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甘く淫らなラブロマンスの長編版(※短編の続きではありません)
私は会えないけれど
しおりを挟むベルマリーが朝食の用意をしてくれている。
夫婦の寝室のテーブルに。
私ひとり分の朝食。
昨晩、殿下は寝室に来なかったから。
結局下着は戻ってこなくて。
熱はなさそうですね、って湯浴みの時に言っていたベルマリーは私が下着をつけていなかった事、気がついているはずだけど。
その事については特に何も言われなかったので、少しホッとしている。
私の下着、殿下がまだ持っているのかしら……
捨てた? それとも洗った?
まさか殿下が自ら洗ってたりしないわよね。
そんな事されていたら、恥ずかしすぎる……
殿下、朝食はもう食べたかしら。
執務を始めた? それとも私がいなくても庭園を散歩している?
視察で遠くにいるわけでもないのに。
近くにいるのに会えないと、どう過ごされているのかすごく気になってしまう。
そして、今……
気になる事が、それだけじゃなくなってしまった。
寝室の出窓からすぐ下に見える、少し細い道。
この道は通常、城内の者しか使わない。
外部の者が通るとしたら、殿下か私と会う約束のある人だけ。
毎朝の散歩で庭園へ行く時にも通る道だから、殿下が通らないか眺めていたら。
たった今、サフィニア様とマーコット様の姿が見えた。
「サフィニア様とマーコット様……殿下に会いにいらしたのかしら」
気になって、つい言葉にしてしまう。
私が殿下と会えない間も、サフィニア様は会っているのかと思うと……。
「サフィニア様とマーコット様ですか……そういえば王都には、いつくらいまで滞在されるのでしょうね」
「タジェロン様なら、ご存知かしら……」
第一宰相の補佐として執務を行っているタジェロン様なら、城に出入りする者について把握しているはず。
「そうですね。明日、ミーネ様の体調についてタジェロン様に報告することになっていますから、その時に聞いてみますよ」
「ありがとう、ベルマリー」
知りたかったけど……
――もしかしたら、聞かない方がよかったのかもしれない。
ベルマリーがタジェロン様から聞いてきた話は、私にとってつらい内容だったから――
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