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27p【トラウマ】
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「しっかし、りきのおかげで随分早く終わったなぁ!!まだ昼だぜ!偉いぞ~!新人!」
ソウジュンさんはクシャクシャと僕の頭を撫でた。
「りき、ルナ班の席はここだ。次からはここに座るといい。」とガウルさんが席を教えてくれた。
「ありがとうございます。昼ご飯もでるんですね。」
「昼は作りたてのご飯じゃねぇぞ。作り置きが出てくるだけだが、まぁタダ飯だからな。」
12時になると机の上にパンやおにぎりが並んだ。
「そういえば、りきは針受けてなかったよな。どうやったんだ?」
「あー…えっと、武器が守ってくれたんです。」
「なんか誰も楽器奏でてねぇのにずっと指揮棒振ってたな。ほんとに音楽が聞こえてきそうだったぜ。」
「あはは。いつも気づいたら全部終わってて、なんか情けないですよね…。」
「そんな事はないだろう。その武器を使いこなせる奴はお前とソルくらいだろうからな。」
「にーさん、ソルの話は禁句。ルナ地獄耳ついてんだから。」
「あー悪い。聞かなかった事にしてくれ。」
…………ソル?
聞かなかった事にって、もしかして小人達の名前をつけたのはソルって人なのかな。
昼食が終わって自室に戻った。
(気に…なる…よな。でも誰かに聞けるような話じゃないし。)
コンコンと扉をノックする音が聞こえてドアをあけてみるとシュガーさんだった。
「よぉ!!クリアしたそうじゃねぇかぁ!!しかも最後は一人で削り切ったて聞いたぞぉぉ!!!」
僕の肩に腕を回して頭も乱暴に撫でられた。
「う…苦しい…。」
「おっと悪い悪い!」パっと離れてくれた。
「あ、あー!!そうだシュガーさん。散歩いきませんか?」
「は?散歩?今からか?」
「マグマランドの次の町へ行った事なくって…。」
「あぁ、最近できた町の次か。いいぜ。開いてやるよ。」とシュガーさんがゲートを開いてくれた。
そこに入ると、パステルカラーが美しい国についた。ピンクや黄色の小さな淡い光が地から空へと昇っていく。
家は豆腐建築だけど、色は淡いピンクや黄色、水色で大きな池には見事な睡蓮がたくさん咲いていてとても絵になる不思議な国だ。
国の名前をみると【Water lily】と書かれていた。
「綺麗な町ですね!」
「散歩には丁度良いんじゃねぇか?安全地帯だしな。」
「あ。そうだ。シュガーさん、教えてほしい事があるんです。」
「なんだ?」
「ソルって人はご存知ですか?」
「…………その名をどこで聞いた。」
シュガーさんの声のトーンが変わってビクッとなった。
「いや、風の噂で、僕のタクトを使いこなしてたって聞いて。」
「あぁ、そうか。いつかは耳に入るだろうとは思ってたが早かったな。」
(これやっぱり禁句なのかな。)
「はぁ、すまんな。これだけは言えねぇんだ。ヴァルプルギスの戦場前にりきと現実世界で会う事になるだろうからその時でもいいか?」
「はい。すみません。」
「気にすんな。そりゃ気になるだろうからな。あぁ、そうだ。知ってるか?このゲームを辞めるとここで使ってたキャラクターがどうなるか。」
「え?ただログアウト中になるだけじゃないんですか?」
