18 / 92
18p【ヒトとして扱う】
しおりを挟む
朝になって目を覚ました。窓にカーテンがないせいで日差しで起きてしまう。
コンコンとノックされて、急いでドアを開けるとシンさんが朝食がのったオボンを持って立っていた。
「あ、おはようございます。どうして起きたってわかったんですか?」
「おはよ。ギルド一覧に睡眠中マークついてたのが外れたから。これ君の朝食だから冷めないうちに食べなよ。」とシンさんは中に入って机の上にオボンをおいてくれた。
「ありがとうございます。」さっそく椅子に座って朝食を食べる事にした。
サラダとロールパンに目玉焼きとベーコン…凄いオーソドックスな朝食。コップの中には牛乳が入っていた。まるで給食だ。
シンさんは近くのベッドの上に座った。
「今って現実世界では何月なの。」
「5月ですね。もうすぐ6月になりますけど。」
「ふーん。てことは6月中に後100人は増えるかな。うちも。」シンさんは窓の外に視線をおくる。
「ギル員が増えるって事ですか?」
「そ。ヴァルプルギスの準備があるから毎年ヴァルプルギス終了後の5月と6月は勧誘時期なんだってさ。」
「あの、なんで僕にそこまで詳しく教えてくれるんですか?それにギル長のAIにつきっきりで説明してもらえてるし、恐れ多いというか、なんというか。」
「ん?あぁ。君のGMアイテムにはそういう力があるってだけだよ。」
「あ、忘れてました。そういえば持ってましたね。」
「ルナがわからない事は全部教えろって言ってたし。最重要機密以外は喋ってもいいみたいだし。」
「なるほど。どうして僕にGMアイテムなんてもの届いたんでしょう?」
「さぁね。まぁ、ルナの予定ではヴァルプルギスまでに千翠さんとまではいかないかもしれないけど、ガウル君クラスには強くなってもらうから。」とシンさんがニコっと笑う。
ガウルさんって。あの人勝利数結構あったような?歴戦の猛者感半端なかったのに!!
「あと、次の新人たちのパジャマクエにでてもらう予定だからね。それまでにAIゲットしてAIにもパジャマとらせようね。」とシンさんが笑顔で言う。
「え。やっぱりAIにもパジャマいるんですね?」
「人間飼うのと変わんないからね?このシステム。寿命だってあるし。」
「ぐふっ!!ケホッケホッ!!」驚いてむせてしまった。
「きたない。」シンさんにジト目を向けられてしまった。
「すみません。あの、寿命があるって知らなくて、AIは無限だと思ってました。」
「見た目だけはそうかもしれないけどね。公式ホームページの小さい文字で注意書きがかかれてるんだけどさ。AIには寿命があります。死はいつ訪れるかはわかりません。ってあるんだけど、実際にうちで寿命がきたAIがいて、僕も悲しかったよ。」
「寿命がきたらその場でパっと消えるんですか?」
「ううん、苦しそうだった。こんな痛み初めてだって。その後眠るように目が閉じて眠ったんだ。そしたら墓石ってアイテムになってさ。どこにでも置けるようになる。」
「そう、なんですね。」
朝食を食べ終えて、シンさんが食器を片付けにいってる間装備を整えた。
やっぱり部屋が埃っぽい。もうちょっと落ち着いたらハウジングとかしようかな。
「ん?何?」と背後から声がして、いつの間にかシンさんが戻ってきていて驚いた。
「あ、いえ。ハウジングもしていかないとなぁって。」
「あぁ、そうだね。ほんと埃っぽくて辛いよね。僕の部屋みる?」
「え?部屋あるんですか?」
「君、さっきから失礼だねぇ。この世界では…。いや、うちのギルドではAIを人間として見ないとルナに追い出されちゃうよ。」と注意されて、それから「ついてきて」と言われて長い廊下をあるいた。
しばらくして、やっとシンさんの部屋についた。
ドアを開けてくれて入ってみると、とてもシックで落ち着いた空間が広がっていた。
「凄いですね。空気が綺麗というか。ファンタジー世界に似合わないくらい現実世界に近い部屋ですね。」
「クスッ。僕は現実世界への憧れが強くてさ。現実世界の本とか過去の新聞、ニュースとか大好きで。コホンッ。ちょっと喋りすぎた。」
シンさんは、凄く現実世界に…。ううん。人間になりたいのが痛いほど伝わってきた。
「シンさんは人間と全くかわらないです。ただ、現実世界に肉体がないだけですよ。」
「どうも…// と、とにかく部屋の家具とかは町や国限定品のとかもあるし、もちろん初心者村で企業がだしてるものとかもあるし、暇があったらやってみれば?」と照れた顔を隠しながらも色々と丁寧に教えてくれた。
しばらく現実世界のインテリアについての雑談をした後…
「そういえば、MAPを埋める方針でいいの?」
「あー…いえ、武器の武器を揃えたいなぁって思ってます。刀…とか。」
「刀か。丁度次の町にありそうかな。」
「ほんとですか!?」
「うん。じゃあ、早速今から行こうか。」
シンさんがゲートをだしてくれた。
ゲートをくぐると、教科書や写真で何度もみた事のある懐かしい風景が広がっていた。
「凄い!日本…なのかな?いや、昔の日本だ。」
次の町は【江戸】ギルド【わびさび】というメンバーが作った国でここも1、2年は維持されたままらしい。
ほんとに昔の江戸を再現してるのかな?
