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甘く淫らなラブロマンスの長編版(※短編の続きではありません)
体だけ(ラッドレン視点)
しおりを挟む鳥のさえずりが聞こえてくる。
カーテンが閉まっていても、隙間からの光で外が明るくなっているのが分かった。
俺に背を向けてスヤスヤと寝ているミーネ。
そっとうしろから抱きしめてみる。
ぅ、俺の心臓バクバクして、破裂しそう。
結婚してから一年、今まで一緒のベッドで朝を迎えた事さえ無かったのに。
ミーネが今、俺の腕の中で寝ている。
温かくて柔らかくていい匂いがして。
できる事ならずっとこうしていたい。
起きたら離れていってしまいそうだから、起こさないようになるべくじっとしていたけれど。
少しすると俺の腕の中でミーネがモゾモゾと動き始めた。
「おはよう、ミーネ」
「……ぉ……はよぅ、ござぃます……」
俺に背を向けたまま、戸惑い恥ずかしがっているようなミーネの声。
いつも朝食の席で交わす礼儀正しい挨拶の時とは違う。
ベッドで聞くミーネの声は、蕩けそうなほど甘く脳に響いてくる。
うしろから抱きしめているから、赤くなったミーネの耳がよく見えた。
寝起きのミーネは耳まで可愛いのか、食べてしまいたい。
「殿下……、あの、私……」
耳にかぶりついて舐めつくしたい衝動と闘っていたら、か細いミーネの声が聞こえた。
「身体がつらいか? 昨日は酷い事をして、すまなかった」
自分勝手なやきもちで、ミーネの純潔を無理やり奪って。
本当に、昨晩の俺を殴ってやりたい。
「いえ、大丈夫、です……。でも……昨日の夜、殿下に身体を解していただいた時の記憶が、途中から、無くて……」
昨日の夜、殿下に身体を――
その言葉を聞いて、ミーネの淫らな姿を思い出してしまった。
途端にズクンッ、と滾る俺の下半身。
自分の雄が暴走しないように、なるべくゆっくりと呼吸をする。
「……ああ、おそらく絶頂を迎えて意識を失ってしまったのだろう」
「あの……そ、の……殿下の、子種は、いただけたのでしょうか……」
「いや、ミーネが気を失った時点で止めたから、妊娠に至る行為はしていない」
意識のないミーネを揺さぶって欲をぶつけるわけにいかないから。
あのあと俺の欲望は、自分で処理して鎮めた。
「申し訳……ありません……」
「ミーネが謝る必要は無い。昨日の事は、何もかも俺が悪いのだから。ただ……」
「ただ……?」
好きな男とゆっくり会うため、やっぱり実家に帰りたいのか?
そのために好きでもない相手……俺と子をなす行為をしてまで。
ミーネにそこまで好かれている男はいったい誰なんだ?
ネイブル? タジェロン? マーコット?
それともまったく別の男?
誰なのか、知りたい、だけど知りたくない。
「……ミーネは、まだ妊娠したいと願っているのだろうか?」
「妊娠……したいです」
「そうか……」
ベッドで横向きに寝るミーネをうしろから抱きしめて。
ミーネの夜着についている肩と胸元のリボンをスルスルと解いていく。
「殿、下……?」
戸惑うようなミーネの声。
俺にこんな事されるなんて、嫌だよな。
ミーネは俺から子種だけ貰えればいいのだから。
だけど俺は、昨日みたいに酷い事をミーネにしたくない。
俺とは体だけの関係だとミーネが言うなら、今はそれでもいいから。
ミーネに体だけでも求めてもらえるように、たくさん気持ちよくしてあげたい。
リボンが解けてただの布になってしまったミーネの夜着の中へと手を差し込む。
怯えるようにミーネが息をのんだのが分かった。
――ごめん、ミーネ。どうか俺を受け入れて
ミーネの胸を、手のひらでそぉっと包み込む。
ダンスを踊る時、身体に少し触れるだけで俺をドキドキさせるミーネの胸。
服越しでさえ手で触ったことなんて無かったのに。
初めて触るミーネの胸はこの世の物とは思えない柔らかさだった。
軽く揉んでいるだけで、下半身がズクズク疼いてしまう。
「ゃ、殿下、恥ずかし、から……」
恥ずかしがる声が可愛すぎて、俺の中に少しだけ芽生えてしまった嗜虐心。
真っ赤になったミーネの耳に息を吹きかける。
びくんッと身体を震わせたミーネの耳元で囁いた。
「恥ずかしい姿を見られても、構わないだろ」
ミーネの胸の先端を指先で押しながらクニクニと揺らす。
「ぁ、ゃ、ぁ、ァンッ、」
先端が少し硬くなったところでピンと弾くと、ミーネの嬌声が一段と甘くなった。
胸を触っているのとは別の方の手を、ミーネの脚の付け根へスルリと滑らせる。
「ャ、殿、下っ!?」
昨日、下着だけ脱がせていたから、脚の付け根に潜り込ませた手が無防備なミーネの性器に直接触れた。
そこにある小さな突起を軽く押し、指でクルクルと小さな円を描く。
「んッ、ァァ、ゃ、ン……」
ミーネが俺の指で淫らに喘いでいる。
それが嬉しくてたまらない。
もっと虐めたら、どうなる?
