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しおりを挟む銀の魔王城に戻られたゾマ様ご一家は、その後もたびたび家族みんなでヴェルク様のお城に遊びにいらっしゃるようになった。
会うたびに繰り広げられるゾマ様のサティ様に対するツンな溺愛ぶりが可愛らしくて、それを拝見するのが秘かな楽しみになっている。
私はサティ様たちに会えて嬉しかったけれど、ヴェルク様はそうでもないようで。
今日のように、サティ様たちを応接間に待たせたまま、なかなか自分の部屋から出ようとしない。
「……リリィ……」
「ぁ、ヴェル、ク、様……」
ヴェルク様のシャツを着た私の身体を後ろから抱きしめ、大きな手の平でサラリと私の太腿を撫でるヴェルク様。
ダメ、です……。
シャツ1枚しか、着てないんですから……。
「サティ、さま、がぁ……」
「まだ、いいだろう。ファロスが相手をしているし」
立ったまま片手で私の腰をグッと抱き寄せ太腿からお尻にかけて大きく円を描くように撫でながら、首筋にレロ……と舌を這わせてくる。
「……ふッ……ぅ……」
ヴェルク様の手が私のお尻の割れ目を辿ってスッと前まで滑ると、ちゅく、と淫らな音がした。
ふ、と嬉しそうに小さく笑うヴェルク様の声がすぐそばで聞こえる。
恥ずかしすぎて、顔が、熱い。
「どうする? ベッドに連れて行った方がいいか、リリィ?」
耳元で囁かれる、悪魔な魔王の甘い誘い。
もうこれ以上、サティ様たちを待たせるわけにはいかない、のに……。
思わず頷きかけた瞬間、ドンドンドン、とドアがノックされた。
「ギョーギョッギョッギョッギョッッ!! ヴェルク様! 待ちくたびれたアエル坊ちゃんがそろそろ我慢の限界ですぞ!」
ヴェルク様が大きくため息をつく。
「こうなったらなるべく早くゾマを帰らせるしかないな」
ヴェルク様は私にズボンを穿かせながら、隙あらばと私の膝に、太腿に、シャツを捲ってお臍に、チュ、チュ、チュとキスを落とした。
身体の奥が疼いてしまいそうになるので、やめていただきたい。
でも……、やめないでほしい、と思ってしまう自分も、いる。
ヴェルク様は毎日私の心も体も甘やかしてばかりで。
クルーティス王国ではこんなに幸せを感じる日は無かったから、幸せなのに……幸せすぎて、少し怖い。
どうかこの幸せな日々が、少しでも長く続きますように……。
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