42 / 98
甘く淫らなラブロマンスの長編版(※短編の続きではありません)
二回目のキス(ラッドレン視点)
しおりを挟むミーネの唇はとても柔らかいし。
時々聞こえてくる鼻から抜けるような微かな声も可愛くて。
ずっと、こうしていたい。
このまま時が止まってしまえばいいのに。
「ん……」
あぁ、やっぱり可愛い。
知らなかった、キスの時ミーネがこんなに甘い声で啼くなんて。
初めてのキスは、ほんの一瞬だったから。
ミーネと唇を重ねたのは、これで二回目。
初めてのキスは、結婚式の時だった。
それ以来の口づけになる。
真っ白なウェディングドレスを身に纏ったミーネは眩いばかりに輝いていて。
本当は目を逸らさずにずっと見つめていたかったけれど、そうするには眩しすぎた。
公式行事で人前に出るのは慣れているはずなのに。
誓いのキスの時には緊張しすぎて、ミーネの目の前で失敗しないように必死だった俺。
向かい合わせに立つミーネの肩にそっと触れ、唇同士が一瞬だけ軽く触れるキスをした。
一瞬で止めないと人前にもかかわらず永遠に終わらないくらいミーネの唇を貪ってしまいそうだったから、ほんの一瞬だけ。
「……ん……ふ、ム……」
ミーネの声が可愛くて、脳が甘く蕩けそう。
やはり結婚式の時は一瞬で止めておいてよかった。
お互いの唇が触れてから、どのくらい時間が過ぎているか分からないけれど。
離れたくないし離したくない。
「んンぅ……ッ」
ん、ミーネの声、少し苦しそう?
ごめん、あと、もう少しだけ……
ミーネの髪の根元へ指を差し込み動きを封じて、唇の感触を味わう。
――舌を入れたら、ミーネは嫌がるだろうか。
舌を入れて、ミーネの舌に絡めて、貪りたい。
入れたい、でも、嫌われたくない。
ミーネは俺とのキス、どう思っている……?
一度ミーネの反応を知りたくて、ゆっくりと唇を離す。
その瞬間、ぷはッと大きく息をしたミーネ。
もしかして、息を止めていたのだろうか。
キスに慣れていない様子が、妙に嬉しい。
俺と同じようにミーネにとっても人生で二回目のキスだといいけど。
違ったら怖いから、それは聞けない。
ミーネの右頬をスルリと撫でた。
もう一度……キス、してもいいだろうか。
そう思ってミーネの目を見たら。
なんだか瞳が潤んでいるような気がした。
もしかして、ミーネ、泣きそう?
「ミーネ……」
俺が名を呼んだら、ミーネは拒絶するように俺へ背を向けた。
「殿下……」
「ん?」
「口づけは、好きな相手とするものです」
ガンッ、と硬い石で殴られたかと思った。
それくらい、心が痛くて。
「好きな……相手と……?」
「はい、そうです」
好きでもない俺とは、したくない、と。
「そうか、わかった……」
「ぇ……?」
ベッドで腹ばいになっているミーネに手を伸ばす。
スカーフでミーネの目を覆い、耳元で囁いた。
「顔が見えなければ、好きな相手としていると想像できるだろう?」
愚かな事をしていると自覚はある。
でもミーネに触れる事ができないと、勝負の場にも立てない。
ミーネにとって俺は、まだ体だけの存在だから。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
7,347
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる