非力だった少年はチートで生まれ変わる。

無月公主

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29p【シールド・オール・アーマー】

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「ありがとうございます!!こんな素敵な鎧…。」
「じゃあ5万ですね。」とジャンさん。
スマホで5万en引き出しを選択すると手元に5万en入った袋がでてきて、それをジャンさんに渡すとジャンさんが鎧をくれた。
「大丈夫だと思うが、鍵を忘れるなよ。」と少し疑り深い顔をして僕を見ていた。
「…鍵?」
「あっ!!!!おめぇまさか!!装備に鍵をつける設定してねぇのか!?」シュガーさんがとても驚いたような顔をしていた。
「し、してません!」
「はぁ…。)良くそれでここまでこられたな…。」とジャンさんも飽きれていた。
「設定ひらけ!それの詳細設定だ!次はキャラクター設定で装備したアイテムをロックにチェックを入れろ!」とシュガーさんは僕に指をさして説明する。
言われた通りの設定を済ませて「できました。」というとシュガーさんがやけに脱力していた。
「いいか。ロックしてねぇと、寝てる間に色んなもんとられちまったりするんだ。復帰組はこういう初心者への説明が全くないから辛いよなぁ。初心者の方が博識まであるぜ。」
「う、たしかに初心者だったら初心者支援の特典とか色々ありますもんね。僕ほんとにルナさんに拾われてなかったらどうなってたことやら。」
「そんな事より、早速装備してみてください。」とジャンさん。
「あ、はい。」
タクトを握りしめてウォールを出した。そのあとスマホでウォールに新しくできた鎧【シールド・オール・アーマー】を装備させた。
ウォールにはぴったりで、嬉しそうに着心地を試していた。
「そこにいるのか?」とジャンさんに問われて「はい。」と答えた。
「俺の声は届くか?」
「聞こえるぞ。」とウォールがジャンさんの正面にたって話す。
「聞こえるそうです。」
「覚えてるか?防具作成スキルしか上げてないって説明したのに、無理矢理武器スキルが必要な盾を作らされて、君に盾を作ったんだ。あの盾はもろかっただろ?」
ジャンさんは見えないはずのウォールに微笑みかける。その微笑みはどこか寂しそうな感じもした。
ウォールの両目からポロポロと涙がこぼれていた。
「あ…。」泣いてますなんて言えない…。
「ウォール、君のせいで主人を守れなかったんじゃない。俺のせいだ。だが、今度は絶対に壊れない自信がある。修理が必要なら遠慮なく言ってくれ。」
多分、ソルさんの話なのかな。ログインしなかった原因は多分バトルで負けたとかかな。
「ありがとう。絶対に守り抜いてみせる。」とウォールが返事してそれをジャンさんに伝えるとジャンさんはニコリと笑った。

ジャンさんのお店を出るとすっかり夜になっていた。

「やべぇ!7時55分!!晩餐だ!」と言ってシュガーさんがゲートを開いて僕もそれに入った。
シュガーさんと一緒にルナ班のテーブルについた。
「ずいぶんギリギリだなぁ!めずらしいなぁ!」とソウジュンさんがシュガーさんに声をかけた。
「ちょっとジャンのとこへな。…ってガウルはどうした?」
「あいつ茨の滝でヘバッてログアウトだ。数年返ってこねぇよ。」
「そうか。アイツ豆腐みてぇなメンタルしてるもんなぁ。」
「まぁ、何で年数経つかわからないからな。」
「確かに。トイレ行っただけで1年たつ時あるからなぁ。どうなってんだろうなぁ。俺らの頭は。」
「24時間ログインしてっと、気が遠くなるような年数が過ぎちまって、現実に戻った時じーさんにでもなった気分だよなぁ!」
「そうだ。リキ。土日の晩餐はやべぇぞ。人数が多すぎてお広間に人が入らねーんだ。あと朝から昼にかけて幹部も変わる。」
「え?これもしかして仕事の終わりとか学校終わりの人だけなんですか?」
「こんだけが約3000人なわけないだろ?半分くらいだ。日曜日は別の場所で晩餐があるから気を付けろよ?」
「あ、はい。別の場所ってどこですか?」
「あー。王宮の広間って場所だ。ここの2倍は広いぜ。」

晩餐が開始され、千翠さんが席を立ちあがった。
「コホンッ 千翠班、ダリア班、あとリキ。引き続き黄金が眠る洞窟最上級です。集合は午前7時ここ大広間にて。以上です。」
千翠さんが座ると次にShiftさんが立ち上がった。
「俺の班、俺はしばらくダンジョンに籠る。ペナルティで長期帰ってこない場合も考えられるんでよろしく。変わりはスノーポークに頼んである。」
というとShift班のみんなはほっとしたような顔をしていた。
「ペナルティって結構長いですよね?…160時間。」
「ん?あぁ。それは一般の奴な。資格持ち、国家資格持ちは、その資格を使う仕事を選択できてよぉ。例えば医者は34時間ですむし、160時間ってのは最底辺のペナルティだ。」
「現実世界の勉強もがんばれって事ですね。学校真面目に通わないといけませんね。」
「あぁ。学生だったのか。がんばれがんばれ!」
次にジョンナムさんが立ち上がって「俺の班は、個人個人順番に練習を見る。連絡が入った者からギルド闘技場へくるように。」と言ってすぐに座った。
「千翠班ってどうしていつもダリア班と一緒なんですか?」
「あぁ。千翠とダリアは一番仲が良くってなぁ。お互いがお互いをしっかり信頼し合ってる。ダリアが異形の町から動けなくなってる間は受け持つそうだぞ。」
「へぇ、って、僕また見知らぬ人のとこへ突っ込まれるんですね。」
「はっはっは!りきは寂しがりだなぁ!寂しいなら早くAIゲットしろぉ!」とソウジュンさんに言われた。
あと4回勝てばAIをもらえる。もう少し。
そこがゴールじゃないけど、多分俺の冒険の始まりな気がする。
「お前も辞めずに続けてりゃあ、AIの1個くらいはゲットできただろうなぁ。実装直後は下級クエストでもBPが手に入ったんだ。」
「あ、そうですね。実装されたのはつい最近でもこの世界では数年たってるんですよね。」
「あー…。確かに。AIは調整が難しいらしくてよぉ。すぐにクエストでのBP取得は最上級のみにされたんだよなぁ。そのあとさらにBP1ポイントとかになってよぉ。」
「あ、ほんとに63ポイントになってる。気づかなかった。」
「明日の黄金が眠る洞窟最上級クエだけは開催期間に何週 回まわしたかによってもらえる報酬が変わる。開催期間終了の翌日にプレゼントでBPとか入ってくるはずだぜ。まぁ、入ってくるBPは少ねーけどな。」
「難しいクエストなんですよね?」
「ん?あー、黄金も精神汚染系だ。」
「え……。」

僕は持っていたスプーンを落とした。
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