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甘く淫らなラブロマンスの長編版(※短編の続きではありません)
本編『気付いたら身体が動いていた』の後のネイブルとサフィニア(下)
しおりを挟むネイブルへ見ないでと要望する事すら、絶頂を二度迎え朦朧としたサフィニアの頭からは消えてしまっている。
そんなサフィニアを見つめるネイブルの目は、か弱い獲物を捕らえた獰猛な獣のようにギラリと光っていた。
「全部きれいに舐め尽くしてぇ。いいか?」
「だ、め……」
「悪い、ダメは受けつけらんねぇ」
サフィニアの脚の付け根にネイブルが顔をうずめてしまう。
そして口をそこへ密着させると、ぢゅ……と音を立てて濡れそぼった蜜口を啜った。
サフィニアの身体がビクッと大きく跳ねるのと同時に、彼女の口から嬌声が上がる。
ネイブルは蜜を吸いながら舌先をレロレロ器用に動かして穴の入り口を探り当てると、ズリュリュ……と舌を挿し込んでいった。
「ふッ……ァ……っ………」
強すぎる快楽から逃れようと身体を捩るサフィニアだったが、それがかえってネイブルの狩猟本能を刺激してしまったのかガッシリと腰を掴まれ動きを封じられてしまった。
サフィニアの膣へ濃厚なキスをするように、ネイブルが舌でサフィニアの穴のナカを舐め回す。
「んッ、ァ……んン……ッ……」
高級な宿の室内で響く、くちゅくちゅ淫猥な水音とサフィニアの甘い嬌声。
ネイブルは股間に熱が集まり、膨らんで窮屈になっているのがつらかった。
サフィニアの嬌声が、段々と大きくなっていく。
ネイブルが舌を出し入れして、性交をするような動きでサフィニアの膣を擦り始めたから。
「ひぅ……ッぁ、ぁ、あ……」
陰茎の代わりに舌で膣壁を刺激しながら、ネイブルはサフィニアの陰核を指で愛撫した。
指先でカリカリ陰核の裏側を引っ掻いたり、押し潰すようにして指で揺さぶる。
ひときわ嬌声が甘くなったのはネイブルの指で陰核を左右にクパ……と広げ、現れた無防備な花芯を指の腹で撫でた時だった。
「ひぁ、んンッ……ァ、ん、ァアッ」
陰核への愛撫を繰り返され三度目の絶頂を迎えたサフィニアは、スゥ……とそのまま眠りへと落ちていく。
サフィニアが目を覚ますと、ネイブルがすぐそばにいた。
寝ているサフィニアのすぐ隣で、左の膝を山の形に立てた寛いだ姿勢でベッドに座っている。
視線だけ動かして窓の方を見たサフィニアは、カーテンの外がまだ明るい事に気が付いた。
寝てしまったけれど、そこまで時間は経っていないのかもしれない。
ネイブルは左肘を立てた膝の上に乗せ、右手をサフィニアの方へ伸ばし彼女の金色の長い髪の毛を指にクルクル絡ませている。
媚薬は抜けているはずなのに、サフィニアは自分の頬がカーッと熱くなっていくのを感じた。
「なぜ、ネイブル様……私の髪を弄っていらっしゃるのですか?」
「サラサラしてんなー、と思って」
サフィニアの髪質のせいか、ネイブルが指に巻きつけてもその金色の髪の毛はすぐにスルリと解けていく。
ネイブルはそれが面白いらしい。
「ずっと触ってても飽きねぇ。ぁーでも髪触られるの嫌だったりするか?」
ベッドで横になったまま、サフィニアは首を小さく横に振った。
「嫌だなんて、そんな事ありません。ネイブル様こそ……私の事、嫌ではないのですか」
「なんでそんな事を聞くんだ、嫌じゃねぇよ」
普段は宝石のように輝いているサフィニアの青い瞳が、今は少し陰っている。
「私のせいでネイブル様にあのような行為をさせてしまいましたから、嫌われてしまったかと……」
ハハ、とネイブルは努めて明るい感じに笑う。
「むしろ嫌われるなら俺の方だろ、エロい事を強要したのは俺だから」
「ぃぃぇ、悪いのは私です。本当に……申し訳ありませんでした……」
「気にすんなよ。今日の事は俺もすぐ忘れるようにすっから」
ニカ、とネイブルが太陽のように明るい笑みを浮かべた。
でもサフィニアの表情は、暗く曇ったまま。
「……私の事なんて……忘れてしまうのですね」
腰が砕けてしまったかのように力が入らず起き上がれないサフィニアは、手を伸ばしてネイブルのシャツの袖をキュ……と掴む。
ネイブルの顔から、一瞬で笑みが消えた。
サフィニアの表情が今にも泣き出しそうなものだったから。
「それならいっそ最後まで……このまま純潔を奪ってください」
ぐ、と喉を詰まらせたネイブルが盛大に咳き込んだ。
「っ、ダメだ、自棄になるなって。そういう事は結婚相手としないと、サフィニア嬢が後悔すっだろ」