「異形の町の隣に大きな墓の国がある。そこに名前が刻まれる。このゲームを辞める時は役所でいちいち申請しねぇといけねぇからな。」
「はじめて知りました。」
「んで辞めたユーザーのAIは契約が解かれて、異形の町へいく。墓が隣にあるのは異形の町から多くのAIが墓参りするせいだ。」
「へぇ。お墓のある国と異形の町って、バトル王が作った町ではないんですね?」
「バトル王が作った町ではあるが、あそこはAIがバトル王だからな。誰も勝てやしない。公式が作ってるのと変わらない国だ。」
「AIって、持ち主がログアウトしてる間とか、辞めた場合ってバトルはできるんですか?」
「いや、非戦闘体になる。契約解除もな。……それからAIが持ってるスマホも少し損傷する。」
「損傷?」
「あぁ、異形の町へのMAPしか表示されなくなるらしい…が、千翠の野郎がそれの治し方っぽいのを知ってるらしい。まぁ噂だけどな。」
結局、ソルさんについては何も聞けなさそうだな。
どうして隠されているんだろう。
何もつかめず…【Water lily】を通過して次の町へ歩き出した時、バトル開始のカウントダウンが目の前に現れた。
「え?」
「目を付けられてたな。説明して歩いてるのを地獄耳で聞かれて初心者だと思った奴がいるみてぇだな。」
「地獄耳じゃなくてもあんな大きな声で説明してたら聞こえるだろ!!!」とバトルを申し込んできたであろう男性が目の前に現れた。
僕はタクトを握りしめた。朝ウォールをあんな目にあわせたばっかりなのに。
「私ならもう大丈夫だ。気にするな。」とウォールが目の前に現れた。
なんでもいい。早く終わらせたい。そう思ってしまった。
すると、ハナビとハクがでてきて、カウントダウンが0になると同時にハクは斬りつけにいった。
ハナビも詠唱をはじめた。
「りき、集中しろ。我々はお前の意思に強く反映される。」
目を閉じて魔力を注ぐ。早く、早く終わってくれと何故か思ってしまった。
「りき!もう終わりだ!オーバーキルだ!」とシュガーさんの声が聞こえて目をあけるとバトルに勝利していた。
「ひっ…ひぃっ!!」と男も逃げていってしまった。
「どうしたんだ。お前。」
「すみません…。」
あれだけ、シンさんには大丈夫って言ってたのに、僕はどうやら、あのクエストがトラウマに…?
それどころかタクトを使う事自体に少し恐怖する。
だめだ。考えるな。小人達に悟られる…。
「はぁ…町に戻るぞ。良いカフェがある。」
ソウジュンさんはクシャクシャと僕の頭を撫でた。
「りき、ルナ班の席はここだ。次からはここに座るといい。」とガウルさんが席を教えてくれた。
「ありがとうございます。昼ご飯もでるんですね。」
「昼は作りたてのご飯じゃねぇぞ。作り置きが出てくるだけだが、まぁタダ飯だからな。」
12時になると机の上にパンやおにぎりが並んだ。
「そういえば、りきは針受けてなかったよな。どうやったんだ?」
「あー…えっと、武器が守ってくれたんです。」
「なんか誰も楽器奏でてねぇのにずっと指揮棒振ってたな。ほんとに音楽が聞こえてきそうだったぜ。」
「あはは。いつも気づいたら全部終わってて、なんか情けないですよね…。」
「そんな事はないだろう。その武器を使いこなせる奴はお前とソルくらいだろうからな。」
「にーさん、ソルの話は禁句。ルナ地獄耳ついてんだから。」
「あー悪い。聞かなかった事にしてくれ。」
…………ソル?