「俺たちは、体だけの関係なんだから」
ミーネがそう望むなら、今は。
「恥ずかしいなんて、気にしなくていい」
ミーネの胸の先端と脚の付け根の小さな突起を、指の腹で優しく優しく擦る。
俺の太腿を片方、後ろからミーネの脚の間に入れて固定した。
ミーネが脚を閉じようともがいても、閉じることができないように。
「どうされたいか教えて、ミーネ」
俺の指で悶え、ビクビク身体を震わせるミーネ。
こうやって優しく何度も突起を撫でられると、気持ちいい?
どうしたらもっと俺に堕ちてきてくれる?
「どうして欲しい、ミーネ?」
「殿、下……二か所……ぃやぁ……」
「二か所だけじゃ、嫌?」
くぷ、と指を挿れた。
脚の付け根にある、ミーネの淫らな穴へ。
「ち、ァアッ、ん、ァぅ」
「よかった……ミーネのココ、昨日と違って、ヌルヌルしてる」
俺の指をすんなりと受け入れてくれた感じがして、嬉しい。
胸を弄りながら、脚の付け根の突起を親指で撫で、穴に挿れた指でナカからも陰核のあたりを擦ってみる。
ビクッとミーネの身体が跳ねた。
「ゃ、さんか、ひょ、だ、めッ」
「ダメ? 足りない? もっとして欲しい?」
つーッとミーネの背骨を舌でなぞる。
「ひぁッん!?」
そうしたら俺の手にぐちゅッと陰核をくっつけるようにしてミーネが弓なりに身体を反らした。
「俺の手に身体を押しつけてくるなんて。まるで誘ってくれているみたいだな、嬉しいよミーネ」
穴に挿れた指を動かすと、ミーネのアソコがぐちゅッぐちゅッと卑猥な音を立てて俺の指を咥えてくるから。
腹につきそうなくらいそそり立っている俺の陰茎を、指の代わりにソコへ沈めたい衝動に駆られてしまう。
「昨日みたいに無理やり挿れたくないから、ミーネ、まだ俺を煽らないで」
俺の昂りは今日は挿れない。その代わりに手、で。
「今日は時間をかけて、しよう。視察から早く帰ってきたおかげで時間はあるから」
昨日俺がしてしまった酷い行為の記憶を上書きできるようにたくさん、たくさん、ミーネを気持ちよくさせたい。
胸を弄っていた手も、脚の付け根へと移動させて。
陰核をクパァと開き、現れた花芯をクニュクニュ指で押し潰す。
濡れそぼった穴へ挿れていた俺の指が、痛いくらいに締めつけられた。
一段と甘い嬌声をあげ、ミーネの足がピンと伸びる。
痙攣したように身体が揺れたあと、フッと脱力したミーネ。
穴に挿れている俺の指をヒクヒク刺激してくるから、イッたのだと分かった。
子を授かるまでの間、こんな風に何度も何度も快楽を与えて、俺から離れられないようにしてしまいたい。
「たくさんしないと、な。ミーネは子を授かりたいのだろう?」
妊娠したいと望んでくれている間は、ミーネの身体に触れる事ができる。
ミーネの好きな相手に俺が勝てるとしたら、その事だけ。
俺の子を宿してまで、一緒にいたいとミーネが慕う男は誰か。
分かっていた方が、ミーネの好みに自分を近付けられるだろうか。
ミーネの好きな男。
知りたく無いけど――知りたい。
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