7 / 92
7p【練習試合】
しおりを挟む
【翌日早朝】
現実世界と変わらない朝を迎えて、現実世界と変わらない仕度をする。
服を着替えて、装備をつけて、それから朝食。ご飯を食べないと空腹を感じてしまって集中力が乱される。
ほんとにこのゲームは現実世界化しつつある。僕が始めた時は空腹なんてなかったのに…。
朝食はどこかお店を探してとるしかないかな。
部屋を出ると見知らぬ幼稚園児っぽい背丈の水色の長い髪のAIが食事をのせたオボンを持って立っていた。
「お食事でございます!」と可愛らしい声を発するAI。
「あ、ありがとう。君はだれ?」オボンを受け取った。
「澪でございます!では、失礼します!」と言ってAI澪は走ってどこかへ行ってしまった。
誰のAIだったんだろう?
部屋のボロっちい木の机にオボンを置いて朝食を食べる。
パンとバターとスープにサラダ。凄く美味しい。パンはサクっとしてるし、スープは具沢山で深みのある味わいだ。
ゲームなのにここまで味がするのは本当に凄いと思った。昔は塩味のパンだけだったような…しかも食べても意味がない…。
食事を終えるとホログラム画面がでてきて[体力+1魔力+3]と表示された。
食事効果ってやつなのかな?
朝食をとった後、メールで指定場所の地図が送られてきて、すぐに指定された練習場へ向かった。
「きたか。」千翠さんはそういうと少し口角をあげた。
それにしてもこの練習場がずいぶん広い。学校の体育館4つ分はありそうだ。天井も見えないし、地面は綺麗に整えられた芝生のみ。
昔やってた時、何度か練習場を使った事はあるけどここまで広い練習場ははじめてだ。
背後でブォンっと鈍い音が聞こえて、振り返るとAIシンカさんがいた。
「すみません、もうすぐ来ます。」シンカさんは軽く頭を下げた。
しばらくするとルナさんが現れた。
背中に薄い水色の大きな美しい蝶々の羽をつけていた。
「お待たせ、じゃあ正式な練習試合をはじめましょうか。やった事はある?」
「ないです。僕がやっていた時は実装されてなかった気がします。えっと、どうすれば良いですか?」
「そうよね。ここ2、3年で色んなアップデートがきてるから…。正式な練習試合もそのひとつ。じゃれあいと違って体力がしっかり減って1になったら終わり。練習試合記録として映像が残るから後で見返す事ができるわ。それから、何かを賭ける事もできるわ。」
「賭け、ですか。」
「まぁ、今日は可愛い新人にビシっと私が強い事を証明して私を崇めてもらうための練習試合だから賭けものは無しよ!」
崇めてって、なるほど。
ルナさんがスマホを操作すると僕の目の前に《練習試合を申し込まれした》というホログラム画面と10秒のカウントダウンが視界に映った。
【YES】【 NO 】といったボタンなんてものはない。申し込まれたら受けるしかないようだ。
「さぁ!いくわよ!」と意気揚々とするルナさん。
僕はタクトを握った。
「僕が指揮をとります、りきさんは魔力注入に集中してください!結構すぐ無くなりますよ。」そう言ってエイボンは分厚い本を宙に浮かせた。
7人の小人達の頭の上に魔力ゲージが現れて、それから自分の魔力も表示された。
この魔力を上手く割り振っていかないと、自分も魔力切れをして終わってしまう。
僕はタクトを構える。
ルナさんが傘をくるくるとまわすと頭上から大量の氷柱が降ってきた。
「分解!」と言って小人のエイボンは太極珠で氷柱を溶かした。
