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甘く淫らなラブロマンスの長編版(※短編の続きではありません)

惚れた弱みかもしれない

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 ソファに座るタジェロン様と他愛もない話をしながら、執務室で殿下を待っている。
 時計をチラリと見た。
 話し始めてから時間はまだほんの少ししか経っていない。

 でも私には、とても長く、本当に長く感じられた。
 今の自分の状況が、すごく、落ち着かなくて。

 会議用の大きな椅子の前脚に、足首を左右それぞれ縛られていて脚が閉じられない。
 しかもショーツを脱がされ穿いていない無防備な状態なのに。
 ドレスを捲られて、裾の部分が膝にのせられているような気がする。

 下着を脱がされた後、殿下が私の体に触れてくることは無かったけれど。
 もしかしたら今こうして話している間も、晒された恥ずかしい場所を殿下に見られているかもしれない。
 そう考えただけで、自分でも不思議なくらい下腹部がジュクジュク疼いてしまって。

「ミーネ嬢?」
「……は、い……?」
「顔が赤いですよ。熱があるのかもしれませんね」

 救いの糸が、垂らされたような気がした。
 つい、早口になってしまう。

「そ、そうですね、少し熱っぽいかもしれません。立ち上がるのもつらくて。ダジェロン様、申し訳ありませんがベルマリーを呼んできていただいてもよろしいでしょうか。厨房で作業をしていると思いますので」
「わかりました、なるべく早く戻るようにします」

 タジェロン様が部屋から出ていくのを見届けて、ふーッと大きくため息をついた。

「殿下」

 いつもよりも低い声で呼ぶ。
 怒っているのですよ、と意思表示をするために。

 テーブルの下から出てきて、私のすぐ隣の椅子に座った殿下。
 ご自分のハンカチを出してイヤリングを拭いてから、まだ脚を拘束されたまま座っている私の耳につけてくれた。

 淫らな悪戯をした殿下の事を怒っているはずだったのに。
 イヤリングをつけるために殿下の顔が近づいてきただけでキュンとときめいてしまうなんて。
 惚れた弱みって、こういう事なのかもしれない。

「ふっ……ァんっ」

 イヤリングをつけ終えた殿下の手が下へと伸びて、私の太腿を撫でたと思ったら脚の付け根に触れた。
 その瞬間、くちゅッと聞こえてきた粘性のある水音。

「ゃ、」
「濡れてるよミーネ、どうしてかな? ここには全く触れていなかったのに」

 イヤリングへ顔を近づけた殿下に少し掠れた声で囁かれ、肩がピクッと震えてしまった。
 殿下の息が耳にかかって、くすぐったい。

「好きな男の前で、下着をつけない淫らな格好をさせられて興奮したのか?」

 からかうように言われ、カーッと顔が熱くなった。
 好きな男の前で……殿下の前で淫らな格好をさせられて興奮したのか、なんて聞かれたから。
 触られてもいないのに脚の付け根を濡らしてしまっている自分が、ひどく恥ずかしくて。

 殿下の事が好きだという私の気持ちは聞きたくないって、前におっしゃっていた殿下。 
 好きだと伝える事は許してくれないのに。
 体だけの関係だと言った私を罰するように、殿下への想いを確認してくるなんて酷いと思う。
 酷い……のに、嫌いになれない。

 私の顔を覗き込むようにしてきた殿下と、目が合った。
 殿下が、目を細めて少し意地悪な笑みを浮かべる。

「こんなに頬を染めて……好きな男に見つめられているだけで赤くなり濡れてしまうのか、ミーネは」

 何も答えられず、真っ赤になっているであろう顔を俯かせて唇を噛む。

「唇を噛んではダメだよ、ミーネ」
「ん、はぅッん」
 
 陰核をヌルリと撫でられ、思わず背中を反らしてしまった。
 唇を噛むどころじゃない。
 殿下の湿った指が陰核の上で滑るようにくりゅくりゅと小さく円を描くから。
 空気を求めるように、口をハクハクさせて喘いでしまう。





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