ちょっと、ところどころ雑というか、江戸城らしき城のてっぺんに鯱があるように見えるし。
でも、この桜並木だったり、しだれているタイプの桜が美しくて見とれてしまう。
「ん?どうかした?」
「いやぁ、もう、凄く綺麗で見とれてました。」
「これも綺麗か。ふーん。日本人だったよね?日本ってこんな感じじゃないんだよね?今って。」とシンさんが無表情ながらも興味深々な感じで聞いてきた。
「あ、はい。近未来化がかなり進んでて、ここは何百年か前の日本ですね。僕の住んでるところにはまだ似たような建築物は残ってますけど。」
「無理だとは思うけど、いつか行ってみたいよ。」シンさんは歩き出した。
………行けるようになるよなんて絶対に言えない。この世界で生きてこの世界で死ぬしかない…そんなヒトだから。
コンコンとノックされて、急いでドアを開けるとシンさんが朝食がのったオボンを持って立っていた。
「あ、おはようございます。どうして起きたってわかったんですか?」
「おはよ。ギルド一覧に睡眠中マークついてたのが外れたから。これ君の朝食だから冷めないうちに食べなよ。」とシンさんは中に入って机の上にオボンをおいてくれた。
「ありがとうございます。」さっそく椅子に座って朝食を食べる事にした。
サラダとロールパンに目玉焼きとベーコン…凄いオーソドックスな朝食。コップの中には牛乳が入っていた。まるで給食だ。
シンさんは近くのベッドの上に座った。
「今って現実世界では何月なの。」
「5月ですね。もうすぐ6月になりますけど。」
「ふーん。てことは6月中に後100人は増えるかな。うちも。」シンさんは窓の外に視線をおくる。
「ギル員が増えるって事ですか?」
「そ。ヴァルプルギスの準備があるから毎年ヴァルプルギス終了後の5月と6月は勧誘時期なんだってさ。」
「あの、なんで僕にそこまで詳しく教えてくれるんですか?それにギル長のAIにつきっきりで説明してもらえてるし、恐れ多いというか、なんというか。」
「ん?あぁ。君のGMアイテムにはそういう力があるってだけだよ。」
「あ、忘れてました。そういえば持ってましたね。」
「ルナがわからない事は全部教えろって言ってたし。最重要機密以外は喋ってもいいみたいだし。」
「なるほど。どうして僕にGMアイテムなんてもの届いたんでしょう?」
「さぁね。まぁ、ルナの予定ではヴァルプルギスまでに千翠さんとまではいかないかもしれないけど、ガウル君クラスには強くなってもらうから。」とシンさんがニコっと笑う。
ガウルさんって。あの人勝利数結構あったような?歴戦の猛者感半端なかったのに!!
