上 下
9 / 98
ラブコメ短編バージョン(※長編版とは展開が異なります)

お仕置き

しおりを挟む


「ふぅ、なんだか熱いな」
「殿下!?」

 咄嗟に手で顔を覆ってしまった。
 殿下が急にシャツを脱ぎ始めたから。

「ああ、ダメだよミーネ。ちゃんと両手でクッションを掴んでいないと。今回は砂が落ちてもやり直しだ」

 そんな事を言われても……。
 日々の鍛錬で鍛え上げられた殿下の身体。
 上半身裸の殿下なんて眩しすぎて、直視することができません……。

「あれ? ミーネも熱い? 肌が赤いけど」

 顔を覆った手を殿下の手で外され、おでこ同士をコツンとくっつけられた。
 殿下の顔が近すぎて、思わず目を閉じてしまう。

「熱はなさそうか、よかった。部屋が暑いだけかもしれないな、この布をかけていると熱がこもりそうだから外すよ」
「えっ……」

 抵抗する間もなく、私の下半身にかかっていた布を殿下がベッドの下へ落としてしまった。
 殿下が寝室に来るまでは服としての役割を果たしていた布が、今はベッドの下。

 腰の横でリボンを結んだ下着もつけていたはずなのに、ほどけて一緒に落ちてしまったのかもしれない。
 私の下半身は何も身につけておらず、これ以上ない無防備な姿になっていた。

「砂、落ちたね」
 
 殿下の声に、砂時計の方を見る。
 砂時計の上半分が、空になっていた。

「本当に、するのですか、殿下……?」
「そうだよ、お仕置きだからね」

 何も身に着けていないから落ち着かなくて、膝をモジモジ擦りあわせてしまう。

「殿下に裸を見られて、恥ずかしいのですが……」
「嘘をついたら恥ずかしい思いをさせられると思えば、もう二度と嘘をつかないだろう?」

 殿下がクルッと砂時計をひっくり返した。
 またサラサラと砂が落ち始める。

「さ、手を上げて、ミーネ。もうやり直したくないだろう?」

 殿下の言葉にベッドで横になったまま、おずおずと両手で万歳をしてクッションを掴む。
 下半身の無防備な姿が心もとなくて、膝をきつく閉じたら殿下にガシッと両膝を掴まれた。

「殿、下っ!!」
「なにかな、ミーネ?」

 殿下、脚っ、脚を開かないでください!
 今、なにも身につけていないのですからっ!!

「あのっ、丸見え、ですっ!!」
「うん、よく見えるよ。ミーネの大事なところ。俺に見られて緊張しているのかな、ヒクヒク動いているのが、よくわかる」
「いゃあっ!」

 大事なところを隠そうと、慌ててクッションを離して股へと手を伸ばす。
 でも、大事なところに届く前に、ギュっと殿下に手を握られた。
 両手とも。
 殿下の指と私の指が絡められる。

 手をつなぐのは嬉しい、普段なら嬉しい、けど……。

 私と手をつないだまま、殿下は腕を使って器用に私の脚を内側からさらに押し広げた。

 恐ろしい事に、パカリと開かれた私の脚の付け根から、殿下の美しい金色の髪が見える。

「また、やり直し決定だよ、ミーネ」

 心なしか嬉しそうに呟く殿下の声が聞こえた。
 次の瞬間ジュッと音を立てて大事なところを吸われ、ビクッと大きく背中を反らしてしまう。

「で、んかっ……」
「へぇ、こうされるのが好きなんだ? いま吸ったところミーネは自分でよく見たことあるのかな、蕾みたいで可愛いらしいよ」
「ゃ、みないで、くださ、ぁあッ!?」

 殿下、舐めッ……!?

「ぁ、ンッ! ダメ、ン……汚い……」
「甘くて美味しいよ。いい匂いもする」
「うそ、ン、ぇ、なに、これ、ァア、ンッ」

 大事なところを、レロ……と舐められた。
 生温かくて、なんだかヌルっとした感触。
 何度も何度も殿下が舐めてくるから、身体の奥がゾクゾクしてしまう。

「ひぅぅ……、んンッ!?」

 また、吸っ、た……!?

