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28p【ジャン】

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そう言われて【Water lily】の町に戻ってオシャレなカフェに入った。
「で、茨の滝試練で何があったんだ。」とシュガーさんが頬杖をつく。
「ウォールが、あ、僕の武器のAIが僕の変わりに針を、無数の針の雨を受けてくれて、凄く苦しそうで、ちょっとトラウマになってしまったのかもしれません。思っていたよりもショックで。」
「オマケにソルの名前も聞いちまって、そりゃ心は穏やかじゃねぇだろうなぁ。」
テーブルにケーキとココアみたいなのがでてきて飲んでみるとココアだった。
「りき。そのウォールが今後傷つかないためにはどうすればいいんだ?」
「武器には7つさらに武器か防具を装備させる事ができるんですけど、そうか。ウォールに盾、いや鎧?」
「盾か鎧を装備させときゃ大丈夫なんだな?」
「はい、他にもAIがいて、武器の中に7人住んでるんで、2人はもう武器を持ってるんですが…。」
「じゃあ次の方針は決まりだな。残り5人の武器か防具を揃えてやることだ。今は悩まずこれを先にやってこうや。」
シュガーさんにそう言われて、霧が晴れた気がした。前に進まないと何も解決しない。答えも見つからない。
やれる事、やってかないと。
「はい。ありがとうございます。方針が決まって、少しスッキリしました。」
「盾か鎧って言ってたな。まずは先にそれをやんねーとな。金はどれくらいある?」
スマホ画面を開いて所持金を見てみると「えっと、10万!?いったいどこで」色々考えて全く所持金見てなかった。
「はっははは。最上級クエストを短期間で3回もクリアしたんだろ?それにバトルもそこそこ、そりゃそんくらい貯まってるだろ。」
「驚きました。こんな大金見た事なくて。」
「とりあえずその10万でオーダーメイドの鎧でも作ってもらうか。で、しばらく千翠の班と行動だな。あいつなら絶対にリキを悪いようにはしねぇからな。」
「みなさん、千翠さんへの信頼凄い熱いですね。」
「そうだろうな。あいつのおかげで色々良い方向に向いてる。うちが平和を保ってられんのも千翠のおかげだ。でもその千翠を籠絡ろうらくしたルナが一番の勝者だがな。」
「籠絡って…。」
「この話もヴァルプルギスの戦場前に教えてやるよ。今は余計な事考えず装備集めしようぜ。心当たりが一人いる。」
「オーダーメイドで作ってくれる人ですか?」
「あぁ、だが、大手ギルド【ドルガバ】の奴だからなぁ。売ってくれるかどうかがなぁ。」
シュガーさんがゲートを開いてくれてそこに入ると…【La C0ree du Nord】という名前の大きな国についた。
門も凄く分厚くて、金ピカだ。というか家とかも金ピカだ。なんてゴージャスな国なんだ。
門の前には門番がいて、スマホで個人情報を1人1人見て通してるようだった。
僕らも情報を見られてから通されて、シュガーさんについて中を歩く。
どこを見ても金ピカだし、眩しいし、大きなカジノまである。それにセレブな恰好をした人もたくさんいるし。
あと、気づいたのはドルガバのギルド員はみんな、服装のどこかに金色の何かが入ってるという事。
「あの服装ってドレスみたいなのも防具なんですか?」
「ん?あー、防具スキル上げてる奴に頼めば、防具の見た目 変えれるぜ。俺は筋力あげてっから、このムキムキさをアピールするためにヘソだし半そでピチピチTシャツの見た目にしてるからなぁ。ほんとはだっせぇ鎧なんだ。」
「えっと、武器を作る事もできるんですよね?クエスト武器とガチャ武器と作った武器ってどういう違いがあるんですか?」
「あー、そうだなぁ。クエスト武器は扱いが難しいが最高火力がでる。火力ってのはあたえるダメージって意味だからな。ガチャはまぁ、扱い易いし火力も最高。作った武器、つまり製作武器は、素材がいる。素材はガチャからでたりクエストからでる。最高火力はでるんだろうが、これを上げてる奴が少なすぎてな未知数って感じだな。」