「いいんです……。媚薬を飲んで男性に解消していただいた事が知られたら、もうどこにも嫁いだりできませんから」
ネイブルはめまいを感じているように目を閉じて少し俯き、自分の額を手で押さえた。
「嫁ぎ先の事は心配しなくていい。忘れるっつったのは言いふらしたりしないって意味で、万が一この事がどこかから噂にでもなったら、ちゃんと俺が責任とって結婚すっから」
「だめ……です、責任、なんて。こんな、ふしだらな、私と……」
顔を上げたネイブルは、手を伸ばしてサフィニアの額を軽くコツンと小突いた。
「ふしだらなんかじゃねぇ。サフィニア嬢には凛とした美しさがある。それは今もこれから先も変わらねぇって」
「だけど……」
少しでも励ましたくてネイブルは優しくサフィニアの頭を撫でる。
「それにほら俺、婚約者とか、いねぇし。何も問題ねぇよ」
「……婚約者はいなくても好きな方は……いますよね」
「っ!」
ピタ、とサフィニアの頭を撫でていたネイブルの動きが止まった。
サフィニアの瞳から涙が零れていく。
「……出過ぎた事を……言いました……」
ハッとした表情を浮かべたネイブルだったが、すぐに明るい笑みをサフィニアへ向けた。
「いーって、いーって、気にすんな」
「申し訳、ございません……」
サフィニアから少し視線を逸らして、ネイブルが尋ねる。
「謝る必要はねぇけど……どうして、そう思った」
「私と……同じだったからです」
「同じ?」
サフィニアはゆっくりと上半身を起こしながら、ネイブルの疑問に答えた。
「報われない恋をしているところが」
「それって……」
報われない恋とは、想いが叶う可能性が低い恋だ。
例えば相手が既に結婚していたり、恋人や婚約者がいる場合。
「私がかつて好きだった方も、その時すでに婚約者がいましたから」
「サフィニア嬢が昔、好きだった……」
「だから気が付きました。ネイブル様も、私と同じようにあのおふたりを目で追っているんですもの」
ネイブルの頭に、この国の王太子と王太子妃の姿が浮かぶ。
サフィニアは言葉を続けた。
「最初は報われない恋をしている仲間意識のようなものでした。でも、いつからか私はネイブル様の事を……」
ネイブルは固まってしまったかのように言葉を発する事ができなかった。
「ごめんなさい。こんなこと言っても困らせてしまうだけですよね」
サフィニアの瞳から、また新たな涙が零れていく。
「でも、その女性の代わりでいいんです。せめてものお情けで私の純潔をもらっていただけませんか」
「代わりに抱くのは無理だな。あいつの事、そういう性的な対象として考えた事がねぇから」
サフィニアの胸がズキンと痛む。
ネイブルの心に想う相手が、それほどまでに大切な存在なのだと思い知らされて。
「そぅ、ですか……」
「小さい頃ずっと一緒にいたから、好きっつーか妹みたいな感情なのかもしんねぇな。もし一緒のベッドで寝る機会があったとしても、俺は今日みたいに興奮しねぇと思う」
そこまで話したところで今日サフィニアに対して欲情したと白状しているようなものだと気づき、ネイブルの額に汗が滲んだ。
サフィニアをそんな対象として考えるのは失礼だろうと思い、つい早口になって弁明してしまう。
「興奮したっつってもエロい目でサフィニア嬢を見てるってわけじゃねぇよ。信じてもらえねぇかもしんねぇけど」
「いいんです。そんな目で見られて当然ですもの。あんな、みっともない姿をネイブル様に、見せてしまいましたから……」
サフィニアの目から、涙が次々に落ちていく。
「みっともなくなんてねぇよ」
ネイブルは心の底からそう思っていたが、サフィニアの涙は止まらない。
「ぃぃぇ、慰めなんておっしゃらないでください……」
「サフィニア嬢がみっともないなら俺の方こそ、がっついちまってカッコ悪かったし、ちゃんとサフィニア嬢に優しくできてたか不安でたまんねぇよ」
言いながらネイブルは、自分の後頭部に手を当てガシガシ掻いた。
「こんな事になるなら、騎士団の先輩から娼館へ誘われた時に断らないで丁寧なやり方とか勉強しときゃよかった」
「娼館……」
「って、なに言ってんだ俺、サフィニア嬢にこんな話をしちまって。悪い、なんかいろいろ動揺してる」
片手で自分の顔を覆うと、ネイブルは天を仰ぐように上を向く。
そのすぐ隣で、サフィニアは何かを決意したような表情をしていた。
「私……娼館で働きます」
「は?」
「ネイブル様の重荷にはなりたくありませんもの」