「ぇ、ぅそッ!?」

 今度は身体のナカに、何かが入ってきた。
 得体の知れないゾワゾワする感覚が込み上げてくるのを堪えたくて、いつの間にか自由になっていた手でシーツをギュッと掴む。

「指一本でもキツイな。でも、こんなにヌルヌルしているからもう一本いっても大丈夫だろうか」
「ゆ、び……? ん、ぅ……ぅぅ……」

 脚の付け根のあたりで圧迫感。
 信じられないけれど、今の話だと、殿下の指が、私のナカに……。

 きつくて最初は少し痛いくらいだった。
 でも、大事なところにある蕾を殿下がたくさん舐めながら、くちゅくちゅ音を立てて指を動かす、から……

 不思議、頭の中が、蕩けてしまいそう……
 殿下の指が、浅いところを擦った時に私の身体がビクリと大きく跳ねた。

「ぁ、そ、こ、擦っ、ちゃ、ヤッ!」
「ここがいいのか、ミーネ?」

 ヤダって、言ってるのにぃ……
 殿下の指が身体のナカで動くたびに、なぜか、身体が、ビクビク、震えて。

 くちゅ、ちゅぶ、と水音が聞こえてくる。
 なんだかひどく官能的な音に聞こえてしまう。
 水音が聞こえるあたりで、ジュワッと何かが溢れたような気がした。

「っ、ァ、な、んか、ィヤ、も、ぃゃあッ」

 殿下の指も舌も、私を刺激するのをやめてくれなくて。
 気持ちよくて、気持ちよすぎて、つらい。

「ぁあッんッ、んンッ、ぁああッ……!」

 ググッと全身に力が入ったと思ったら、身体がビクンビクンと震え始めた。
 まるで痙攣したかのように、身体が揺れてしまう。
 その波が過ぎると、途端に身体から力が抜けた。

 ハッ、ハッ、と自分の荒い呼吸音が聞こえる。
 あまり上手に息ができていないことに気がついた。


「次は離さずにいられるかな、ミーネ?」

 殿下の声に、ぼんやりとした頭を動かし砂時計の方を見る。
 砂の落ちきった砂時計が反転し、また砂を落とし始めるところだった。

 たぶん、無理です、殿下……。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

大嫌いな次期騎士団長に嫁いだら、激しすぎる初夜が待っていました

扇 レンナ
恋愛
旧題:宿敵だと思っていた男に溺愛されて、毎日のように求められているんですが!? *こちらは【明石 唯加】名義のアカウントで掲載していたものです。書籍化にあたり、こちらに転載しております。また、こちらのアカウントに転載することに関しては担当編集さまから許可をいただいておりますので、問題ありません。 ―― ウィテカー王国の西の辺境を守る二つの伯爵家、コナハン家とフォレスター家は長年に渡りいがみ合ってきた。 そんな現状に焦りを抱いた王家は、二つの伯爵家に和解を求め、王命での結婚を命じる。 その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。 結婚相手はコナハン家の長男シリル。クールに見える外見と辺境騎士団の次期団長という肩書きから女性人気がとても高い男性。 が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。 彼はクールなのではなく、大層傲慢なだけ。それを知っているからだ。 しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。 どうせ愛し愛されるような素敵な関係にはなれるわけがない。 そう考えるメアリーを他所に、シリルは初夜からメアリーを強く求めてくる。 ――もしかして、これは嫌がらせ? メアリーはシリルの態度をそう受け取り、頑なに彼を拒絶しようとするが――……。 「誰がお前に嫌がらせなんかするかよ」 どうやら、彼には全く別の思惑があるらしく……? *WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。

悪役令嬢は王太子の妻~毎日溺愛と狂愛の狭間で~

一ノ瀬 彩音
恋愛
悪役令嬢は王太子の妻になると毎日溺愛と狂愛を捧げられ、 快楽漬けの日々を過ごすことになる! そしてその快感が忘れられなくなった彼女は自ら夫を求めるようになり……!? ※この物語はフィクションです。 R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。

【R18】お飾りの妻だったのに、冷徹な辺境伯のアレをギンギンに勃たせたところ溺愛妻になりました

季邑 えり
恋愛
「勃った……!」幼い頃に呪われ勃起不全だったルドヴィークは、お飾りの妻を娶った初夜に初めて昂りを覚える。だが、隣で眠る彼女には「君を愛することはない」と言い放ったばかりだった。 『魅惑の子爵令嬢』として多くの男性を手玉にとっているとの噂を聞き、彼女であれば勃起不全でも何とかなると思われ結婚を仕組まれた。  淫らな女性であれば、お飾りにして放置すればいいと思っていたのに、まさか本当に勃起するとは思わずルドヴィークは焦りに焦ってしまう。  翌朝、土下座をして発言を撤回し、素直にお願いを口にするけれど……?  冷徹と噂され、女嫌いで有名な辺境伯、ルドヴィーク・バルシュ(29)×魅惑の子爵令嬢(?)のアリーチェ・ベルカ(18)  二人のとんでもない誤解が生みだすハッピ―エンドの強火ラブ・コメディ! *2024年3月4日HOT女性向けランキング1位になりました!ありがとうございます!

