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10P【ソロモンの塔】

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現実世界の明日には…僕の隣には咲が…。
………でも、現実世界の寝る時間って、この世界では何年経過するんだろ…。
ふと回りを見渡せば、氷がキラキラ光っていて、ほんとに綺麗な国だ。
活気もあって、人々が笑いあってる。

「もっと他の国も見たいなーって顔に書いてありますよ?」背後から声がして驚いてバッと振り返った。
「シンカさん!!」
シンカさんはシンさんがつけてるモノクルと同じモノクルをつけていた。
「食事は終わったようですね。」
「終わりました…けど…。」
「ん?自分の顔に何かついてますか?」
「いや、その…モノクルが気になってしまって、あと何で心読まれたのかなーって。」
「クスッ…このモノクルは装備覧でいうと装飾品といいますか、これをつけてると相手のパラメーターの一部が表示されるんで便利なんですよ。ちなみに眼鏡の上からでもつけられます。装飾品なんで。」
「へぇー。」
シンカさんはホログラム画面を操作してモノクルを消した。
「さて…と。他の国見てみます?」
「いいんですか?」
「良いに決まってるじゃないですか。自分が護衛するんで。」
「え?でもルナさん寂しがるんじゃ…。」
「睡眠期間に入ったんで少し暇ができたんです。」
睡眠期間?ログアウト的なものかな?
「じゃあ、お願いします。」
シンカさんは少し微笑んでから歩きはじめて…ピタッと止まった。
「あー…まずは初心者村にでも行きましょう。」
「あ、はい。」
「りきさんが辞めてから、あの村もずいぶん変わったと思いますよ。ゲートを開きますね。」
シンカさんがホログラム画面を操作すれば空間が裂けて、どこかへのワープゲートになった。
「どうぞ。」
そう言われて一緒にゲートに入った。

ゲートを抜けた先には…たくさんの店がでていてお祭り騒ぎみたいなくらい人も賑わっていて驚いた。
「僕が復帰前に覚えてる初心者村は…殺風景で点々と企業の宣伝ポスターと企業のだしてるガチャがあったくらいだったのに。」
NPCもユーザーも凄く楽しそうで、現実世界で申し込まれたバトルが闘技場で行われているようで、闘技場の方から凄い歓声が鳴り響いていた。
「…んー…難しいですね。そちらの世界でいうとー…ムーンバミューダ社と組む企業が増えた結果とでもいっておきましょうか。」
「そうなんですね。驚きました。」
しばらく町を歩いて観察すると、わざわざ企業がユーザーとして入ってガチャの宣伝やAIを売っていたりしていた。
それから公式AI(ムーンバミューダ社運営のAI)が先導している制服を着た団体が町を歩いていた。
「あれは…なんですか?」
「あぁ。チュートリアル学校の生徒ですね。ああやって売り物やアイテムの説明をして回ってるんですよ。あの制服を着てる間はバトルを受ける事も申し込む事もできないんで安全に町の外や色んな国を見て回れるんです。」
「僕も入りたかった…。」
「本で得た知識しかありませんけど、どのゲームも復帰者に対して厳しいですよね。あ。大事なクエストを忘れてました。ログインしたらまず最初に誰もがやるクエストがあってですね。デイリークエストってやつですね。現実世界の時間で1日1回だけ受けられるらしくて。自分はAIなんで現実世界の感覚がほぼ無いに等しいんで数年に一度感覚ですけど。」
「1日で数年経つんですか?」
「経つ時もありますし、経たない時もあります。…で、ソロモンの宴って名前のクエストなんですけど、これが73階建ての塔で各階にモンスターがいます。どこまで倒せるかっていう簡単なクエストです。失敗しても失敗にならないんですけど1日1回なんで気合をいれてこなしてくださいね。」
「はい。頑張ります。」
シンカさんについて歩いていくと、とてつもなく高い塔にたどり着いた。塔の扉も何だか重そうで僕一人ではとても開けられそうにない。
「ここです。」
「えっと…何をどうすればいいですか?」
「扉に触れるとクエスト開始画面が出るんで、まぁ、適当に頑張ってください。自分はここで本でも読んで待ってるんで。」
シンカさんはスマホをいじってどこかから椅子と本をとりだして、その椅子に座って本を読み始めた。
「…頑張ります。」
良かった。降れるだけで。
扉に触れるとクエストを開始しますか?[YES NO]というホログラム画面がでてきて[YES]を押した。

扉が開いて入ってみると…真っ暗な空間からボボボボボッとロウソクの明かりがついて、部屋の中央にカエルと人間と猫の顔をもつ蜘蛛が現れた。
タクトを構えると小人達がでてきてくれた。
「この塔は73体モンスターがいるらしいから、できればその魔力を温存しながら進みたい。」と自分の考えを言ってみれば「了解しました。では、ハク。」とエイボンが指示をする。
「まかせろ。」とハクは早速斬りつけにいった。何度も何度も斬りつけるが敵の体力がジワジワとしか減っていかず、ハクが少しやりにくそうな顔をしていた。
「斬りにくそうですね。ハクに良い武器があれば良いんですが。」とエイボン。
そうだった。みんなそれぞれに武器か防具を装備させる事ができるんだった。
ハクは魔力をほぼ使う事なく物理攻撃をあたえる事ができる。魔力を温存させるなら、このままハクに行ってもらうしかないけれど、しんどそうだ。

しばらくして「終わった。」と言ってハクが戻ってきた。
モンスターを倒し終えると、目の前にホログラム画面がでてきて報酬が届いていた。

[100En 蜘蛛の目 カエルの胃袋]
Enは円って認識で良かったはず。そして、このアイテムはどこで使うんだろう。
なんだか人に戦わせてばかりで罪悪感を感じてしまう。でも今は仕方がないのかな。

ゴゴゴゴと音が鳴り響いて床が浮上しだした…どうやらモンスターを倒し終えると自動で床が階を上っていくシステムらしい。

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