非力だった少年はチートで生まれ変わる。

無月公主

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37p【無慈悲な課金】

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「太陽の光!!」とシンさんの叫ぶ声が聞こえて、空から無数の光柱こうちゅうが出現して、チャチャさんとアザさんにそれが当たって勝利した。当たるというより、避けようがないようにもみえた。
「…かて…た。」
近くにゲートがでて、いつもと装備の違うラートさんが血相を変えて現れた。
その姿は美しいプラチナ色のメイルだった。
「シン!!!すぐにパーティーを解除しろ!!!」と、いつもじっとしていてほぼ無言で微笑んでいるだけのラートさんが声を張り上げてシンさんに指示をする。
そう言われてシンさんがパーティーから脱退しました。と表示されて、すぐにラートさんからパーティー招待がとんできた。受けようとした瞬間、バトル開始の画面になった。
パーティー招待を拒否しましたという表示が現れてしまった。
「クソッ!!遅かった!!」とラートさんが顔を歪めた。
「はっはっはっはっは!!愚かだ。実に、愚かだ。」と言いながら現れたのは、金色のスーツを着てモノクルをかけた金色の髪をオールバックにした男性だった。
「そ…んな。ドルガバのギルド長…ヒルコ。」とシンさんが言った。
「ふははははっ!!!実に愉快だ。シン、何をそんな驚いた顔をしている?ラート随分悔しそうな顔をしているじゃないか。何か、嫌な事でもあったのかね?」とニタァと歪んだ卑劣な笑みをするヒルコさん。
試合が開始された。
僕はすぐにチョコをとりだして魔力回復をする。
最初の時と違って、魔力がずいぶん伸びているからチョコレートでは少ししか回復できなかった。
「無駄だ。」とラートさんが僕に向かって呟いた。
「あぁ、無駄さ。」とヒルコさんも僕に言う。
ヒルコさんの後ろに黄金色の巨大な大仏のような何かが出現し光線が僕に降り注ぐ。
ウォールが受け止めてガードはしてくれているが、それを貫通して体力が削られてゆく。
「アイツは金で魔力を無限に回復できる。一回の試合に1000万enつぎ込めるような奴なんだ。」とラートさんが言った。
{そんな!?」
次第に僕の魔力が切れて、光線がモロにあたってしまって、激痛と共に試合が終わった。
ラートさんが素早くゲートを開いてシンさんが僕を素早くゲートに放りなげてギルドハウスに帰還した。
頭中で、ずっと、ヒルコさんの高笑いが響いていた。
あれにはどうしたら勝てるんだろう?
課金が正義だというなら【リアル】をプレイする意味は、もう…ない。
一瞬、咲の姿をみた気がした。でも違った。
ゲートの先はルナさんの部屋で、ルナさんだった。
負けて頭がおかしくなったのかもしれない。ルナさんと咲を見間違えるなんて。それに、僕は咲と暮らす為に【リアル】に戻ってきたんだ。
「りき。ありがとう、シンを守ってくれて、ありがとう。」とルナさんにぎゅっと抱きしめられた。
意識がしっかりと戻ってきた。
「結局、負けさせてごめん。」シンさんの悲しそうな声がした。
「すまない。間に合わなかった。」とラートさんが言う。
「えっとルナさんもラートさんも見てたんですか?。」
「えぇ、そうよ。自分のAIがバトルをすると、リアルタイムでホログラム画面に映るのよ。それを見てラートを呼んで一緒に見てたわ。まさか、ヒルコが出てくるなんて思わなくってね。チャチャには勝てると思ってたの。」
「【ドルガバ】の奴らは、俺達に親でも殺されたのかよってくらいの勢いでバトルを挑んでくるな…。」とラートさんは剣をしまい、金のステッキを取り出して装備した。
「あの、ここまで敵対視される原因って何かあるんですか?聞いてもいいですか?」
「もともと、ドルガバはヒルコのギルドじゃなかったのよ。リキはもう何度か聞いてしまってるかもしれないけれど、ソルって子が…ううん、公式のモニターGMソルが建てたギルド。ヒルコは、そうね。ソルが王ならヒルコは大臣かしら?そんな関係だったんだけどね。ある日ソルはヒルコにギルド長を渡して、私のところへきたの。傍から見れば、私がソルを引き抜いたように見えるわね。これ以上は詳しく言えないけど、ミルフィオレに一時期ソルが在籍してたのは事実よ。そして、ヒルコはうちに在籍していたソルにバトルを挑んだの。そのバトルの結果はソルの負け。そのままソルはログアウト、ペルナティ送りになってるわ。それからヒルコがうちのギル員に嫌がらせするようになったのよ。」
(その勝負に一体何があったんだ?)
「GMっていう事は、負けたあと会社で色々あったんですかね?」
「……さぁね。」
ルナさんは色々知ってるけど、いえないのかな。そんな感じがした。
「コホンッ!とにかく!これから全力でりきを守るわよ。りきの体力と魔力が私たちに追いつくまで。これからはシンカをつけるわ。」
「本気なんですね。」とシンカが言った。
「ええ、本気よ!あのチャチャに勝ったのよ?実力は本物だわ。」
「そういう意味の本気じゃないんですけどね。ま、同じ事か。」
「でも、勝ったのはシンさんのおかげです。」
「二人を相手しながらシンを守り抜いたのはリキよ。実際にうちで、あの魔導書最後まで詠唱させる事ができるのって千翠の結界か、もしくはシンに結界をはらせてシンカが詠唱するくらいしか成功しないわよ。ラートは大技ぶち込む専門だし。」
「防御、結界系は面倒すぎ。詠唱だとか神楽だとか、俺には向かない。」とラートさんは壁にもたれかかってため息をつく。
「自信を持って。リキ。」とルナさんが微笑みかけてくれた。
「はい、精一杯頑張ります。」
「で、シンがルナのお守りですか?リキさんがログアウトするまで。晩餐は誰が担当するんです?」とシンカさん。
「リキ!晩餐の2時間前までには絶対にギルドハウスにいること!後、あんまり出歩かないように!」
「えっ!?は、はい。」
出歩いてまた襲われたら嫌だし、出歩く予定はないですけど…。
「結局晩餐の準備は自分がやるんですね。リキさん、すみません。」とシンカさん。
「い、いえ!シンカさんが謝るような事は何も無いですよ。」
「あと、お守りってどういう事よ!」とシンカさんを見て膨れるルナさん。
「まぁ、まぁルナ。僕頑張るからさ。」とシンさん。どことなく嬉しそうな顔をしていた。
「コホンッ。それより、これからの事を話した方がいい。あと一回負ければ面倒だ。」とラートさんが言った。
「そうね。今りきのバトルポイントは100を超えたはず。シンカとシンとラートでパーティーを組んで初心者村へいってAI拡張チケットを買いに行ってちょうだい。安全地域でも、無理矢理戦争地域に押し出す方法なんていくらでもあるし、念のためね。」とルナさん。

僕はラートさんとシンさんとシンカさんとパーティーを組んで初心者村へと向かった。
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