悪役令嬢なのに王子の慰み者になってしまい、断罪が行われません

青の雀
恋愛
公爵令嬢エリーゼは、王立学園の3年生、あるとき不注意からか階段から転落してしまい、前世やりこんでいた乙女ゲームの中に転生してしまったことに気づく でも、実際はヒロインから突き落とされてしまったのだ。その現場をたまたま見ていた婚約者の王子から溺愛されるようになり、ついにはカラダの関係にまで発展してしまう この乙女ゲームは、悪役令嬢はバッドエンドの道しかなく、最後は必ずギロチンで絶命するのだが、王子様の慰み者になってから、どんどんストーリーが変わっていくのは、いいことなはずなのに、エリーゼは、いつか処刑される運命だと諦めて……、その表情が王子の心を煽り、王子はますますエリーゼに執着して、溺愛していく そしてなぜかヒロインも姿を消していく ほとんどエッチシーンばかりになるかも?

ハズレ令嬢の私を腹黒貴公子が毎夜求めて離さない

扇 レンナ
恋愛
旧題:買われた娘は毎晩飛ぶほど愛されています!? セレニアは由緒あるライアンズ侯爵家の次女。 姉アビゲイルは才色兼備と称され、周囲からの期待を一身に受けてきたものの、セレニアは実の両親からも放置気味。将来に期待されることなどなかった。 だが、そんな日々が変わったのは父親が投資詐欺に引っ掛かり多額の借金を作ってきたことがきっかけだった。 ――このままでは、アビゲイルの将来が危うい。 そう思った父はセレニアに「成金男爵家に嫁いで来い」と命じた。曰く、相手の男爵家は爵位が上の貴族とのつながりを求めていると。コネをつなぐ代わりに借金を肩代わりしてもらうと。 その結果、セレニアは新進気鋭の男爵家メイウェザー家の若き当主ジュードと結婚することになる。 ジュードは一代で巨大な富を築き爵位を買った男性。セレニアは彼を仕事人間だとイメージしたものの、実際のジュードはほんわかとした真逆のタイプ。しかし、彼が求めているのは所詮コネ。 そう決めつけ、セレニアはジュードとかかわる際は一線を引こうとしていたのだが、彼はセレニアを強く求め毎日のように抱いてくる。 しかも、彼との行為はいつも一度では済まず、セレニアは毎晩のように意識が飛ぶほど愛されてしまって――……!? おっとりとした絶倫実業家と見放されてきた令嬢の新婚ラブ! ◇hotランキング 3位ありがとうございます! ―― ◇掲載先→アルファポリス(先行公開)、ムーンライトノベルズ

【R18】利害一致のお飾り婚だったので初夜をすっぽかしたら大変なことになった

春瀬湖子
恋愛
絵に描いたような美形一家の三女として生まれたリネアだったが、残念ながらちょっと地味。 本人としては何も気にしていないものの、美しすぎる姉弟が目立ちすぎていたせいで地味なリネアにも結婚の申込みが殺到……したと思いきや会えばお断りの嵐。 「もう誰でもいいから貰ってよぉ~!!」 なんてやさぐれていたある日、彼女のもとへ届いたのは幼い頃少しだけ遊んだことのあるロベルトからの結婚申込み!? 本当の私を知っているのに申込むならお飾りの政略結婚だわ! なんて思い込み初夜をすっぽかしたヒロインと、初恋をやっと実らせたつもりでいたのにすっぽかされたヒーローの溺愛がはじまって欲しいラブコメです。 【2023.11.28追記】 その後の二人のちょっとしたSSを番外編として追加しました! ※他サイトにも投稿しております。

【R18】寡黙で大人しいと思っていた夫の本性は獣

おうぎまちこ(あきたこまち)
恋愛
 侯爵令嬢セイラの家が借金でいよいよ没落しかけた時、支援してくれたのは学生時代に好きだった寡黙で理知的な青年エドガーだった。いまや国の経済界をゆるがすほどの大富豪になっていたエドガーの見返りは、セイラとの結婚。  だけど、周囲からは爵位目当てだと言われ、それを裏付けるかのように夜の営みも淡白なものだった。しかも、彼の秘書のサラからは、エドガーと身体の関係があると告げられる。  二度目の結婚記念日、ついに業を煮やしたセイラはエドガーに離縁したいと言い放ち――?   ※ムーンライト様で、日間総合1位、週間総合1位、月間短編1位をいただいた作品になります。

処理中です...