「少ないんですか?多そうなのに。」
「良い武器や防具がほいほいできればいいが、ガチャやクエスト武器が分かりやすくて優秀だからな。見た目も良いしな。」
「なるほど。」
「ついたぜ。ここだ。」と言われた店も金ピカで防具屋とかかれていた。
中に入ると、目の下に大きなクマのある、銀髪長髪のエルフタイプの男性が「いらっしゃい」と言いながら出てきてきた。
「ん?ミルフィオレか。帰ってくれ。お前らの勢力に力貸すと色々面倒なんですよ。」
「やっぱりかぁ。」
(甘い香りがする、まるで花びらの…あっ、もしかして!GMの贈り物と同じ匂いなんじゃないか?)
なぜか、その時、自然とGMの贈り物を思い出して花びらを取り出してその匂いを嗅いだ。
その様子を横目でチラリと見る店員。
「それは!!お待ち…しておりました。名前は何て言いますか?」
「え!?リキです。」
「俺はドルガバ所属専用防具職人ジャンです。で、リキさんが持っている春風のタクトで間違えありませんね?それは。」
「はい…。」
「誰の装備をご希望ですか?」
何も言ってないのに誰の装備をと聞かれて、小人達の事を知っていると確信した。
「ウォールです。今日茨の滝試練最上級へ行って、ウォールが全身針刺されにあってしまって、それでウォールが傷つかずに済む防具か盾がほしいなと思って来ました。」
「あそこの試練か。この先の事も考えると全身甲冑型を1つの装備にまとめる必要があるな。わかりました。」
「え、おい。待てよ。なんでそんなあっさり。どうしちまったんだ?」とシュガーさんが戸惑う。
「何も知らずに俺のとこへ連れてきたのか?まぁオーダーメイドとなると俺しかいないか。これですよ。」とジャンさんが指を指した先には一枚の写真があった。
その写真は現実世界の写真のようで、双子の女の子と若い男性が一人うつっていた。
「そうか。じゃあ、色々頼むわ。」とシュガーさんが渋い顔をして言った。
(写真?誰か知り合いでもいたのか?僕にはわからないけど、作ってくれそうで良かった。)
「まかせろ。俺は上限値を超えている。まぁ千翠のように上限値の上限値を達成したわけじゃないがな。」
「お願いします。えっとお金はどれくらいかかりますか?」
「金…か。5万は欲しいがー…持っていますか?」
「あ、はい。いいんですか?難しそうなのに。」
「ああ。いいですよ。まぁゲームですからね。俺くらいになれば。」しかし、ジャンさんは死んだ魚のような目をしていた。
「え?だ、大丈夫ですよね?」
「大丈夫だとは思うが、試した事がなくてね。全身防具を1つに束ねるなんて神の御業ですよ。」
「自分で言うか?それ。」とシュガーさんはジト目でジャンさんを見つめていた。
「あー、まぁそういう事ですよ。完成までそこのソファに座って待っててください。」と言ってジャンさんは装備作成にとりかかりはじめた。

スマホでシュガーさんにしか聞こえない声に設定して「ジャンさんって、ところどころ敬語がまじってて、面白い喋り方ですよね。」と言ってみた。
シュガーさんもスマホで声を切り替えてから「あいつは敬語が全然ダメで練習してアレになったんだ。」と説明してくれた。
ジャンさんはまず兜を作って鎧を作って腕を作って腰を作って足を作って、それから最後に盾を作った。
その作る作業自体は鉄の金槌を何かの素材に叩きつけるだけの動作で、それらを虹色の槌で叩いていくと、虹色に光って一点に集まり、見事な全身鎧が完成した。
空色の謎のインゴットでできた全身鎧 腕には盾っぽいものがついていた。両腕をくっつけると一つの盾になりそうだ。
「あ。ほんとにできた。できましたよ。」

(今、ほんとにできたって…。)
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