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しおりを挟む「赤くなっている……」
ヴェルク様は私をベッドへ座らせると、鎖骨のすぐ下あたり、金の魔王に吸われたところを指の腹で撫でた。
心配そうに眉を寄せたヴェルク様。
指で撫でているところへ顔を近付けるものだから、息が胸元にかかり、ピク、と肩が震えてしまう。
「痛いか、リリィ?」
私の胸元から上目遣いでこちらを見るヴェルク様と目が合い、心臓がドキンと跳ねる。
「いえ、痛くは、ない……です」
「そうか、それならよいのだが」
再び触れるか触れないかのところで指が動く。
何度か指を這わせたあと、不意にヴェルク様が鎖骨のすぐ下の赤くなっているところに唇で触れた。
ジュッと吸われる感触に身体がビクリと揺れる。
胸元を吸われながら背中と後頭部を大きな手で支えられ、気付いた時にはベッドへ倒されヴェルク様の腕の中に囚われていた。
「今のも、痛くはなかっただろうか?」
「は、い、大丈夫、です」
ドキドキする心臓は痛いくらいだけれど、吸われたところ自体は痛くない。
吸われたところを、レロ……と舐められ思わず、ふ、と息が漏れる。
「ならば、もうレオンがどこにも痕をつけられないくらい、リリィの身体に我が証を刻もう」
「それは、ど……」
どういう事ですか? という疑問はヴェルク様の唇によって遮られた。
貪るように舌を吸われ、絡められる。
時々息継ぎをするように、リリィ、と掠れた声で囁くヴェルク様。
名前を呼ばれるたびに、口の中が甘くなっていく。
甘いのが嬉しくて、ヴェルク様とずっとこうしていたくて、夢中になってしまったのかもしれない。ようやく唇が離れた時には浅くしか呼吸ができず苦しいほどで。
乱れた呼吸を整えていると首を吸われた。
短くなったヴェルク様の髪が肩に触れてくすぐったい。
「リリィ」
甘みを帯びた声で名前を呼ばれ、胸の奥までムズムズとくすぐったくて。
背中にまわされたヴェルク様の手がワンピースの留め具を外しているような気がしたけれど、気づかないふりをした。
位置を変えて何度も首を吸われ、身体の芯がジンジン疼く。
「リリィ……」
ワンピースがベッドの下に落とされた。
少しずつ、吸われる位置が下へとおりていき、最初に吸われた鎖骨のあたりへたどり着く。
下着は借りておらず身につけていなかったから、露わになってしまった胸に腕をあて隠した。
ヴェルク様は隠されていないところにできるだけ多く印を残すかのように、唇で触れて。
強く吸われたかと思えば優しく舐められ、理性が追いつかなくて翻弄される。身体の奥から生じたゾクゾクする疼きを逃したくて無意識に膝を擦りあわせてしまう。
「ぁ……ヴェルク様……」
ヴェルク様は胸を押さえる私の腕を無理に外そうとはせずに、胸をとばしてお臍のすぐ上を、レロ……と舐めた。
お臍の穴やまわりに舌を這わせながら、ヴェルク様に借りたぶかぶかのズボンを脱がせていく。
ズボンの中も下着はつけていなかったから、なんとも心もとなくて両脚を絡めるようにキュッと閉じた。
閉じた……のに。
「リリィ」
私が穿いていたズボンをベッドの下に落としたヴェルク様は、私の髪を撫でながら耳元で囁き、もう一方の手で太腿に触れた。
「リリィ」
――ヴェルク様、その声、狡いです。
私の身体から抵抗力を奪ってしまう、低いのにどこか甘えを感じさせる声。太腿に置かれた大きな手が、力の抜けた私の腿の内側へと滑っていく。
ヴェルク様の指が私の脚の付け根に触れた瞬間、電気が走ったようにビクリと身体が揺れ、クチュ、と淫らな水音が響いた。
優しく私の脚を押し広げながら、ヴェルク様は身体をずらし私の内腿に口づける。
ジュッと内腿を吸われた途端、自分の恥ずかしいところがジワリと潤んだのがわかった。
ヴェルク様はより私の脚の付け根に近いところに唇で触れ、レロリと舌を這わせてから吸いつく。
恥ずかしすぎて、内腿がフルフルと震えてしまう。
少しずつ、ヴェルク様の舌が恥ずかしく濡れているところへ近づいてくる。
たくさんたくさん唇を這わせてくれたけれど、一番求めているところにはまだ届いていなくて。
なんだかすごくもどかしくて切ない。
――ヴェルク様に、早く、触れてほしい
自分の呼吸が、熱くてたまらない。
「リリィ」
ヴェルク様の息が私の濡れそぼった割れ目にかかって、くすぐったさと悦びでゾクリと身体の奥が疼いた。
「ギョーギョッギョッギョッギョッッ!! 大変ですぞヴェルク様! ノワール国王への不満を訴えて民衆が暴動を起こしたようですぞ!!」
ファロスの声が廊下に響き渡り、ヴェルク様の動きが止まった。
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