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甘く淫らなラブロマンスの長編版(※短編の続きではありません)

『今夜抱きたい』(ミーネ視点に戻ります)

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「ミーネ……」

 陰核をヌルヌル撫でられながら耳元で囁かれて。
 殿下の息が耳にかかり、身体がピクッと揺れてしまう。
 すると陰核を撫でていた指の動きが、止まった。

「……今夜抱きたい、だめ?」

 切なさを帯びたような、少し掠れた殿下の声。
 体だけの話だと分かっていても、私を求めてくれているのが、嬉しい。

「ダメ……じゃ、ないです……」

 肩をそっと抱かれ、ちゅ、と触れるだけのキスをされた。

「抱いている最中はこんな風に……いや、もっと激しく口づけを交わしたい。前にミーネは、キスは好きな相手とするものだと言っていただろう? 好きな相手とじゃないけど、いい?」

 コクンと頷く。

 身体をつなげる行為の流れで殿下がしたいと思うなら……
 好きな相手……サフィニア様の代わりに私を抱いてキスしてくれて構わない。

 そんな考えが浮かんでしまうくらい今の私は心も身体も、殿下を求めて疼いていた。
 殿下の上着の袖を、キュッと掴んで顔を見上げる。

「殿下……」
「挿れるまで、するよ。今夜は、最後まで」
「っ!」

 肉食獣のようにギラリとした殿下の瞳に見つめられて。
 捕らえられた獲物のように、動く事ができない。

「いい?」
「は、い……」

 声が震えてしまった。
 最後までするのは破瓜の時以来だから、正直なところ少し怖い気持ちも、ある。
 だけど、殿下になら……

「今夜も、今みたいにこんな感じで濡れてくれるといいけど」
「ャ……ッ」

 まるで私に見せつけるように、脚の付け根で動かしていた手を顔の前で開いた殿下。
 その指先はてらてら濡れて光り、指の間では何かがトロリとした糸をひいている。

 ぁ……!

 私の身体から出た恥ずかしい液だと気づき、途端にカーッと顔が熱くなった。

 ゃだ、あんなに、濡れて……
 信じられない、恥ずかしい……っ。

 これ以上無いくらい恥ずかしくて、信じられない光景だったのに。

「ぁッ、ダメっ」

 それを超える衝撃的な行為を殿下がなさったから、思わず大きな声を上げてしまった。

 ぺロ……とご自分の指を舐め始めた殿下。
 甘い水飴でも舐めているのかと錯覚してしまうような表情で。
 赤い舌を指に這わせ、美味しそうに舐めている。

 ねっとりと指を舐め上げる殿下の舌の動きから、目を離すことができなくて。
 脚の付け根あたりが、なぜかムズムズしてしまう。
 膝を擦りあわせてムズムズした感覚を逃したいけれど、椅子に縛られたままだからできない。
 それでも、脚を動かそうと身体をもぞもぞさせてしまう。

 全ての指を舐め終えた殿下が、フッと蠱惑的な笑みを浮かべた。

「そろそろタジェロンが帰ってくるかもしれない。続きは今夜だな」

 足首を拘束していた靴下が解かれた。
 身体をふわりと包まれたかと思ったら、殿下のいる方に向きを変えられて。
 椅子に座る私のすぐ前で殿下が跪いている。
 殿下は貴重な品でも扱うように私の左足をそっと手に取ると、つま先に唇で触れた。

 殿下にキスされたつま先から全身へ熱が流れ込んでくる。
 顔が噴火しそうなくらい熱い。

「履かせるから、この位置で保っておいて」

 つま先に、靴下が触れた。

「っ、殿下、ぁの、自分で……」
「履かせたいんだ」

 ただ、靴下を履くという行為をしているだけなのに。
 殿下にしてもらっている光景は、なぜか淫らに感じられて。
 しかも下着はまだつけていないのに。
 殿下は、ガーターベルトまで留めてくれた。
 恥ずかしすぎて、顔から火を噴きそう。いいえ自分では気づいていないだけで、既に火を噴いているかもしれない。

 靴も殿下が履かせてくれて後は下着を返してもらうだけ、となったところで扉がノックされた。





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