【R18】婚約破棄された転生聖女は魔の森に捨てられる~ヤンデレ黒の魔王が溺愛してくるけどどうしたらいいですかッ!?~

弓はあと

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「レオン!! なぜリリィが泣いている!?」


 金の魔王城に戻った途端、ヴェルク様が金の魔王の胸ぐらをグィッと掴んだ。

 ファロスが「ギョッ!!」と声を上げて驚いている。
 私とラパンさんは、固まったように動けなかった。


「それはあとでマミィに聞けば。言っておくけど俺様は何もしてないよ。むしろ助けたんだから感謝してほしいくらいだね」


 金の魔王の胸ぐらを掴んだまま、ヴェルク様の視線がこちらに向けられた。
 私の姿をとらえたヴェルク様が不機嫌そうに眉を寄せる。
 
 ヴェルク様が、私の事を怒ってる――。

 勝手に黒の魔王城からいなくなったりしてごめんなさい。
 私のせいで金の魔王に頭を下げることになってしまって、本当にごめんなさい。

 金の魔王がヴェルク様の手をバッと払いのけた。


「あー、もう! うるさいからとっとと帰りなよ」

「言われなくても帰る」


 ヴェルク様はツカツカとこちらへ来ると、金の魔王のマントを纏った私の肩をぐッと抱き寄せ歩き始めた。
 慌てて金の魔王とラパンさんの方を振り返りお礼を言う。


「あの、本当に、ありがとうございました!」


 ラパンさんが私に向かって頭を軽く下げてから、元々私が着ていたヴェルク様のシャツをファロスに渡しているのが見えた。
 金の魔王はこちらを見て手をゆるりと振っている。


「マミィ、クッキーありがと。まった来ってねー」

「二度と来るか!」


 ヴェルク様が歩きながら怒気を含んだ口調で返す。
 「待ってるよー」と揶揄うような金の魔王の言葉を背中で聞いた。



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