聞かなかった事にって、もしかして小人達の名前をつけたのはソルって人なのかな。
昼食が終わって自室に戻った。
(気に…なる…よな。でも誰かに聞けるような話じゃないし。)
コンコンと扉をノックする音が聞こえてドアをあけてみるとシュガーさんだった。
「よぉ!!クリアしたそうじゃねぇかぁ!!しかも最後は一人で削り切ったて聞いたぞぉぉ!!!」
僕の肩に腕を回して頭も乱暴に撫でられた。
「う…苦しい…。」
「おっと悪い悪い!」パっと離れてくれた。
「あ、あー!!そうだシュガーさん。散歩いきませんか?」
「は?散歩?今からか?」
「マグマランドの次の町へ行った事なくって…。」
「あぁ、最近できた町の次か。いいぜ。開いてやるよ。」とシュガーさんがゲートを開いてくれた。
そこに入ると、パステルカラーが美しい国についた。ピンクや黄色の小さな淡い光が地から空へと昇っていく。
家は豆腐建築だけど、色は淡いピンクや黄色、水色で大きな池には見事な睡蓮がたくさん咲いていてとても絵になる不思議な国だ。
国の名前をみると【Water lily】と書かれていた。
「綺麗な町ですね!」
「散歩には丁度良いんじゃねぇか?安全地帯だしな。」
「あ。そうだ。シュガーさん、教えてほしい事があるんです。」
「なんだ?」
「ソルって人はご存知ですか?」
「…………その名をどこで聞いた。」
シュガーさんの声のトーンが変わってビクッとなった。
「いや、風の噂で、僕のタクトを使いこなしてたって聞いて。」
「あぁ、そうか。いつかは耳に入るだろうとは思ってたが早かったな。」
(これやっぱり禁句なのかな。)
「はぁ、すまんな。これだけは言えねぇんだ。ヴァルプルギスの戦場前にりきと現実世界で会う事になるだろうからその時でもいいか?」
「はい。すみません。」
「気にすんな。そりゃ気になるだろうからな。あぁ、そうだ。知ってるか?このゲームを辞めるとここで使ってたキャラクターがどうなるか。」
「え?ただログアウト中になるだけじゃないんですか?」
「異形の町の隣に大きな墓の国がある。そこに名前が刻まれる。このゲームを辞める時は役所でいちいち申請しねぇといけねぇからな。」
「はじめて知りました。」
「んで辞めたユーザーのAIは契約が解かれて、異形の町へいく。墓が隣にあるのは異形の町から多くのAIが墓参りするせいだ。」
「へぇ。お墓のある国と異形の町って、バトル王が作った町ではないんですね?」
「バトル王が作った町ではあるが、あそこはAIがバトル王だからな。誰も勝てやしない。公式が作ってるのと変わらない国だ。」
「AIって、持ち主がログアウトしてる間とか、辞めた場合ってバトルはできるんですか?」
「いや、非戦闘体になる。契約解除もな。……それからAIが持ってるスマホも少し損傷する。」
「損傷?」
「あぁ、異形の町へのMAPしか表示されなくなるらしい…が、千翠の野郎がそれの治し方っぽいのを知ってるらしい。まぁ噂だけどな。」
結局、ソルさんについては何も聞けなさそうだな。
どうして隠されているんだろう。
何もつかめず…【Water lily】を通過して次の町へ歩き出した時、バトル開始のカウントダウンが目の前に現れた。
「え?」
「目を付けられてたな。説明して歩いてるのを地獄耳で聞かれて初心者だと思った奴がいるみてぇだな。」
「地獄耳じゃなくてもあんな大きな声で説明してたら聞こえるだろ!!!」とバトルを申し込んできたであろう男性が目の前に現れた。
僕はタクトを握りしめた。朝ウォールをあんな目にあわせたばっかりなのに。
「私ならもう大丈夫だ。気にするな。」とウォールが目の前に現れた。
なんでもいい。早く終わらせたい。そう思ってしまった。
すると、ハナビとハクがでてきて、カウントダウンが0になると同時にハクは斬りつけにいった。
ハナビも詠唱をはじめた。
「りき、集中しろ。我々はお前の意思に強く反映される。」
目を閉じて魔力を注ぐ。早く、早く終わってくれと何故か思ってしまった。
「りき!もう終わりだ!オーバーキルだ!」とシュガーさんの声が聞こえて目をあけるとバトルに勝利していた。
「ひっ…ひぃっ!!」と男も逃げていってしまった。
「どうしたんだ。お前。」
「すみません…。」
あれだけ、シンさんには大丈夫って言ってたのに、僕はどうやら、あのクエストがトラウマに…?
それどころかタクトを使う事自体に少し恐怖する。
だめだ。考えるな。小人達に悟られる…。
「はぁ…町に戻るぞ。良いカフェがある。」
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