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三章
人間という生き物とは
しおりを挟む「もしやお主、精霊王か?」
突然現れたブルーアイズの少女。身長は約140センチほどの小柄な彼女が、俺が精霊王だと突然看破してきたのだ。俺は警戒を強める。
「ほっほっほ、そこまで警戒せんでもええわい」
そう言われたが、俺は警戒を解かない。一応鑑定する。
ーー鑑定
ーーー??????ーーー
Lv ???
種族:人族
職業:???
筋力:???
体力:???
耐性:???
敏捷:???
魔力:???
魔耐:???
ーーー【スキル】ーーー
・???
・???
・???
・???
・???
・???
ーーー【固有スキル】ーーー
・???
・???
・???
なんだこのステータスは!?こいつ人族だろ!?なんで何にもわかんないんだよ!!
「ん?お主まさか今鑑定したのか?」
「・・・・・」
鑑定したこともわかるのかよ。こいつ何者だ?人間じゃないのか?
そいつは何かを悟り微笑み出す。
「ほっほっほっ。儂のステータスがなにもわからなかったじゃろ?」
「ちっ、わかるのか?」
「ああ、魔力の波動を感じてな~。まさか鑑定持ちとはの~、初めて見たわい」
そいつは何か遠い目をしながらそう呟く。不思議とこいつと喋ると警戒心が緩んでくる。
「まっ、いっちょ勝負してみんか?」
「あ?誰がするか!こっちは忙しいんだよ!」
「まあまあ、拒んでも強制的にするがのおぅ」
すると目の前が強く光り出し、光が収まると同時に周りを見渡すと、なにもなくただ膨大な空間があった。そしてミナとユキネの姿がみえない。
「おい!!ミナとユキネはどこにいる!!!返答次第ではお前を殺すぞ!!!!」
ユウは怒り狂っていた。ミナという最愛の人を、ユキネという仲間を、そいつらに"何か"したこの少女にとてつもない殺気を放っていた。
「安心せぇ、あの2人なら大丈夫じゃよ」
この空間には謎の少女とユウしかいない。ただなにもない空間で2人は対峙している。
「誰が信じるか!!そうやってどうせ裏切る。どうせな!!人間ってもんはどこまでもどこまでも腐った野郎ばかりだ!!お前もどうせその1人だろうが!!」
「ふむ。これはなかなか重症なようだな。」
「あぁん!?」
「なあお主、人がそんなに憎いか」
「ああ!!憎いね!!俺は1人の人間を庇おうとした。だけどそいつに裏切られた挙句、その親も俺を助けようとしなかった。結局どいつもこいつもクズばかりだ」
ユウは険しい顔をしながらあの時を思い出す。それを聞いた少女は...
「ほぉ。成る程な。ではなぜあの2人と一緒にいる?」
「はぁ?なに言ってんだお前。あいつらは人間じゃーー」
「お主こそなにを言っておるのじゃ?確かに表面上は人族ではない。じゃがな、種族の部分以外はそう人族とはかわらんよ」
「・・・・・」
ユウは黙ってその少女の話を聞く。
「確かに能力の差はあるかもしれぬ。じゃが、楽しければ笑い、辛い時があったら悲しむ、なにも人族と変わらんじゃろ」
「・・・・・」
「まあ人族に限ったことではないじゃがな。確かに人族は哀れじゃ。簡単に利用し、簡単に騙し、簡単に人を殺す、確かに哀れよ。じゃがな、それでも人族は信頼し合い、団結し合い、笑い合い、絆を深め合い、楽しみ合う、素晴らしい種族でもあるのじゃよ。」
「・・・・・」
「確かに愚かな人族もいる。しかし本当に全員が全員なのか?もう一度よく考えてみよ」
「・・・・・」
「もし、あの2人が人族になったらお主はもう一生関わらないのか?どうなのじゃ?」
「お、俺は...」
「まあそう早く答えを出さんでよい。なんせお主は重症だからな。その考えをいきなり正せと言われても無理なことよ。」
ユウは認識を改めていく。今までの考えを。今までの"俺"を。
「はあ~。本当は戦うためにここに連れてきたんじゃが、まあよい。これも一興か。」
そして、視界が暗く...暗く...なる...
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