「あと、次の新人たちのパジャマクエにでてもらう予定だからね。それまでにAIゲットしてAIにもパジャマとらせようね。」とシンさんが笑顔で言う。
「え。やっぱりAIにもパジャマいるんですね?」
「人間飼うのと変わんないからね?このシステム。寿命だってあるし。」
「ぐふっ!!ケホッケホッ!!」驚いてむせてしまった。
「きたない。」シンさんにジト目を向けられてしまった。
「すみません。あの、寿命があるって知らなくて、AIは無限だと思ってました。」
「見た目だけはそうかもしれないけどね。公式ホームページの小さい文字で注意書きがかかれてるんだけどさ。AIには寿命があります。死はいつ訪れるかはわかりません。ってあるんだけど、実際にうちで寿命がきたAIがいて、僕も悲しかったよ。」
「寿命がきたらその場でパっと消えるんですか?」
「ううん、苦しそうだった。こんな痛み初めてだって。その後眠るように目が閉じて眠ったんだ。そしたら墓石ってアイテムになってさ。どこにでも置けるようになる。」
「そう、なんですね。」
朝食を食べ終えて、シンさんが食器を片付けにいってる間装備を整えた。
やっぱり部屋が埃っぽい。もうちょっと落ち着いたらハウジングとかしようかな。
「ん?何?」と背後から声がして、いつの間にかシンさんが戻ってきていて驚いた。
「あ、いえ。ハウジングもしていかないとなぁって。」
「あぁ、そうだね。ほんと埃っぽくて辛いよね。僕の部屋みる?」
「え?部屋あるんですか?」
「君、さっきから失礼だねぇ。この世界では…。いや、うちのギルドではAIを人間として見ないとルナに追い出されちゃうよ。」と注意されて、それから「ついてきて」と言われて長い廊下をあるいた。
しばらくして、やっとシンさんの部屋についた。
ドアを開けてくれて入ってみると、とてもシックで落ち着いた空間が広がっていた。
「凄いですね。空気が綺麗というか。ファンタジー世界に似合わないくらい現実世界に近い部屋ですね。」
「クスッ。僕は現実世界への憧れが強くてさ。現実世界の本とか過去の新聞、ニュースとか大好きで。コホンッ。ちょっと喋りすぎた。」
シンさんは、凄く現実世界に…。ううん。人間になりたいのが痛いほど伝わってきた。
「シンさんは人間と全くかわらないです。ただ、現実世界に肉体がないだけですよ。」
「どうも…// と、とにかく部屋の家具とかは町や国限定品のとかもあるし、もちろん初心者村で企業がだしてるものとかもあるし、暇があったらやってみれば?」と照れた顔を隠しながらも色々と丁寧に教えてくれた。
しばらく現実世界のインテリアについての雑談をした後…
「そういえば、MAPを埋める方針でいいの?」
「あー…いえ、武器の武器を揃えたいなぁって思ってます。刀…とか。」
「刀か。丁度次の町にありそうかな。」
「ほんとですか!?」
「うん。じゃあ、早速今から行こうか。」
シンさんがゲートをだしてくれた。
ゲートをくぐると、教科書や写真で何度もみた事のある懐かしい風景が広がっていた。
「凄い!日本…なのかな?いや、昔の日本だ。」
次の町は【江戸】ギルド【わびさび】というメンバーが作った国でここも1、2年は維持されたままらしい。
ほんとに昔の江戸を再現してるのかな?
ちょっと、ところどころ雑というか、江戸城らしき城のてっぺんに鯱があるように見えるし。
でも、この桜並木だったり、しだれているタイプの桜が美しくて見とれてしまう。
「ん?どうかした?」
「いやぁ、もう、凄く綺麗で見とれてました。」
「これも綺麗か。ふーん。日本人だったよね?日本ってこんな感じじゃないんだよね?今って。」とシンさんが無表情ながらも興味深々な感じで聞いてきた。
「あ、はい。近未来化がかなり進んでて、ここは何百年か前の日本ですね。僕の住んでるところにはまだ似たような建築物は残ってますけど。」
「無理だとは思うけど、いつか行ってみたいよ。」シンさんは歩き出した。
………行けるようになるよなんて絶対に言えない。この世界で生きてこの世界で死ぬしかない…そんなヒトだから。
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

2回目チート人生、まじですか
ゆめ
ファンタジー
☆☆☆☆☆
ある普通の田舎に住んでいる一之瀬 蒼涼はある日異世界に勇者として召喚された!!!しかもクラスで!
わっは!!!テンプレ!!!!
じゃない!!!!なんで〝また!?〟
実は蒼涼は前世にも1回勇者として全く同じ世界へと召喚されていたのだ。
その時はしっかり魔王退治?
しましたよ!!
でもね
辛かった!!チートあったけどいろんな意味で辛かった!大変だったんだぞ!!
ということで2回目のチート人生。
勇者じゃなく自由に生きます?
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる