非力だった少年はチートで生まれ変わる。

無月公主

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20p【AI同士のバトル】

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僕とシンさんは茶屋という名前のなんとも和風な飲食店に入って、適当にお茶と和菓子を頼んで寛いでいた。
内装が凄い。椅子には赤い布が敷かれていて、本当に時代劇に出てくる茶屋っぽいなと感心する。
「お店の中って、非戦闘地帯になるんですね。」
「そ。お店の登録してる家は非戦闘地帯。まぁ、だからって安心はできないけど。薬とか毒とかで体力を1にされて、外に無理やりだされたら終わるし。全回復薬は高いからそう簡単に手を出せないし。」
「…毒。」
「僕のつけてるモノクルはそういうの見分けるから安心しなよ。」
「そのモノクルはクエスト品ですか?」
「クエストと課金の両方かな。あるクエストをクリアして、クリアした後に出現するNPCから箱を買ってランダムでこれがでる。他には着ぐるみとかでた気がする。」
「着ぐるみって、どこの部位に装備されるんですか?」
「装飾品。」
スマホを開いて、装備覧を見ると防具や武器とは別に装飾品という覧が左右にあって左は装飾品1右は装飾品2になっている。
「へぇ…。知りませんでした。着ぐるみも何か効果あるんですか?」
「動物になりきってロールプレイングできるのと、モノクルと同じ効果があるくらい?体力、魔力、状態、バフ、デバフとわかりやすく表示されるんだ。」
「便利そうですね。」
「まぁね。まどろっこしいって感じる人がほとんどみたいだけど。」
「あ。そういえば、ミスティック連合ってなんですか?」
「連合っていうのは、ギルド同士の同盟、連合を組むと連合同士でバトルができなくなる。ミルフィオレはミスティック連合の連合リーダーにあたるギルドなんだ。連合加入した傘下ギルドは【ヒルデガーデン】【タピオカミルクティー】【拳で語る】【サムゲタン】【アリスinクロックタワー】かな。」
「凄い組んでますね。【ヒルデガーデン】だけは昔見た事あるような気がします。」
「ヒルデガーデンは、昔から鉄壁を誇る良いギルドで、ルナについてくれたのは正直ラッキーだったよ。連合だと1万人以上、いや、もっといくよ。」
「いっ!?一万人以上!?」
「凄い数だよね。でも【ドルガバ】とかいうギルドはギルドだけで1万だからね。」
「…ギルドだけで。」
「困った事に、ちょっと敵対してるギルドでもあるから【ドルガバ】には気を付けてね。」
「はい…。」

和菓子を食べ終えて、店を出ると、茶色の髪をハーフツインテールにした赤い瞳の女の人と黒い髪のカッコイイ感じの男性がバトルをしてるようだった。
「え。イチカさん、何やってるんですか?」とシンさんがバトルを見守る女の人に声をかけた。
「シン君!?はやたんがバトル挑まれちゃって!」と言ってイチカさんは今にも泣いてしまいそうなくらいウルウルとした瞳をしていた。
はやたん らしき黒い髪のカッコイイ男性。その向かいには闘牛のような角が生えた茶髪ロングヘアーの、これまたカッコイイ感じの男性。背中には悪魔の羽っぽいのもついてて、なんだかどっかの魔王みたいだ。どうやらAIのようだ。
その後ろに金色と黒のストライプ色のドレスを着た金髪碧眼美少女がいた。

「うわ。さっそく。相手は【ドルガバ】のソヨンのAIシウか。ふーん、AI同士のバトルか。」
(もはや誰が誰かわからない。)
「そーなのぉ!どうしよう、勝てるかな?」とイチカさんはどんよりとしたオーラをだしていた。
「……自分のAIを信じて応援してあげたら?」とシンさんがアドバイスする。
「そ、そうだよね!がんばれー!はやたーーーん!!」と大声で応援するイチカさん。

