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甘く淫らなラブロマンスの長編版(※短編の続きではありません)

教えてほしい

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 いつならマーコット様と話ができるかしら?

「サフィニア様とマーコット様は、明日も登城なさるのですか?」
「ええ、ラッドレン殿下とタジェロン様と約束があるので、午前中に伺います」

 マーコット様に話を聞きたい、でも明日の午前中は確か外国語のレッスンが入っていたはず。
 そしてそのまま先生と昼食をご一緒する予定だったと思う。
 私の勝手な都合で変更するわけにはいかない。

「明後日のご予定は……?」
「確か……明日と同じ時間に、登城する予定です」
「その後のマーコット様のご予定を、サフィニア様はご存知ですか?」
「マーコットは殿下との話が済み次第、商談のためフォトウェル商会へ向かう事になっていたかと」
「そうですか……」

 話を聞くための時間をわざわざとってもらうために、マーコット様との約束を取り付けるのは難しそう。

 そろそろ行かないと、と言うサフィニア様を建物の所まで送り、ベルマリーと散歩をしながら考える。

 明後日……
 寝室の窓から見ていれば殿下と会った後のマーコット様が下を通るはずだから。
 姿を見かけたら上から声をかけて、すぐに下へおりて。
 そうすればほんの少しだけでも話をする事ができるのではないかしら。
 そうだわ、馬車も用意しておけば、マーコット様をフォトウェル商会へ送りながら話ができる。

 ベルマリーにお願いして、明後日の馬車の手配をしてもらった。
 その後は夕食まで、マントの刺繍の続き。
 とても大きなマントだったけれど、夕食までになんとか仕上げる事ができた。

 今日はまだ殿下と会う事が許されていないから、自室で一人きりの夕食。

「さて、と。今日のミーネ様の体調について、タジェロン様へ報告することになっているのでちょっと行ってきますね」

 ベルマリーの言葉に、ハッと気がついた。
 宰相人事の件……タジェロン様は私が当日その場で知るのは余りにも酷だからと考えて教えてくれたのかと思ったけれど、やはり違うのでは。
 殿下の視察に毎回同行なさっていたタジェロン様だもの、不正の件で私へ暗に何かを伝えたかったのかもしれない。 

 手紙を書こう、タジェロン様に。
 アールガード領で調べていた事と父との関係について、真実を教えてほしいと。
 急いで手紙を書いて、タジェロン様の元へ向かうベルマリーに託す。

 次の日、タジェロン様から私の手紙の内容に対する返事は無かった。
 ただ、熱が出たと思われた日から丸五日が経過したため、翌日からであれば殿下と会っても大丈夫だとベルマリー経由でタジェロン様の伝言を受けとる。

 タジェロン様に手紙を書いてから二日後、宰相会議の前日。
 殿下と久しぶりに一緒の朝食をとる。
 朝食後は手をつないで庭園を散歩した。

 散歩をしながら、会えなかった間に刺繍が上達したと思いますよ、と殿下に報告する。
 こんな風に何でもない会話が、すごく嬉しい。
 殿下との幸せな時間を噛みしめて過ごす。

 散歩を終えると殿下は執務へと向かった。
 おそらくマーコット様と会うために。

 その間に私はクッキーを焼く。
 甘党でクッキーが大好きなマーコット様に声をかけるきっかけにしたくて。

 プレゼント用に可愛いリボンをつけたクッキーの袋を片手に、寝室の出窓に飾られた観葉植物のすぐ横に空いている方の手をついて下を眺め、マーコット様が通るのを待つ。

 すると後ろの方でガチャリ、と寝室のドアの開く音が聞こえた。





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