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甘く淫らなラブロマンスの長編版(※短編の続きではありません)

二回目のキス(ラッドレン視点)

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 ミーネの唇はとても柔らかいし。
 時々聞こえてくる鼻から抜けるような微かな声も可愛くて。
 ずっと、こうしていたい。
 このまま時が止まってしまえばいいのに。

「ん……」

 あぁ、やっぱり可愛い。
 知らなかった、キスの時ミーネがこんなに甘い声で啼くなんて。
 初めてのキスは、ほんの一瞬だったから。

 ミーネと唇を重ねたのは、これで二回目。
 初めてのキスは、結婚式の時だった。
 それ以来の口づけになる。

 真っ白なウェディングドレスを身に纏ったミーネは眩いばかりに輝いていて。
 本当は目を逸らさずにずっと見つめていたかったけれど、そうするには眩しすぎた。

 公式行事で人前に出るのは慣れているはずなのに。
 誓いのキスの時には緊張しすぎて、ミーネの目の前で失敗しないように必死だった俺。

 向かい合わせに立つミーネの肩にそっと触れ、唇同士が一瞬だけ軽く触れるキスをした。
 一瞬で止めないと人前にもかかわらず永遠に終わらないくらいミーネの唇を貪ってしまいそうだったから、ほんの一瞬だけ。

「……ん……ふ、ム……」

 ミーネの声が可愛くて、脳が甘く蕩けそう。
 やはり結婚式の時は一瞬で止めておいてよかった。

 お互いの唇が触れてから、どのくらい時間が過ぎているか分からないけれど。
 離れたくないし離したくない。

「んンぅ……ッ」

 ん、ミーネの声、少し苦しそう?
 ごめん、あと、もう少しだけ……

 ミーネの髪の根元へ指を差し込み動きを封じて、唇の感触を味わう。

 ――舌を入れたら、ミーネは嫌がるだろうか。

 舌を入れて、ミーネの舌に絡めて、貪りたい。
 入れたい、でも、嫌われたくない。
 ミーネは俺とのキス、どう思っている……?

 一度ミーネの反応を知りたくて、ゆっくりと唇を離す。

 その瞬間、ぷはッと大きく息をしたミーネ。
 もしかして、息を止めていたのだろうか。
 キスに慣れていない様子が、妙に嬉しい。
 俺と同じようにミーネにとっても人生で二回目のキスだといいけど。
 違ったら怖いから、それは聞けない。

 ミーネの右頬をスルリと撫でた。
 もう一度……キス、してもいいだろうか。

 そう思ってミーネの目を見たら。
 なんだか瞳が潤んでいるような気がした。
 もしかして、ミーネ、泣きそう?


「ミーネ……」


 俺が名を呼んだら、ミーネは拒絶するように俺へ背を向けた。


「殿下……」
「ん?」
「口づけは、好きな相手とするものです」


 ガンッ、と硬い石で殴られたかと思った。
 それくらい、心が痛くて。


「好きな……相手と……?」
「はい、そうです」


 好きでもない俺とは、したくない、と。


「そうか、わかった……」
「ぇ……?」


 ベッドで腹ばいになっているミーネに手を伸ばす。
 スカーフでミーネの目を覆い、耳元で囁いた。


「顔が見えなければ、好きな相手としていると想像できるだろう?」


 愚かな事をしていると自覚はある。
 でもミーネに触れる事ができないと、勝負の場にも立てない。
 ミーネにとって俺は、まだ体だけの存在だから。





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