ほんの一瞬だったが、見知らぬ男に寄り添うサフィニアの姿をネイブルは想像してしまった。
その瞬間、プツンとネイブルの中で何かが切れる。
「ふーん。そんじゃ、男の……俺の股間くらい平気で触れるって事だよな」
ベッドの上で膝立ちになると、ネイブルは腰のベルトを外してズボンの前を寛げた。
そして下着とともにズボンを下へずらすと押し込められていた男根を、ブルンッと解放する。
「ほら、触ってみろよ」
突然のネイブルの行動に小さく悲鳴を上げたサフィニアが両手で顔を覆う。
ネイブルは小さく鼻で笑った。
「できねぇだろ。たいした覚悟もねぇのに娼館で働くなんて言うんじゃねぇ」
目は逸らしたままサフィニアはおそるおそるネイブルの方へ手を伸ばす。
ぴと、とサフィニアの指がそこへ触れた瞬間、ネイブルの肩がピクッと揺れた。
「サフィニア嬢の手、小せぇな」
か細い手首を掴むと、ネイブルはサフィニアの手のひらをグッと自分の股間へ押し当てた。
ネイブルの屹立がドクドク脈打っているのが手のひらからサフィニアに伝わってくる。
サフィニアはネイブルから顔を背けてギュッと目を瞑っていた。
「目を逸らすんじゃねぇ。ちゃんと見ろ。そんなんじゃ娼館でなんて働けねぇよ。諦めろ」
そーっと目を開いて、サフィニアはネイブルの方へ視線を向ける。
まるで暖炉にくべる薪のようだわ、とサフィニアは思った。
太くて、長さもかなりある。
こんなに大きなものが今までどうやって下着の中に収まっていたのだろうと不思議に思ってしまった。
一方のネイブルは、まさかサフィニアが本当に見るとは思わなかったため戸惑っている。
ちょっと脅かしてやれば、娼館で働くなんて考えをすぐに放棄すると思っていた。
「こ、こいつを舌で舐めて口で咥える事もあるんだぜ、できねぇだろ?」
ぇ、と小さく声を上げてサフィニアは目を見開いた。
ここを、舐める……?
信じられない思いでいっぱいだったが、ネイブルの身体の一部だと考えると嫌悪感は無かった。
ネイブルがそれを望むなら……
手で触れているネイブルの身体の中心は狂暴さを感じさせるけれど、宥めてあげたいような愛おしさもあるからできそうな気がした。
口づけをするように目を閉じながら、サフィニアはゆっくりと上半身を前に倒していく。
「ちょちょちょちょちょーっと待て、サフィニア嬢っっ、ほんとにやろうとすんな!」
サフィニアの愛らしい唇が自分の陰茎に近づいてきたため、ネイブルは慌てて止めた。
ガシ、とサフィニアの両肩を掴む。
「サフィニア嬢、落ち着け、な? 俺も、落ち着け」
ネイブルはサフィニアと少し距離をあけ、自分の下着とズボンを上げようとした。
けれどサフィニアに触らせたせいか盛大に勃起してしまい、ソレを閉じ込める事ができない。
「やべ、先走りもダラダラですげぇな。情けねぇ」
やむを得ずネイブルはシーツを腰の所にかけて屹立を隠す。
「サフィニア嬢、娼館では働かないでくれ。他の男に触らせたくねぇから全財産つぎ込んで俺が破産しちまう」
それはやはり、大切で神聖な存在の王太子妃とは違い、自分の事を性的な対象としてみているという事だろうか。
サフィニアは少し悲しくなった。
「なぁ……今度一緒に、どこか行かねぇか?」
「ぇ」
顔を上げたサフィニアが、目をぱちぱちさせている。
「今まで個人的な話はしたことなかっただろ。お互いの事をよく知るためにも、どうだ?」
「は、はい……ッ」
「女が喜ぶような場所は知らねぇから、行きたい所があったら教えてくれ」
少しの沈黙の後で、サフィニアが遠慮がちに口を開いた。
「観たい劇があるのですが、ネイブル様には内容がつまらないかもしれません……」
「かまわねぇよ。そんじゃ約束、だな」
「はい。嬉しいです、ありがとうございます」
ふわりと柔らかく微笑むサフィニアの姿を見たネイブルは、サフィニア嬢ってこんなに可愛かったっけか、と心の中で呟いた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【お知らせ】
いつになるか未定ですが……
ネイブル&サフィニア、タジェロン&ベルマリーの話は、隣国のジオケイ王弟殿下絡みで登場する予定です。
ジオケイ王弟殿下がベルマリー→サフィニア→ミーネの順に観劇へ誘います。
それに対して男性陣の反応は……な感じです。
読者様に楽しんでいただけるようにこれからも執筆がんばります。
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