スマホでイチカさんの敵を確認しようとすると名前がハングル文字になっていた。
「…あれ。名前がハングル文字だ。」
「え?あぁ。設定開いて、次に言語、常に翻訳にしておいた方がいいよ。そしたら君からみた外国人の名前はカタカナで表示されるようになるから。」
設定を開くと言語という覧があって、そこを開いて常に翻訳にチェックを入れた。敵の名前がカタカナで表示されるようになった。
「あ。できました。」
「AI同士のバトルなんて珍しいし、イチカさんはうちのギルド員だし見ていく?」
「え!そうだったんですか!?見ていきます。」
「あーん!はやたーん!!負けないでー!!」イチカさんは必至ではやたんさんを応援する。
「イチカ、俺を信じろ。………だから、泣くな。」と、イチカさんに優しい微笑みを向ける。
はやたんさんの武器はムチのようだった。カジュアルな服装…防具…なのかな?
相手は魔法系らしく、闇の炎のような球体をはやたんさんに向かって雨のように降らす。
はやたんさんはそれを素早く避け、避けきれず肩に傷を負ってしまう。
「はやたん!!」イチカさんは泣きそうになる。
「っと、こんな大技、最初からぶつけていいのか?」と敵のAIシウが馬鹿にしたような口調ではやたんを挑発した。
「ふっ、これが大技だと?」と、はやたんはムチをシウに当てようとする。
「物理攻撃など…あたるものか!!………ぐはっ!!!」
しかし見事にはやたんのムチはシウさんに命中してしまい、シウさんは吐血した。
吐血をするという事は、肺のあたりにダメージがいった事になるんだっけ。
いったい今の動きのどこにダメージが?
「……どういう…ことだ…?」とシウさんは信じられないという顔をする。
「俺はお前に見せたはずだ。俺の速さを。あんなスピードの球体を避けて、両肩のかすり傷程度で済んでんだぜ?お前が今まで倒してきた敵はそれができたか?」
「…まさかっ。」
「そうさ。弱そうに見えるよな?この武器。素早さが500伸びるんだぜ?俺は素早さに1000振ってる…素早さ1500の世界ってわかるか?」

はやたんさんがそう言うと数十体とはやたんさんの分身が現れた。スピードでたくさんいるように見えるだけなのは理解できるけど、どうなってるんだろう?

「シウ!!!体力が!!!」とソヨンさんが焦っていた。
「なっ…!!!…っ!?」
シウさんの体力がみるみる減っていく。
「無数の針に刺されているかのような痛みだろ…これでも優しくしてんだぜ?」
あっという間にはやたんさんは勝ってしまった。
「はやたん!!!」勝利した瞬間イチカさんははやたんさんを抱きしめた。
「イチカは泣き虫だな。」とはやたんさんはイチカさんの目尻にたまった涙を指で掬う。

「帰るわよ。シウ。」
「…。」
ソヨンさんとシウさんはゲートを開いて帰っていった。

「最近多いな。」とシンさんは顎に手をあてて考え込む。
「何がですか?」
「ドルガバにバトルを挑まれる回数だろ。」とはやたんさんに言われた。
「あー!!もしかしてリキ君!?」
「え、あ、はい。はじめまして。新人のリキです。」
「ねねっ!春風のタクトを使いこなすってほんとー?」
「えっと、はい。」
「こら!イチカ、まずは自己紹介だろ?」とはやたんさんにコツンと手の甲で頭を小突かれるイチカさん。
「あたっ!そうだったね。イチカです!よろしくね!こっちは私のAIのはやたん!」
「はやたんだ。よろしく。」
うわぁ…かっこいいのに名前が…名前がっ!!

「コホンッ。じゃ僕ら急ぐから。」と言ってシンが話を切る。
「あ、うん!またね!シン君!りき君も!」と言ってヒラヒラと手をふってくれるイチカさん。
「あ、はい。」

シンさんが歩き始めたので、それについて歩く。
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