな事言ってた気がする。
ルナさんが書を開くとルナさんのまわりに七色の球体が現れた。
「国を守りたい!」とルナさんが叫べば、赤い球体が「承認。」橙色の球体が「否認。」黄色の球体が「承認。」緑の球体が「否認。」青い球体が「否認。」藍色の球体が「承認。」紫色の球体が「承認。」と7人のご老人の声が聞こえた。
「クスッ【賢者の書】?ずいぶん神頼みなのね。余裕がないのかしら。」とミシェルさんは攻撃をし続ける。
盾の体力が凄い削れてる。シンさん大丈夫かな?
次にルナさんは「この国の平和を守るため!!」と叫んだ。6人に否認されていた。
「そんなオモチャで遊んでる時間あるのかしら?」
武器が刃こぼれをおこしていた。
「シンカっ!!」
「盾は耐久があるわ!!武器から狙いなさい!!」とミシェルさんがAI達に指示を出した。
「シンカを守りなさい!!!」とルナさんが叫んだ。すると、7人全員がやっと承認し、7色の球体がシンカさんの中に入っていった。
「もう遅いようねぇ!!」
ミシェルさんの魔法攻撃で、斧がパリンッと音を立てて壊れた。
「シンカっ!!!!」
眩い光がホール全体を包んだ。
そして…
「一度使ってみたかったんですよ。コレ。」とシンカさんの声が聞こえた。
シンカさんの綺麗に切りそろえられたおかっぱ髪が、胸くらいまでボサボサに伸びて、綺麗なエメラルドグリーンに黒いメッシュが入っていた。
それから、白と黒の6枚羽に、漆黒のマント姿。

もしかして、昨日シンカさんが裸になった時に見えた下着!?あの、1兆円の下着の効果なのか!!?

てことは…シンカさん魔王になった!?
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