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ぷぷ、かっわいそー(義姉ジェルシーラ・フテイシ視点)
しおりを挟むあー、つまんない。
夫となったマクリは「領内の視察に行ってくるよ」と言って今日も出かけてしまった。
前はほとんど出かける事なんて無かったのに。
メスフィルールがいなくなって、領地の仕事をするようになったからかしら。
妊娠する前は私もよく出かけていた。
夜会へ着飾っていくと周りから褒められて楽しいのよね。
あーあ、せっかく新しいドレスとアクセサリーを買ったのに、妊娠してダンスが踊れないから夜会にも行けないし誰にも自慢できないわ。
あ、そうだ。
メスフィルールに見せに行こう。
それに冷酷無慈悲だと噂の公爵へ嫁いだあの子が、悲嘆にくれている姿を見るのも悪くない。
「フテイシ伯爵令嬢様がいらっしゃるとは聞いておりませんが」
アヴァンタント公爵家を訪れたら、門の所で執事長とやらにそう告げられた。
公爵家に嫁いだメスフィルールの実家からわざわざ義姉の私が訪ねてきてやったのに。
「メスフィルール様がスラッジマン侯爵家の養女となった際に、フテイシ伯爵家とのつながりは無くなったと聞いております」
あー、なんかその話、お母様から聞いたわ。
なんでもアヴァンタント公爵と結婚するために、スラッジマン侯爵家の養女になる必要があったって。
この国の法律上、実家との縁が切れるらしいのよね。
ぷぷ、かっわいそー。
結婚したら本当の家族に会うのも止められるなんて。
ま、家の縁はもう切れているらしいけど、そんなの私には関係ないわ。
「いいからメスフィルールに言いなさいよ。お姉様が会いに来たって」
執事長とやらは屋敷の中へ入ると、しばらくしてから戻ってきた。
「フテイシ伯爵領の状況をメスフィルール様が気にされておりました。旦那様から奥様の願いはすべて叶えるように言われておりますため、その件でお話しいただけるのであればお入りください」
ふーん、願いは叶えるといっても、執事に任せっきりで当の本人は新婚早々妻を屋敷に放っておいているのね。
今ごろ外で浮気でもしてたりして。
ぷぷぷぷ、かっわいそー。
「引き継ぎの時にお願いした騎士団への派遣依頼の更新は済んでいますか? その依頼は魔獣が出てもすぐ対応していただけるものなので、必ずしていただきたいのですが」
「んー、してるんじゃないの。私は知らないわ」
質の良さそうな調度品が飾られている広い応接間に現れたメスフィルールは、上質なレースと宝石が美しいドレスを纏っていた。
メスフィルールのくせに生意気だわ……と思ったけれどすぐに気が付いた。
うっわ、すっごい痣。首にも、胸元にも。
フテイシ伯爵家にいた頃は無かった赤い痣がたくさんある。
きっとアヴァンタント公爵に虐待されているんだわ……。
私より身分の高い公爵夫人になんてなるからよ。
ふふふ、いい気味。
夫に打たれるなんて、私なら耐えられない。
チラ、とメスフィルールが私のドレスへ視線を向けた。
ぁ、わかっちゃったー?
このドレスが新しいこと。
「メスフィルールが養女になった時、スラッジマン侯爵家から支度金をもらったでしょう? それでドレスを新調したのよ。あと見て、このアクセサリーも。素敵でしょう?」
「支度金は騎士団の派遣を依頼する費用にあてて欲しいと言ったはずだけど……」
メスフィルールが眉を寄せている。
伯爵家にいたころ自分は何も買ってもらえなかったからって、ひがまないで欲しいわ。
「大丈夫よ。お母様がお父様に言って、メイドを全員解雇したの。そのぶん男性の使用人を雇ったけど、人数が少ないから費用は少し浮いたわ」
「メイドを全員解雇? なぜ……」
なぜって……ああ、メスフィルールは知らなかったのか。おめでたい人。
「お父様ねぇ、メイドたちと浮気してたのよ。サイテーよね、同じ屋敷の中で不貞行為をするなんて」
メスフィルールが驚いたように目を見開いている。
ああ、もしかして私とマクリはどうなのよって思っていたりするのかしら。
私たちの関係はまだメスフィルールとマクリが婚約中の話だもの、結婚前だから問題ないわよ。
それにしても、お母様怒っていたわぁ。
メイドたちから聴取した浮気の話をお父様につきつけて。
お父様も素直に認めればいいのに、書斎での件は知らない、と最後まで言っていた。
バレた回数が減ったって不貞しまくりだった事実は変わらないんだから、悪あがきしても仕方ないと思うけど。
でもよく書斎なんかでスる気になるわね。
本に囲まれているだけで頭が痛くなりそうで、私は嫌だわ。
しかもメイドの事を『メス豚』って呼んでいたとか。親の性癖なんて知りたくなかった。
私はお姫様扱いされないと無理だから、『メス豚』なんて呼ばれたら相手を殴っちゃうかも。
そのへんの相性はマクリとはバッチリで良かったわ。
お互いの性癖が合わないと、夫婦生活って大変よねー。
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柚木ゆず様
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お気に入りと言っていただけて嬉しい♪
ふたりが幸せになれるかどうか、このあとの展開を見守ってくださいませ♪♪
子種はよく飛ぶのだな、、、
うん
飛びましたね( ꒪⌓꒪)
なんか、微笑ましいです。
童貞おじさま。
🌷︎様
感想ありがとうございます!
そうなんです、よく飛びました~☆彡
童貞おじさまの微笑ましいお話に、引き続きお付き合いいただけますと幸いです♪