だけど、ルナさんは容赦なく次から次へと氷柱を飛ばしてくるので「間に合わない!ハル!」とエイボンが指示すれば小人のハルが何かのオーラを纏わせて「了解♪」と言って、ぽかぽかと僕のまわりの温度がかわったと同時に雨が降り注がれた。どうやらハルの技は周辺の温度を強制的に変えてしまうようだった。強烈な温度にできないのが難点なようだ。「溶かすだけだからね。」とハルはさわやかな笑みを浮かべた。
《状態異常[水濡れ]》という表示が現れた。
水濡れ状態なった時は電気に気をつけないといけないんだっけ。
次にルナさんは髪の毛を飛ばしてきた…本当にあの髪の毛は武器だったんだ。
「氷属性の魔法なようですね。ハル!」とエイボンが言うとハルはその髪の毛を溶かしてくれた。
「はぁ!?どうなってんのよ!太極珠で溶かしてるわけでは無さそうね?」とルナさんは驚く。
どうして太極珠じゃないってわかったんだろう?と思うと「太極珠で氷を分解した場合、水にならず空気になるからです。」とエイボンからの答えが帰ってきた。
「あーあー。お得意の氷魔法が効きませんね。」と、観客席のAIシンカは半笑いだった。
「ハク、いけますか?」エイボンはちらりとハクを見る。
「誰に言っている。そんなもの余裕だ。りき!しっかり俺の魔力みとけよ!」と言ってハクは魔力を大量に消費して自身のオーラを凝縮させて刀のようなものを作り出して、凄い速さでルナさんを斬りつけにいった。
ルナさんも何かくると感じ取ったのか自身を氷で覆うが、エイボンがそれを解除させた。
しかし、ルナさんは目に見えない何かを素早く傘で防いだ。
「くっ!!なぜわかるっ!」ハクは顔をゆがめる。
「ちょっ、何よ!何か刃物を弾くような音がするじゃない!」と驚いてキョロキョロするルナさん。
「自動防御が発動しているみたいですね。」と言ってエイボンはモノクルをかけなおす。
自動防御はその名前の通り、自動で防衛してくれるスキルのひとつだ。さすが最強ランクの武器だ。
ルナさんの攻防一体の傘、あれを手に入れるのにいったいどれだけのお金もしくは苦労がいるんだろうか。
ルナさんはふわりと空を飛んだ。
「フゥ!ハクを浮かせて!」エイボンは絶えず指揮をとる。
ハクは何度も斬りつけにいくが何度も傘に阻まれてしまう。
「魔法がダメなら直接殴り倒すわ!」とルナさんは傘をたたんだ。すると傘の先端が槍のように鋭くなって構える。刺されたらかなりのダメージをおってしまいそうだ。
一旦空に浮いて、空から凄いスピードで僕を突こうとしてきた。
やばい…!!!そう思った次の瞬間、ウォールが身を挺して僕をかばった。
現実世界と変わらない朝を迎えて、現実世界と変わらない仕度をする。
服を着替えて、装備をつけて、それから朝食。ご飯を食べないと空腹を感じてしまって集中力が乱される。
ほんとにこのゲームは現実世界化しつつある。僕が始めた時は空腹なんてなかったのに…。
朝食はどこかお店を探してとるしかないかな。
部屋を出ると見知らぬ幼稚園児っぽい背丈の水色の長い髪のAIが食事をのせたオボンを持って立っていた。
「お食事でございます!」と可愛らしい声を発するAI。
「あ、ありがとう。君はだれ?」オボンを受け取った。
「澪でございます!では、失礼します!」と言ってAI澪は走ってどこかへ行ってしまった。
誰のAIだったんだろう?
部屋のボロっちい木の机にオボンを置いて朝食を食べる。
パンとバターとスープにサラダ。凄く美味しい。パンはサクっとしてるし、スープは具沢山で深みのある味わいだ。
ゲームなのにここまで味がするのは本当に凄いと思った。昔は塩味のパンだけだったような…しかも食べても意味がない…。
食事を終えるとホログラム画面がでてきて[体力+1魔力+3]と表示された。
食事効果ってやつなのかな?
