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僕の特性は、嘘つきというカテゴライズにされる

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先に申したとおり、
僕は記憶力が優れている。

しかし使い勝手の悪いものだ。

僕の記憶は基本興味のあるものにしか働かず、興味のないものには一切機能しないと言って良い。

そして、記憶の仕方も独特である。

例えば、
教科書を丸々1ページ暗記するのは
目でシャッターを切るように記憶するので、教科書の周りにある机の模様や置いているペットボトルまで映り込む。

その中から欲しい情報の記載を探している。

それが授業となると

先生の声と同時にその時、その空間であった事もビデオ録画のように一緒に覚えてるので、その中から目的の会話や声だけを取り出して抜き出すのは中々に困難であるのは、誰かの笑い声や、筆記用具の些細な音までも記憶するからだ。

そんなわけで、僕の頭はいつも騒がしい。

聴覚過敏や光の過敏もある分
僕の頭はいつもザワザワしていて、それを処理していると
頭痛がひどく、お腹が痛くなる。

頭が痛い…
お腹痛い…


これらを訴えたところで、誰にも聞き入れてはもらえない。


なぜなら、医者に言ったところで
「健康」だからだ。

それが特性によって引き起こされているという診断には至らない

結果、いつだって仮病あつかいなのである。

だから僕は都合が悪くなると体調が悪くなる嘘つきとして認定されていた。

人と会話をする際にそれらの情報が頭の中を巡るので
目まぐるしい情報量に、吐き気をおぼえて吐いたとしても

厄介者にしかならない。

仮病もここまでいくと根性あるよね。
そんな言葉をよく耳にした。


家に帰れば、また
お母さんが、手間をかけさせてと
怒る日々。

この頃には僕は

話したところで誰も聞いてもらえないし
覚えたところで、悪口しか言われない。

「人」という関わりに嫌気がさしていた。

子供の時の僕は
友達の名前は上履きで確認し、
顔は認識したところで興味がないから覚えるのはとても苦手であった。

それは親もである。


集合写真の中から、親の顔を探すこともできない。
興味もないので着ていた服さえ不明である。

親どこに映ってる?と聞かれたところで
「んー、見つけられない。」
と、答えていた。

「お母さん」からしてみたら
これだけ自分にストレスのかける対象が
自分のことを認識すらしていないなんて
今にして思えば、すごく失礼な話なのであろう。

僕の言葉はいつだって、嘘つきにカテゴライズされていく。

そこにある、想いや真実は

誰にも理解されない。
平成の教育なんて、そんなものだった。







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