非力だった少年はチートで生まれ変わる。

無月公主

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32p【回復武器と魔導書】

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家も花瓶のような形をしていて、上には大きな花。本物の花なのか彫刻なのかよくわからない。他にも木の中に家があったり、植物に囲まれた素敵な町で名前は【サンフラワー】
エルフの森とは違い、花が沢山で不思議と心が躍るような気持ちになる。
「ここで家具一式揃えましょう。野性的なリキさんにはピッタリなはずですよ。」と今さらっとシンカさんに貶された。
シンカさんに案内されて、大きなお店についた。そこは武器や防具それから家具が売っていてた。ホームセンターのような空間だった。
「すみません、この人にここの特産家具一式売っちゃってください。」とシンカさんはニコニコ顔の小綺麗な女性店員さんに声をかけていた。
「はーい。6万円になりまーす。」
6万!?僕、あのクエスト凄い苦労してクリアしたのに6万って。
「ほら、お金持ってるんですから出してください。」と言われて強引にお金を払わされて、家具一式を手に入れた。
「はぁ。またあのクエスト行かなきゃ…。」トホホと一旦感じにホロリと涙が出る。
「クスッ。そうですね。あと一ヶ月ほどは籠ったほうが良いですよ。」
「できればもう行きたくないんですけど…。」
「何言ってるんですか?現実世界のたった数秒で、いや、数分?で10万ですよ?聞けば1時間働いても1000円くらいなんですよね?それがゲームをやってるだけで10万ですよ?こんな美味しい話ないでしょ。」
でもあのクエスト、精神的苦痛が強すぎて、強制ログアウト者が数名でてた上に、最後まで残ってた人って、僕を含めて6人くらいだったような…。
僕すらも意識が朦朧としていて覚えてない、思い出したくもない。
「ただ、あのクエストには期限があって、ゲーム内時間の今月中しかいけないんですよね。」
「それであんな必死に何回も回してたんですね。」
「はい。だからしばらくはリキさんも回しててくださいね。お金はいくらあっても足りないですから。」
「そんなぁぁ~…。」
「クスッ。じゃあ次っ。行きましょうか。」と無表情なのにどこかウキウキ感を滲みだしているシンカさん。
「あの!!お待ちになってください!」と小綺麗な女性店員さんに呼び止められた。
「はい?」とシンカさんが不思議そうな顔でふりかえって、僕も振り返った。
「その、貴方の持っている武器は春風のタクトですか?」と聞かれて「そうです。」と答えると、女性店員さんは口元をおさえて驚いていた。
「あの!!使いこなされているんですか?それを…。」
「え?はい。一応ちゃんと使ってます。」
「ならこれを!!これを持って行ってください!!」と言われて僕の目の前に小さいホログラム画面が現れて【プレゼントが届きました。】と表示された。
「え!?」スマホを取り出してプレゼントを見てみると【世界樹の雫】という名前のジョウロっぽい武器だった。ちなみに攻撃力ではなく回復力が上がるようだ。
「まっまってください!!これ!!これいくらですか?は、払います!!」と僕もあわてて言い返す。
「ありがたかく貰っといたらどうです?数値を見た感じ、それ、黄金洞窟一ヶ月分ですよ。」
「ええええ!!!いっいつか絶対返します!!!」
「いえ、これは私が作ったものなのでそんな高価な値段はしませんよ。ただ、世界に2つだけのオリジナル武器です。」
それって高いんじゃ!?
「2つですか。あと1つは…まぁ、ソルですか。」シンカさんが聞いた。
「…はい。」女性店員さんは憂いた顔をした。
でた。また…ソルさん。………最近本当にこの名前を良く耳にする事になってる気がする。

「はい。じゃあ次行きますよ。」とシンカさんはもうゲートを出してくぐってしまった。
「え!?あ、いつか!!お礼をします!!」と言って急いでゲートをくぐった。

ゲートをくぐった先は静かな国だった。まるで海外のフランスにいるかのような美しい建物が並んでいた。
国の名前は【大図書館】
「じゃ、家具も揃えた事ですし、魔導書買いにいきますよ。」
「さ…財布の中身が。」
「なんの為に自分がついてきたと思ってるんですが?りきさんには借金地獄にあってもらうために来たんですよ。」
その言葉を聞いて僕の顔は青くなってしまう。
「え…借金地獄って…。」
「魔導書って高いですから。で?何系の魔導書が欲しんですか?」
「えっと…。」咄嗟にハナビを呼んで聞いてみると「…ほのお。」と言うので「火炎かえんだそうです…。」
「どうせならアホみたいに高い本かわせよーっと。」
えぇ!?シンさんについてきてもらった方が良かったんじゃ…。
この国では、本屋さんしかないってくらい本しかなくて、空腹バフと疲労バフをつけながら立ち読みしてる人が沢山いた。
「自分も時間さえあればここに籠ってます。ここは、現実世界の情報もたくさんありますから。」
(シンカさん、ルナさんの事が大好きだから、同じ人間に近づこうと現実世界の情報を得に、ここに来てるのか。)
シンカさんについていくと、大きな図書館らしい建物について中に入って、扉の直ぐ近くにある地下への階段をおりていく。
すると、いくつもの小さな机が並んだ部屋について、その上には鎖がかかった奇妙な本がガタガタと揺れ動いている。

「ここ入って良いところなんですか!?」
「え?あぁ、ここの本は値段が高すぎて買おうとする人なんて滅多にいないんで地下室に追いやられてるだけで。立ち入り禁止の札とか貼ってませんよ。」
「え?本当に借金地獄になるんですか?僕。」
「さっきからずっとそう言ってるじゃないですか。さてと、どれにします?」
どれって。ハナビが出てきて、これが良いと指をさして消えていった。
「こ、これに…します。」と何も見ずにハナビの指した本を指さした。よく見ると、ガタガタ独りでに揺れていて危なそうな本だった。
「ふーん。どこで、この本が強いって聞きました?」とシンカさんは顎を持ち鋭く此方を見る。
「え?いや、武器に言われただけで。」
「ここ、実は自分の魔導書保管庫に借りてる部屋なんです。」
「えぇ!?じゃあ、ここにある本って!!」
「はい。自分のコレクションです。その中でも【獄炎ごくえんの書・めい】は最高ランクのレア武器であって、ハズレ武器です。」
「ハズレ武器?」
「ルナは見ての通り、氷が好きなんですよ。で【氷牢ひょうろうの書・めい】っていう氷魔法の書が出るまでガチャを回しまくった結果が此方になります。」
「どんだけ出なかったんですか!!」
「しかも、氷牢の本は詠唱が恥ずかしいんです。」
「それは、ご愁傷様です。」
「はい、じゃあこれあげます。不要なガチャ品なんで。」

早速プレゼントが届いた。
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