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甘く淫らなラブロマンスの長編版(※短編の続きではありません)

一難去って、また……(ミーネ視点に戻ります)

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 爽やかな風に、フワッと頬をくすぐられる。
 その風に運ばれたのか、微かに甘い花の香りがした。

 普段なら、幸せを感じるような瞬間。

 でも、今は……

 脚の付け根で動く殿下の手に翻弄されてしまって、幸せに浸る余裕がない。

 殿下とマーコット様は、人に聞かれても差し障りの無いちょっとした会話を楽しんでいる。
 話題は街で本日開催されているという花祭りについて。
 マーコット様は用事があって花祭りへ行くつもりは無いらしい。

 商談があるとサフィニア様が言っていたのを思い出す。
 だから私は、馬車に乗る間の時間をもらって話がしたいと考えここで待っていた。

 チラ、と目線だけ動かしてすぐ下を見る。
 私の身体を閉じ込めるようにして背後に立つ殿下の手が見えた。

 出窓の手前の平らなスペースと壁の境にある角のところ。
 少し体重をかけるような感じで、先ほど窓を開けた殿下の手が今はそこへ置かれている。

 そして、殿下のもう一方の手は見えない……。
 私のワンピースの裾を捲ってショーツの中へ潜り込んでいるから。

 はしたなく濡れそぼった私の穴へ、入れられている殿下の長い指。

 私は淫らに喘いでしまうのを、必死に耐えて。
 外にいるサフィニア様とマーコット様へ向かって、微笑み続ける。

 殿下の指が私の脚の付け根で動くたび、くちゅ、くちゅ、とほんの僅かに聞こえる水音。

 外にいるふたりには聞こえない距離……だけど。
 目の前の窓が、開いているから。
 もしかしてふたりに聞かれているのでは、という考えも浮かんでしまい胸の鼓動が速くなる。

「ミーネ、マーコットに声をかけなくていいのか?」

 背後に立つ殿下が、すぐそばにいる私にしか聞こえないような小さい声で囁いた。

 その問いかけに対して、キュッと口を結び首を縦に振って頷く。

 マーコット様から話を聞くために呼び止めたかった、けれど。
 いま言葉を発するために口を開いたら、絶対に喘ぎ声しか出てこないから。

 マーコット様に声をかけるなんて……無理。

 フッと小さく殿下が笑った。
 その次の瞬間、聴衆の前で話す時のような遠くにいても聞き取りやすい殿下の声が響く。

「ふたりとも、今日は来てくれて助かった。では、また」

 またねー、とマーコット様の返事が聞こえてきた。
 そして聞こえないけれど、またこんど、とサフィニア様の口元が動いたような気がする。

 殿下が窓を閉めると、私たちに背を向けて歩き始めたサフィニア様とマーコット様。
 ふたりが数歩あるいたところで、殿下は私の身体から指を抜いて出窓のカーテンを閉めた。

 ホッ、と小さく息を吐く。

 カーテンも閉めてくれたので、もう外から私の姿は見えない。

 安心したせいか身体に力が入らなくなって、出窓のガラス手前にある平らなスペースへお辞儀をするように上半身を倒して顔を伏せた。

 本当は床に座り込みたかったけれど。
 なぜか腰を殿下にガシッと掴まれていて、座り込むことはできなかった。

 だけど腰をほぼ直角に曲げているこの体勢でも、突っ伏すようにして頭をもたれることができるから少しは楽。
 呼吸を整えたら、タジェロン様を探しに行こうかしら。

 父がかかわっているかもしれないと噂されている不正の件で、私に遠慮して殿下がうやむやにしてしまわないように、真実を知りたい。
 マーコット様に話を聞きたかったけれど、それはできなくなってしまった。
 
 明日の宰相会議が行われる前に話を聞くとしたら、相手はもうタジェロン様しかいない。


「ひぁ!?」

 そんな事を考えていたら、筆のようなものでくすぐられた。

 ――お尻、を。

 ぇ……、いつの間に、か。
 私のショーツの紐、解いて脱がせましたか、殿下……?

 下半身がやけにスースーして涼しい。
 
 見なくてもなんとなく分かる。
 ワンピースの裾も……かなり捲られているような??

 …………
 …………
 ……なぜ!?

「ン、ぅ、……ッ」

 お尻、くすぐったい。

 お辞儀の姿勢で顔を伏せたまま片手を伸ばし、お尻の辺りを手で払う。
 そうしたら、手が何かに触れた。

 つい最近、触った覚えのある感じ。
 そう、おそらく……

 ……殿下の、頭、ですよね、これ??

 そうすると、お尻をくすぐっている正体は、きっと髪の毛。
 私のお尻に髪があたるような位置へ、かがんでますか、殿下??

「はぅ、ンッ」

 突然、甘い痺れが全身を駆け抜けた。
 思わず胸を突き出す感じで背を弓なりに反らしてしまう。

 生温かくてヌルリとした何かが、ぺちょ、と脚の付け根に触れたから。
 さっきまで殿下の指が入れられていて、ぐっしょりと湿っている所へ。

「ャ、……ぁ……っ」

 逃げようとしたけれど、しっかりと腰を掴まれていて動けない。

 殿下、もしか、して
 うしろから私の濡れた穴を舐めてる……!?





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