朝食をとった後、メールで指定場所の地図が送られてきて、すぐに指定された練習場へ向かった。
「きたか。」千翠さんはそういうと少し口角をあげた。
それにしてもこの練習場がずいぶん広い。学校の体育館4つ分はありそうだ。天井も見えないし、地面は綺麗に整えられた芝生のみ。
昔やってた時、何度か練習場を使った事はあるけどここまで広い練習場ははじめてだ。
背後でブォンっと鈍い音が聞こえて、振り返るとAIシンカさんがいた。
「すみません、もうすぐ来ます。」シンカさんは軽く頭を下げた。
しばらくするとルナさんが現れた。
背中に薄い水色の大きな美しい蝶々の羽をつけていた。
「お待たせ、じゃあ正式な練習試合をはじめましょうか。やった事はある?」
「ないです。僕がやっていた時は実装されてなかった気がします。えっと、どうすれば良いですか?」
「そうよね。ここ2、3年で色んなアップデートがきてるから…。正式な練習試合もそのひとつ。じゃれあいと違って体力がしっかり減って1になったら終わり。練習試合記録として映像が残るから後で見返す事ができるわ。それから、何かを賭ける事もできるわ。」
「賭け、ですか。」
「まぁ、今日は可愛い新人にビシっと私が強い事を証明して私を崇めてもらうための練習試合だから賭けものは無しよ!」
崇めてって、なるほど。
ルナさんがスマホを操作すると僕の目の前に《練習試合を申し込まれした》というホログラム画面と10秒のカウントダウンが視界に映った。
【YES】【 NO 】といったボタンなんてものはない。申し込まれたら受けるしかないようだ。
「さぁ!いくわよ!」と意気揚々とするルナさん。
僕はタクトを握った。
「僕が指揮をとります、りきさんは魔力注入に集中してください!結構すぐ無くなりますよ。」そう言ってエイボンは分厚い本を宙に浮かせた。
7人の小人達の頭の上に魔力ゲージが現れて、それから自分の魔力も表示された。
この魔力を上手く割り振っていかないと、自分も魔力切れをして終わってしまう。
僕はタクトを構える。
ルナさんが傘をくるくるとまわすと頭上から大量の氷柱が降ってきた。
「分解!」と言って小人のエイボンは太極珠で氷柱を溶かした。
だけど、ルナさんは容赦なく次から次へと氷柱を飛ばしてくるので「間に合わない!ハル!」とエイボンが指示すれば小人のハルが何かのオーラを纏わせて「了解♪」と言って、ぽかぽかと僕のまわりの温度がかわったと同時に雨が降り注がれた。どうやらハルの技は周辺の温度を強制的に変えてしまうようだった。強烈な温度にできないのが難点なようだ。「溶かすだけだからね。」とハルはさわやかな笑みを浮かべた。
《状態異常[水濡れ]》という表示が現れた。
水濡れ状態なった時は電気に気をつけないといけないんだっけ。
次にルナさんは髪の毛を飛ばしてきた…本当にあの髪の毛は武器だったんだ。
「氷属性の魔法なようですね。ハル!」とエイボンが言うとハルはその髪の毛を溶かしてくれた。
「はぁ!?どうなってんのよ!太極珠で溶かしてるわけでは無さそうね?」とルナさんは驚く。
どうして太極珠じゃないってわかったんだろう?と思うと「太極珠で氷を分解した場合、水にならず空気になるからです。」とエイボンからの答えが帰ってきた。
「あーあー。お得意の氷魔法が効きませんね。」と、観客席のAIシンカは半笑いだった。
「ハク、いけますか?」エイボンはちらりとハクを見る。
「誰に言っている。そんなもの余裕だ。りき!しっかり俺の魔力みとけよ!」と言ってハクは魔力を大量に消費して自身のオーラを凝縮させて刀のようなものを作り出して、凄い速さでルナさんを斬りつけにいった。
ルナさんも何かくると感じ取ったのか自身を氷で覆うが、エイボンがそれを解除させた。
しかし、ルナさんは目に見えない何かを素早く傘で防いだ。
「くっ!!なぜわかるっ!」ハクは顔をゆがめる。
「ちょっ、何よ!何か刃物を弾くような音がするじゃない!」と驚いてキョロキョロするルナさん。
「自動防御が発動しているみたいですね。」と言ってエイボンはモノクルをかけなおす。
自動防御はその名前の通り、自動で防衛してくれるスキルのひとつだ。さすが最強ランクの武器だ。
ルナさんの攻防一体の傘、あれを手に入れるのにいったいどれだけのお金もしくは苦労がいるんだろうか。
ルナさんはふわりと空を飛んだ。
「フゥ!ハクを浮かせて!」エイボンは絶えず指揮をとる。
ハクは何度も斬りつけにいくが何度も傘に阻まれてしまう。
「魔法がダメなら直接殴り倒すわ!」とルナさんは傘をたたんだ。すると傘の先端が槍のように鋭くなって構える。刺されたらかなりのダメージをおってしまいそうだ。
一旦空に浮いて、空から凄いスピードで僕を突こうとしてきた。
やばい…!!!そう思った次の瞬間、ウォールが身を挺して僕をかばった。
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈

2回目チート人生、まじですか
ゆめ
ファンタジー
☆☆☆☆☆
ある普通の田舎に住んでいる一之瀬 蒼涼はある日異世界に勇者として召喚された!!!しかもクラスで!
わっは!!!テンプレ!!!!
じゃない!!!!なんで〝また!?〟
実は蒼涼は前世にも1回勇者として全く同じ世界へと召喚されていたのだ。
その時はしっかり魔王退治?
しましたよ!!
でもね
辛かった!!チートあったけどいろんな意味で辛かった!大変だったんだぞ!!
ということで2回目のチート人生。
勇者じゃなく自由に生きます?
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる