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甘く淫らなラブロマンスの長編版(※短編の続きではありません)

確かめずにはいられない(ラッドレン視点)

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 タジェロンとは、何も無い……よな?

 心の隅に生じてしまった小さな不安。
 それを必死に隠し平静を装って、ミーネに話しかける。

「直してあげよう、じっとして」
「ぁ、大丈夫です殿下、自分で」

 イヤリングへ手を伸ばしたら、拒絶するようにミーネの手で払われた。
 その拍子にテーブルの下へと落ちて見えなくなってしまったイヤリングは、まるでミーネの俺に対する気持ちのように思えてしまう。
 すぐに机の下を覗き込み、その行方を追った。

「ぁ、あったよ。思ったよりも奥の方まで転がってしまっている」

 イヤリングを拾うためテーブルの下へと潜り込む。
 赤い小さな飾りのついたイヤリングを拾うのと同時に、応接室の扉の開く音が聞こえた。
 
「ミーネ嬢……殿下はどちらへ?」

 俺が潜り込んだ机には足元までしっかり隠れる長めのテーブルクロスがかかっていて、タジェロンからは俺の姿が見えないのかもしれない。

 机の下から出ようとして、ふと思った。

 ミーネはタジェロンの事を、どう思っているのだろう。
 ベルマリーも一緒にいたとはいえ、俺がいない間に会いたいと思う相手。

 好きな男だったり……するのだろうか。
 ミーネが好きなのはネイブルではなく、タジェロン?

 聞くことはできない、だが。
 好きな男と過ごしていたら、何かしら無意識に身体的反応が生じるはず。
 体は嘘をつけないから。

「殿下なら、」

 椅子に座るミーネのドレスの裾から手を差し込み、プツン、とガーターベルトの留め具を外した。

「……落とした物があって、取りに行ってくると」

 靴と靴下を脱がす。
 そして脱がせた靴下で、ミーネの足首と椅子の前脚を左右それぞれ縛って固定した。

「閉じない方が、いいですよね?」
「ぇ、なぜ!?」
「二人きりですから。殿下が戻られるまで、ドアは開けたままにしておきましょう」
「ぁ、ドア……そう、ですね……ひゃっ」

 ドアを閉じないで開けたままにしようというタジェロンの提案に、疑問を呈したあと少し残念そうな声を上げたミーネ。
 本当は扉を閉めて、誰からも見られないようにしてタジェロンと過ごしたかったのか。

 好き、なのかミーネ。タジェロンの事が。

 その答えを体で確かめるため再びドレスの裾から手を差し込み、ミーネの腰の両サイドで結ばれているショーツの紐を解いた。
 そのままスルリとミーネの身体から引き抜いたショーツを、上着の内ポケットに入れる。

 ドレスの裾を捲って、ミーネの膝の上にのせた。
 椅子が大きいから、足首を縛られているミーネは膝を閉じる事ができない。
 俺のところから、ミーネの脚の付け根が見える。
 そしてそこは、本当に微かにだけどうっすらと濡れていた。

 タジェロンとミーネは他愛もない話をしている。
 ただ、それだけなのに。
 ミーネのソコは、こぽりと蜜を垂らし始めた。

「ミーネ嬢?」
「……は、い……?」
「顔が赤いですよ。熱があるのかもしれませんね」

 頬を染めているのか、ミーネ。
 好きな男にだけ見せる、艶っぽい女の表情をしているのだろうか。

「そ、そうですね、少し熱っぽいかもしれません。立ち上がるのもつらくて。ダジェロン様、申し訳ありませんがベルマリーを呼んできていただいてもよろしいでしょうか。厨房で作業をしていると思いますので」
「わかりました、なるべく早く戻るようにします」

 タジェロンが部屋を出ていったのが分かり、俺も机の下から出て椅子に座った。
 ハンカチを取り出してイヤリングを拭いてから、ミーネの耳につけようと顔を近づける。
 それだけで、ドキドキしてしまった。
 
 俺はこんなにミーネの事が好きなのに。
 ミーネは、タジェロンの事が好きなのだろうか。
 他愛もない話をしているだけで頬を染め、昂って濡れてしまうほど。

「ふっ……ァんっ」

 イヤリングをつけ終えた手を下へと伸ばし、ミーネの脚の付け根に触れた。
 その瞬間、くちゅッと聞こえてきた粘性のある水音。

「ゃ、」
「濡れてるよミーネ、どうしてかな? ここには全く触れていなかったのに」

 俺の指摘に怯えるように、ミーネの肩がピクッと震えた。

「好きな男の前で、下着をつけない淫らな格好をさせられて興奮したのか?」

 ミーネの頬が、一段と赤くなる。
 図星だった、ということだろうか。
 好きな男の前で……タジェロンの前で淫らな格好をさせられて興奮したのか、ミーネ。

「こんなに頬を染めて……好きな男に見つめられているだけで赤くなり濡れてしまうのか、ミーネは」

 何も答えられず、ミーネは真っ赤になっている。
 そして赤くなった顔を俯かせると唇を噛んだ。

 タジェロンを想っての反応だと思うと、仄暗い感情が自分の中に生じてしまって。
 ミーネの心が誰にあっても、身体に触れる事ができるのは俺だけだと、妙な対抗心が芽生えてしまう。

「唇を噛んではダメだよ、ミーネ」
「ん、はぅッん」
 
 ミーネの脚の付け根で指を動かし、濡れそぼった陰核をヌルリと撫でた。





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