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甘く淫らなラブロマンスの長編版(※短編の続きではありません)

破瓜

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 ひゅッと思わず息を吞んでしまう。
 熱を持った硬い何かが、ピタ、と無防備な脚の付け根に当てられたから。

 当たっているのは、恐らく殿下、の……

「は、い……、体だけ、です、殿下……」

 束縛したりなんて、しません。
 殿下には、好きな女性と幸せになってほしいから。
 だから安心して、子をなすための行為をしてください。

「ひぁ!?」

 ガッ、と殿下の両手が私の腰を掴んだ。
 身体を固定されて、動けない。

 殿下の瞳の奥が、ギラリと熱く光ったような気がした。

「挿れるぞ」
「っ……」

 ぁ、ぅ……

 殿下、の、が、入って、きて、る……

 脚の付け根からズズズ……と、私の身体を無理矢理こじ開けるように殿下の、が……。

「ぃ……」

 痛い、と思わず口から零れてしまいそうだった。
 シーツを掴み唇を噛んで必死に声を抑える。

 我慢、しないと……。

 男性器を侵入させながら、殿下の上体がゆっくりと私の方へ覆い被さってきた。

 入ってくる殿下のモノと接した私の皮膚が、擦られながら身体の奥へと巻き込まれていく。

 少しずつ、少しずつ、身体のナカの皮膚を剥がされていくみたいに。


 ぃ、ぃ……
 痛い痛い痛い痛い痛い痛いっっ


 初めての時は痛みがあると聞いていたけれど、想像を遥かに超えている。


 もう、痛いしか出てこないぃ……


 ポロポロ涙が零れていくのを止められなくて。


 顔を見られないように、殿下の首に腕をまわしてギュッとしがみついた。


 殿下の動きは止まらず、ズッズズッ……とほんの少しずつ入ってくる。


「……くッ、ぅ……」


 どちらの声か分からない、苦痛を訴える呟き。
 ……いいえ、どちらか、ではないかも。
 ふたりの声が、重なっているような気がする。

 殿下も、痛くてつらいのかもしれない。
 ごめんなさい、私の勝手な考えに付き合わせてしまって。

 
 殿下の動きが、ようやくピタリと止まった。


 終わった、の……?


 ホッと息を吐いたら少しだけ気持ちが落ち着いて、殿下の首にまわしていた腕にいつの間にかじっとりと汗をかいていたことに気がついた。

 殿下にしがみついていた腕を緩めようとした、その時――

 っ!!
 え、何!?

 終わったと思っていた、のに、なぜかベッドと背中の間に腕を差し込まれ左肩をガシッと掴まれる。
 殿下のもう片方の手は、私の脚をさらに広げるようにして膝裏をガッチリと掴んでいて。

 ごめん、と小さく呟くと殿下はグンッと身体を私に押し込んだ。
 行き止まりだからもうこれ以上は、入らないと思っていた、奥に。

 ブヂッ、と何かが切れた様な感覚とともに今までで一番の激痛が走る。
 それとほぼ同時に、殿下と私の脚の付け根にあった隙間がピタリとくっついた。


 ハクハクと口を動かすけれど、まるで喉が詰まってしまったかのように上手く呼吸をすることができない。


 ――目尻から新たな涙が零れていくのが分かった。





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